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2022年7月号

環境、人権に全力投球

令和4年度が始まり、新政あいち県議団も長江正成(瀬戸市、4期)県議を団長とする役員体制で動き出しました。
新型コロナウィルス感染症はひと頃より落ち着いてきているとは言うものの、引き続き警戒を怠ることができない状況である中、ロシアのウクライナ侵攻により国際情勢の不安定感が強まり、物価も異常な上昇を見せ始めるなど、内外で不安要素を抱える新年度となっています。
5月27日の臨時議会では、コロナ関連補正予算と同時に、今年度の県議会の議長ほかの役員や委員会の新しい配属などが決まりました。
高木ひろし県議は、環境問題のほか、私学予算や多文化共生、人権施策、文化芸術など幅広い分野を受け持つ県民環境常任委員会に所属し、アジア・アジアパラ競技大会調査特別委員会の理事、新型コロナウィルス感染症対策特別委員会の副委員長などの役職も担当することになりました。
また、6月15日から7月4日の日程で6月定例議会が開催され、5月17日に発生した明治用水頭首工の漏水対応、原油価格・物価高騰への対応、コロナ対応などのための補正予算170億円ほかを可決しました。

新体育館「大階段」に改善案
エスカレーターとスロープ、地下鉄直結も

2026年のアジア競技大会、アジアパラ競技大会の開催に向けて名城公園北部に建設が始まった愛知県の新体育館。
現在の県体育館の2倍以上となる17000人を収容し、ICT技術をフル活用したスマートアリーナとして、大相撲名古屋場所はもちろん、国際的なコンサートや様々なスポーツイベントの誘致・開催が期待されている。
しかし、東京オリパラの新国立競技場以上のユニバーサルデザインが条件づけられていたはずのこの新体育館の、2階エントランス部分への「大階段」が、障害者団体などからの指摘や抗議で問題となっていた。当初、事業者である(株)愛知国際アリーナは、スロープやエスカレーターの設置に消極的だったが、6月に入り、要望を受けた大村知事が事業者側を強く指導し、一定の改善策が打ち出されることになった。
6月21日に高木ひろし県議がこの問題を本会議で質問したのに対し、スポーツ局長は「スロープとエスカレーターを追加すること、15人乗りの屋外エレベーターを24人乗りに拡張すること、障害者などが入場できるよう1階にもエントランスホールを設ける」などと答弁した。
さらに30日、知事は障害者団体代表と面談して改善策を図面で示し、地下鉄「名城公園」駅からのエレベーターによる2階デッキへの直接アクセスも追加することも約束した。
メインエントランスが2階大階段上のデッキからという基本設計に変更はないものの、車椅子使用者や高齢者などに配慮した複数の動線が確保されることになり、今後はスムースな案内体制やサインなどの更なる工夫が必要となる。
県は今後も障害者団体などとの話し合いは続け、ユニバーサルデザインのレベル向上に努力するとしている。

設楽ダム3,200億円に 〜ふくらむ事業費、延びる完成年〜

「地盤の脆さ」で対策追加
設楽ダムの完成時期が予定より8年遅れて2034年となり、総事業費も2400億円から3200億円に膨らむことが明らかになった。
事業主体である国土交通省の発表によると、基本計画の段階で想定していなかった地すべり対策やダム本体を支える地盤強化が必要となったうえ、付け替え道路の見直しが必要となったことが主な要因という。
高木議員は3月21日の一般質問で、この設楽ダム基本計画の変更を取り上げた。
現在の設楽ダム計画地周辺は、かねてから地盤の脆弱性や複雑な断層の存在が指摘されてきたが、国は「問題となるような断層は存在しない」「地盤に問題はない」として2008年に基本計画を策定。その後、数年に及ぶ国のダム事業検証を経て、治水、利水などの効果(便益)はダムによる方が(コスト的に)勝るという結論を導いた。
そして2015年から本格的なボーリングによる地質調査が数次にわたって行われた結果、ダム湖左岸部分の山腹に巨大な「深層地すべりブロック(塊)」が存在することなどが判明して、「想定していなかった」地盤の脆さを認めざるを得なくなった。
今回の地すべり対策の追加や、付け替え道路位置の大規模な変更、ダム本体のコンクリート打設量の増加などは、この地質調査結果に基づくものとされている。
しかし、満水となったダム湖斜面がもし「深層崩壊」を起こせば、深刻な「ダム津波」という災害を引き起こす恐れもあると、一部の専門家は指摘する。
県は、「ダムの安全性は十分確保されている」と国の主張をそのまま繰り返すだけだった。
事業費の大幅な変更は、10年前の事業検証の結果も見直さざるを得なくなる。
2014年に「費用(C)対効果(B)」で比較された費用が、当初の2070億円から今回の3200億円へと1.5倍に膨らんだことにより、県の負担額も720億円から1070億円となる。
果たして県民に、この負担額に見合う治水、利水上の効果があると説明できるのだろうか。

