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2026年新年号

高校生PC購入を補助
デジタル社会の弊害リスクも論議

令和7年12月定例県議会(12月1日~18日)には、県職員などの給与改定を中心とした188億余円の一般会計補正予算案に加え、臨時国会における政府補正予算成立を受けた1288億円の補正予算案を追加提出し、可決成立させました。
追加提出した予算は、物価高騰の影響を受ける医療機関や福祉施設、中小企業などへの幅広い支援策で、12月補正としては過去最大額です。
令和6年度一般会計、特別会計の決算や収用委員会の委員選任なども同意されました。
また、私学助成拡充に関する請願3件を採択したほか、学校教育環境の改善に関する意見書など5件の意見書を採択し国に送付しました。
高校教育について県は新年度、生徒のパソコン購入に補助制度を新たに設け、県立高校の特別教室など全施設にエアコンを整備していく方針を表明しました。
2026年9月に開会するアジア・アジアパラ競技大会に関しては、会期中に臨時国会で特別立法が成立し、136億円の国からの補助金交付が確定しました。
県議会でも、多くの選手や観客を円滑に誘導する交通司令塔設置の方針が示されたほか、大会競技情報や入場チケットが入手できる応援IDの登録が始まるなど、大会機運を盛り上げる議論が交わされました。
また、9月議会で議員提案によって成立した「デジタル技術の活用による豊かで便利な社会づくり条例」に関して、生成AIが、偏見・差別を助長したり、誤情報が拡散されてしまうなどデジタル社会のリスクにどう対応するかなどの議論も交わされました。【※下記「情プラ法の規制対象」参照】

多文化共"働"の愛知へ

 高市首相の「台湾有事」発言をきっかけに、中国との緊張関係が高まっている。
維新との連立によって、スパイ防止法だの南西諸島への軍事的シフトが加速し、キナ臭い匂いも立ちこめてきた。
昨年の参議院選挙では、「外国人による犯罪や交通事故が増えた」だの「中国人が日本の不動産を買い漁っている」などの排外的言説が流布され、「外国人を規制せよ」というムードが政府方針にも反映されてきた。
しかし、冷静に分析すれば、こうした排外的言説は事実に基づかないものが多い。
在留外国人数は400万人に迫り過去最高となるが、外国人刑法犯は2005年をピークに減少している。
外国人の不動産投資は、政府の規制緩和や円安により増えてきたもので、投機目的の土地購入は、国籍に関係なく規制されるべきものだ。
生活保護や健康保険制度、文部科学省の博士課程支援制度などに外国人がただ乗りしているというのも、一部の事例の誇張に過ぎない。
愛知県は2022年、人権尊重の社会づくり条例を制定し、国籍や人種による差別をなくすため「ヘイトスピーチ規制」も整備した。
産業に従事する外国人労働者や留学生の数も全国トップクラス【※下記「愛知県の外国人住民(国別)」参照】で、「多文化共働」社会のフロントランナーなのだ。
ましてや今年秋にはアジア・アジアパラ競技大会も控え、多くの外国選手団や観客をお迎えすることになる本県としては、こうした排外主義的傾向を強く戒めなければならないと思う。

ネット上の差別・中傷を即削除へ画期的な「情プラ法」
県人権課も積極活用

インターネット上で他人の出自やプライバシーを暴いて損害を与えたり、デマ情報や誹謗中傷が拡散されるなどの被害が後を絶たない中、2025年4月に施行された「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」は、LINEヤフー、グーグルなどの巨大ネット企業に削除要請すると、1週間以内の対応を義務付けるという画期的な仕組みが動き出している。 総務省が設置した、違法・有害情報センターに寄せられた被害相談や削除要請は年間6000件を超えていたが、実際の対処には時間や裁判などの手間がかかり有効な対策が打てずにいた。 情プラ法の適用対象となった大規模ネット企業は9社、12サービス(別表)で、各社が定めた削除基準にそった対応を怠ると最大で1億円以下の罰金が科される。 申請するのは被害者が原則だが、行政など第3者からの告発も受け付けることになっており、愛知県も数年前から続けてきたネット上の差別情報のモニタリング結果に基づいて、プロバイダーに直接削除要請する方向で、調整を進めている。 高木ひろし県議の質問に愛知県県民文化局人権推進課が答えた。


精神医療、電話で相談
愛知精神医療人権センター設立と電話相談開始について

精神科病院入院者は全国で25万人にのぼり、その約6割が1年以上の長期入院であり、約4割が非自発的入院(医療保護入院)という我が国の現状は、人権の観点から改善の必要が叫ばれてきました。
国においても2022年に精神保健福祉法が改正され、地域生活への移行(退院)や入院者訪問支援事業などの取り組みが始まっていますが、まだまだ十分な成果を上げるには至っていません。
私たちは愛知の地において、民間の立場からこれとも連携し、入院者の方々の声を聴いてその相談に応じられる回路を開こうと、NPO法人を立ち上げたところです。
精神障害当事者、家族会、医療福祉関係者、弁護士、議員など多様な市民が集まった細やかな組織ですが、まずは入院者の方々から毎週金曜日の午後1時30分から16時30分まで、電話相談をお受けする活動を始めております。
この活動が精神科病院に入院されている方々の目にとまり、電話相談を利用していただけるように皆様のご協力をお願いします。(精神医療人権センター理事長 井上雄裕)

NPO法人 愛知精神医療人権センター
名古屋市緑区鳴子町2-28-3
■毎週金曜日 午後1時半~4時半
■相談電話番号
 052-890-8601

 FAX 052-892-5648



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