4兆4,444億の県予算可決 新アリーナなど愛知活性化へ着々
令和7年2月定例県議会(2月17日~3月24日)では、一般会計2兆9,413億余円をはじめ、国民健康保険事業などの特別会計、病院、水道、用地造成などの企業会計を含む総計4兆4,444億余円の令和7年度当初予算が提案されました。
また、高病原性鳥インフルエンザ対策などの補正予算や、アジア・アジアパラ競技大会の財源などについても活発に論議され、知事提案の99議案についてはすべて可決・成立しました。
新年度の愛知県の取り組みは、昨年オープンした「ジブリパーク」や「STATION Ai」に加えて、今年7月にオープンする「IGアリーナ」*などが相乗効果を生み出しながら、日本の未来をつくるビッグプロジェクトをさらに大きく前進させ、
愛知を勢い盛んに成長・発展させようとするものと評価できます。
あいち民主県議団としては、県民生活に密着した現場目線から質疑、提案に臨み、いくつかの重要な成果をあげました
高木ひろし県議は本会議の議案質疑で
① 増加する精神障害者への支援②県立高校のバリアフリー化―― などで厳しい注文をつけつつ、県民環境委員会では①廃食油を航空燃料に活用する地産地消プロジェクト
② 人権条例に基づくインターネットモニタリング
③ 地域の文化芸術活動への県助成金などの事業について、各担当局と具体的な議論を交わしました。
*IGアリーナ 愛知県体育館の建替えとして名城公園北部(地下鉄「名城公園」駅直結)に整備し、今年7月の大相撲名古屋場所を杮落としとしてオープンする総合アリーナ。 最新設備を備え最大17000人の観客を迎えて、様々なスポーツイベントやコンサートを予定している。
すべての子らに開かれた県立高校へ
国において高校無償化の動きが加速している。大阪、東京で始まった私立高校授業料の公費助成の所得制限撤廃が、国費によって全国で実施される方向となったのだ。2009年に民主党政権が開いた高校無償化は、新たな段階に入った。
もともと教育費の家計負担が重すぎて少子化の一因ともなってきた日本としては歓迎すべき動きではあるが、さまざまな問題が積み残されていることに注意が必要だと思う。
公私の経済的負担で差が無くなれば、私立高校を選ぶ傾向が強まることは必至だ。
大阪ではすでに半数以上の府立高校で定員割れが生じ、公立高校の統廃合の動きが加速している。
他県に比べて「公立志向が強い」と言われてきた愛知県も例外ではあり得ないだろう。
維新の前原代表は、「公立も含めて競争し、どんどん淘汰されればいい」というが、はたして公立高校の役割とは何かをよく考えてみる必要がある。
障害者団体が全国の都道府県教育委員会に問い合わせて、公立高校のエレベーター設置状況を調査した結果が明らかになった。
第1位は東京都85%、2位が熊本県74%、3位が大阪府73%、4位福岡65%と続き、150校中わずか9校(6%)という愛知県は最下位から4番目という状況だった。
これは、車椅子を使用するなど障害のある生徒にとって高い壁となってきており、教職員の障害者雇用の低さにもつながっている。
県教委の調査によると、県内小中学校で車椅子を使用して通っている児童・生徒は204人にのぼっている。
この子らが高校進学期を迎えるのに対応して、県立高校のエレベーター増設を計画的に進めていくべきではないか。
すべての子らに開かれた高校にするという公立の役割の象徴的な指標として。
あいち民主議員の一般質問ダイジェスト
カスタマーハラスメント対策防止条例制定へ
富田 昭雄 議員
(名東区 6期)
顧客による従業員への過度なクレームや理不尽な要求、いわゆる「カスハラ」への被害が深刻化しています。
この対策として、愛知県もカスハラ防止条例をできるだけ早い議会に制定する必要があると思う。
その条例には、働く現場において、いわれなき迷惑行為に対して、出入り禁止やサービスを停止するなど毅然とした対応ができる根拠となる内容が欲しい。