ダム湖左岸の工事用仮設道路も「岩盤すべり」を避けて巨大な鉄骨組構造に変更された

設楽ダム 豊川水系の最上流部(設楽町)に計画された総貯水量9800万㎥、堤高129mの県内最大規模の重力式コンクリートダム。洪水調節や流水の正常な機能の維持、農業用灌漑用水、水道用水(県企業庁)の供給などを目的とする(特定多目的ダム)。
水没する村落生活や、自然生態系への影響、過大な水資源開発の妥当性などを巡って、激しい議論や訴訟が数十年にわたって続いてきた。

愛知県公安委は軽んじられている?!
警察本部の「専決」運用を批判

「愛知県警機動隊を沖縄県高江に派遣したことは違法」――昨年10月7日の名古屋高裁判決に、愛知県警に衝撃が走った。
機動隊を県外に派遣したことが住民訴訟によって敗訴するのは、前代未聞のこと。
これは、新たな米軍基地建設に対して「平和的生存権」によって抵抗する沖縄の住民運動に連帯しようと3年に及ぶ粘り強く幅広い市民の取り組みが、裁判所を動かした成果だ。
同時に、愛知県警が本来、公安委員会の承認を得てから行うべき「重要または異例」な県外派遣であったにもかかわらず、本部長の「専決」で行った手続きにおける違法性を、判決は厳しく指摘したものである。
公安委員会制度とは、戦前の国家警察が人権を蹂躙したり思想弾圧を行なった反省の上に、政治的中立性を確保するために設置された戦後民主警察の重要な制度。
多くの警察業務が「公安委員会」の名のもとに行われているが、「迅速かつ能率的な処理を実現するため」警察が専決することによって、公安委員会を形骸化し、軽んじるようなことは決してあってはならないはずだ。
高木議員は、他の都道府県における専決規定の運用を比較しながら、愛知県警は特に「専決」範囲を広く解釈して、公安委員会を軽視している度合いが強いと、改善を迫った。県警本部長は、最高裁への上告中を理由に具体的答弁を避けたが、肝心の公安委員の見解を聞きたいところだった。

映画「破戒」

全国水平社創立100周年を記念して、島崎藤村原作「破戒」が映画化され、7月8日から全国各地で上映が始まる。名古屋地区では、栄の名演小劇場、ミッドランドスクエア名古屋空港ほかで上映。(詳しくは映画『破戒』公式ホームページで)

今回の映画化は実に60年ぶりで、主演、丑松役は若手人気俳優・間宮祥太郎、相手役に女優・石井杏奈。監督は前田和男。
被差別部落出身という出自に苦悩しつつ差別との闘いに目覚めゆく若手教師の生きざま。
明治後期の日本の差別の厳しい現実から水平社が立ち上がる以前の状況を顧みつつ、100年の部落問題の歩みを考える。

ウクライナ避難民支援寄付金を募集

愛知県では、ウクライナから愛知県へ避難されてきている方々を支援するため、下記のように県民からの寄付を募集します。

① ふるさと納税サイト「さとふる」による寄付
インターネット特設サイト「ウクライナ緊急人道支援」のページから
*寄付金控除の優遇税制が適用されます


https://www.satofull.jp/projects/business_detail.php?crowdfunding_id=189

② 口座振り込みによる寄付
愛知県県民文化局県民生活部 多文化共生推進室(052-951-6138)へ問い合わせを
インターネット・ウクライナ難民支援のための寄付募集ページ


https://www.pref.aichi.jp/press-release/aichi-ukraine-kifu0530.html


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