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2025年7月号

米国関税対策、県が動く 「高校無償化」の議論も始まる

令和7 年度に入り、あいち民主県議団は天野正基団長(小牧市選出、4期)のもとで新体制を発足させ、5月22日の臨時県議会および6月県議会に臨みました。 臨時県議会では議長など議会内役員や委員会所属を決定し、高木ひろし議員は、昨年に引き続く県民環境委員会と、カーボンニュートラル調査特別委員会の理事を務め、政治倫理委員会の副会長に就任しました。 6月県議会は6月19日から7月8日まで開かれ、一般会計で120億8000万余円を増額する補正予算をはじめ、カスタマーハラスメント防止条例など条例案7件、副知事選任など議案19件を審議、可決しました。 補正予算の主な内容は、米国の一方的な関税引き上げによって影響を受ける自動車関連などの中小企業を融資面で支援する予算、就学支援金(年額11万8000円)の対象外だった年収910万円以上世帯に対してこれを支給するなど高校無償化を拡充する予算に加え、国の緊急物価高対策の追加分など。 米国の一方的なトランプ関税に対しては、自動車産業の中心である本県への深刻な影響が懸念されるため、知事を本部長とする対策本部を設置。いち早く融資制度などの拡充や展示会出展などへの支援策をまとめ、国へ要望したほか、知事が米国大使に面会して「日本企業が対米投資や雇用創出により米国経済に世界で最も貢献している」と訴えている。 高校無償化については、国費によって来年度私学助成の所得制限が撤廃されることにより生じる県の「余剰予算」の使途や、公立高校との関係などについて議論が始まっている。

べらぼうな米要求にNO!

国において高校無償化の動きが加速している。大阪、東京で始まった私立高校授業料の公費助成の所得制限撤廃が、国費によって全国で実施される方向となったのだ。2009年に民主党政権が開いた高校無償化は、新たな段階に入った。 もともと教育費の家計負担が重すぎて少子化の一因ともなってきた日本としては歓迎すべき動きではあるが、さまざまな問題が積み残されていることに注意が必要だと思う。
公私の経済的負担で差が無くなれば、私立高校を選ぶ傾向が強まることは必至だ。
大阪ではすでに半数以上の府立高校で定員割れが生じ、公立高校の統廃合の動きが加速している。
他県に比べて「公立志向が強い」と言われてきた愛知県も例外ではあり得ないだろう。
維新の前原代表は、「公立も含めて競争し、どんどん淘汰されればいい」というが、はたして公立高校の役割とは何かをよく考えてみる必要がある。
障害者団体が全国の都道府県教育委員会に問い合わせて、公立高校のエレベーター設置状況を調査した結果が明らかになった。
第1位は東京都85%、2位が熊本県74%、3位が大阪府73%、4位福岡65%と続き、150校中わずか9校(6%)という愛知県は最下位から4番目という状況だった。
これは、車椅子を使用するなど障害のある生徒にとって高い壁となってきており、教職員の障害者雇用の低さにもつながっている。
県教委の調査によると、県内小中学校で車椅子を使用して通っている児童・生徒は204人にのぼっている。
この子らが高校進学期を迎えるのに対応して、県立高校のエレベーター増設を計画的に進めていくべきではないか。
すべての子らに開かれた高校にするという公立の役割の象徴的な指標として。

リチウムイオン電池 発光事故を防げ

廃棄されたリチウムイオン電池が原因の火災事故が激増している。
特に清掃作業の現場では作業員が危険にさらされており、高木議員が6月30日の県民環境委員会で防止対策を質した。
また、国による早急な対策を求める意見書も採択した。
現在、使用済みのリチウムイオン電池は、製造メーカー等によって回収・再資源化が行われているものの、メーカー不明品や破損、水漏れや膨張しているもの、電池が機器から取り外せないものなど多くが回収対象外で、自治体による家庭廃棄物回収に紛れ込んでくるものも多い。
これがパッカー車で圧縮したり、破砕すると発火事故となるのだ。
分別取り組みが進む名古屋市などでは、
①電池類・充電式バッテリーは、プラごみ回収で別袋に入れる
②電池一体型の小型家電(携帯扇風機、スマホ、ワイヤレスイヤホン、ゲーム機など)は、区役所や家電量販店(堀田カインズ)の回収ボックスへ
③充電式家電(掃除機、電動工具など)は環境事業所へ―― と分けるようPRに努めている。

戦争など現代社会を表現
国際芸術祭「あいち2025」 芸術監督 フール・アル・カシミさん


愛知県で6回目となる国際芸術祭が、今年9月13日から11月30日の間、名古屋栄の愛知芸術文化センターや瀬戸市の街中で開かれる。
今回はアラブ出身の女性監督を起用、「灰と薔薇のあいまに」というテーマも、戦火が激化する中東情勢を反映して話題と関心を呼んでいる。
カシミ監督は、UAEのシャルジャ美術財団理事長兼ディレクターで、現代芸術の国際展覧会で豊富な経験を積む。
「ガザやレバノンで親族を亡くした友人も多く、私自身苦しみは非常に身近です」とパレスチナ問題に共感を寄せ、今回のテーマに込めた平和への強い思いを隠さない。
選んだ61組のアーティストも中東やアフリカ、中南米など非欧米が中心で、女性やカラード(有色人種)、少数民族なども多い。
戦争、環境破壊、南北格差、ジェンダー、障害など、現代社会の直面する課題を積極的に取り上げる作品も。 6年前の愛知トリエンナーレでは、従軍慰安婦問題をテーマにした「平和の少女像」が一部の反発を招き混乱を招いた経緯について問われると、「現代芸術は、政治や社会問題と切り離すことはできません。意見の衝突は珍しくないが、あくまでアーティストの表現の自由を大切にしたい」と述べた。

入院者支援員募集

日本における精神科病院での処遇が人権上問題があるとの指摘を受けて昨年、精神保健福祉法が改正され、県による研修を受けた「訪問支援員」が入院者から悩みや要望などを聞き取る事業が始まった。 今年度はその訪問支援員養成研修(定員50人)が9月6、7日に行われ、その受講申し込みを8月6日まで受け付けている。
研修の詳細と申し込みはQRコードで。(一社)愛知県精神保健福祉士協会
houmonsien@aichi-psw.com


ドン・キホーテin犬山 ー 家族とふる里への手紙
元市長・石田芳弘さんの赤裸々な自分史


自民党田中派の重鎮・江崎真澄の秘書として政治生活をスタートさせ、県議を経て、犬山市長として教育政策で名をはせた石田芳弘さんは2007年、民主党の推薦で愛知県知事選挙に出馬。
自民と公明が支える現職・神田知事との一騎打ちで知事選史に残る大接戦を演じた。
これが2年後の総選挙での民主党政権へとつながる。幾多の選挙に挑み続けた石田さんの情熱の根本には、金権政治への嫌悪と、民衆と郷土への深い愛があり、それが比類ない“人間力”となって多くの人々を魅了し続けたのだった。
そんな石田さんの本音が自身の言葉で綴られた好著。(風媒社刊)


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