愛知県の条例はどんな内容を考えているか聞いたところ、知事から、防止に向け実効性のあるものを6月議会制定に取り組むと答弁を得ました。
救急車の適正利用は「♯7119」導入を
福田 よしお議員
(日進市及び愛知郡 3期)
家族が急病や怪我をしたときに医師や看護師に24時間相談できる救急相談窓口「♯7119」。全国31都府県と主要都市5地域が運用し、昨年7月から名古屋市で運用が始まったが、同市以外は対象外。
「♯7119」は各都道府県で1ダイヤルしか割り当てがなく、県内全域を対象とするためにどうするのか伺い、「名古屋市の運用状況」と「各市町村の費用負担」など検討すると答弁を得た。
なお県では15歳未満対象の救急相談窓口「♯8000」は導入済み。
早期に24時間県民が救急相談できる「♯7119」を導入して、緊急性のある急病や怪我に対応できるように「救急車の適正利用」を推進し、安心安全な愛知を目指すよう強く要望した。
マイナンバーカードと運転免許証の一体化について
朝倉 浩一 議員
(半田市 3期)
今年3月24日からマイナンバーカードと運転免許証の一体化、いわゆるマイナ免許証が導入された。
今交付されている運転免許証は廃止されず、継続して交付されるので、自分の希望に応じて、任意にマイナ免許証に切り替えるこができる。
今回の制度改正により、運転免許保有者の免許証の保有形態は3パターンになり、従来の免許証のみ、マイナ免許証のみ、マイナ免許証と従来の免許証の2枚持ちのいずれかを選択できるようになる。
県民の方々が安心してマイナ免許証に切り替えることができるように、マイナ免許証に関する制度の周知はホームページ、ポスター掲示に加え交通安全講話の機会に説明し、適正な運転免許事務が行えるよう担当者へ教育を継続的に行うと答弁。
愛知県が目指す次世代モビリティーについて
桜井 秀樹 議員
(豊田市 2期)
県議会海外視察団において北米を視察し「空飛ぶクルマ」「自動運転タクシー」について現地現物で確認し、県の取組を質した。
質問に対して県から「空飛ぶクルマ」に関しては「空と道がつながる愛知モデル2030」の中で災害時への活用に向け関係者の協力をいただき早期の社会実装に取組む。
また「自動運転」に関しては、知多地域での高速バスの自動運転化、愛・地球博公園での自動運転バスの運行に加え、名古屋駅からSTATION Aiを結ぶ都心部における定期運航の実証を長期化及び3地点を結ぶ面的な実装に向けて取組んでいくと答弁があった。
燃料電池商用車(FC商用車)普及に向けて
細井 真司 議員
(刈谷市 1期)
愛知県は都道府県別のCO₂排出量が第3位と多い。
私が脱炭素の取組で最も期待するのが水素の活用。
県もFC商用車普及に向けたワーキンググループを立ち上げたが、参画事業者から、高コストのため「水素が本当に将来のエネルギーの主流たりえるか」との心配あり。
そこで車両や燃料のコスト高への対応や、国からの支援を得るための取組を質問。
車両や燃料等への補助金新設と共に、知事からは30年度までにFC商用車の導入目標を全国目標台数の1/4にあたる7,000台として、国からの「重点地域」選定を何としても勝ち取る、との答弁があった。
駐車許可制度の簡素合理化について
むらしま 嘉将 議員
(中川区 1期)
駐車許可制度とは様々な業種の方が、駐車禁止の道路標識のある道路に路上駐車しなければ、どうしても仕事が成り立たない場合に警察署に申請をすれば許可証が発行されるというものですが、オンライン申請の拡充、一括申請の開始、どのような職業の人が制度の対象となるのかの明確化、訪問理美容師に対する許可期間の延長、訪問看護師等に対する駐車禁止除外標章の発行を訴え、結果すべての質問に前向きな答弁を得ました。
また、来年行われるアジア競技大会の正式種目から漏れた競技に対する取組を質問し、文化プログラム等、活躍の場を設けるとの答弁をいただきました。

PCの方はPDFでもご覧いただけます。(12.7MB)