少子化対策でリード
令和5年9月定例県議会が、9月27日から10月19日までの会期で開かれ、総額158億円余円の一般会計補正予算をはじめ、条例の一部改正、人事案件など15議案を審議し、可決成立させました。 今回の補正予算には、6月2日の大雨で被災した農業者への支援、愛知芸術文化センター及び県陶磁資料館の活性化を図る基本計画の策定、技能五輪全国大会・全国アビリンピックの3年連続開催に向けた取り組み、愛知の「休み方改革」を全国に発信し、日本全体の観光需要平準化を促進する取り組みなどが含まれています。 予算以外の議案では、あいち森と緑づくり税を5年延長する条例改正案や、障害者差別解消のための「合理的配慮」が民間にも義務付けされることに伴う条例改正案などが審議されました。また「地方財政の充実・強化について」「ギャンブル依存症対策の強化について」など5件の意見書を採択。 令和4年度の一般会計、特別会計それぞれの決算案について2つの特別委員会が設置され、今後、活発な審議が行われます。
多様な家族認める社会に
ファミリーシップ制度めざす
大村知事は8月以来、少子化対策として、事実婚のカップルから生まれた子どもに法的保護を与える制度の創設を提唱している。親が未婚であるために生じる法律上の制約を解消し、出産を諦めるケースを減らすのが狙いで、フランスの連帯市民協約(PACS)制度がモデルだ。
フランスのPACSは、異性、同性を問わず、同居カップルが法律婚と同様の社会保障を受けられる仕組みで、子どもに「嫡出」「非嫡出」の差別はなく、両親が共同で親権を持てる。この制度を含め、フランスの強力な子育て支援策の効果で、90年代に1.8以下に落ち込んでいた出生率は10年間に2.0を上回るほどに回復した。方や日本は、90年代以降1.4以下と低迷を続ける。
こうした家族形態の多様化を認める取り組みとして、愛知県はファミリーシップ制度を今年度中に導入する方針だ。同性カップルを主な対象として人生のパートナーであることを証明する「パートナーシップ制度」は13都道府県で導入されており、県内でも名古屋市を含め26市町で始まっている。最近の傾向は、すべての子どもの福祉の観点から、生計を一にする子どもが家族として平等に生活を営めるよう「ファミリーシップ制度」とする自治体が増えており、都道府県としては初の導入を目指す。
こうした流れは、「愛知県人権尊重の社会づくり条例」の理念である「多様性を認め合い、誰一人取り残されることのない人権尊重の社会づくり」に沿ったもので、私たち県民の意識改革が求められている。
波紋呼ぶ「高校完全無償化」
所得制限なくす大阪府
民主党政権によって始まった高校無償化の流れは、私立高校の授業料補助の対象を低所得者層から中所得者層へと段階的に広げてきたが、大阪府が今年度打ち出した「授業料完全無償化」制度によって新たな展開を見せ始めている。
大阪府は、現行年収590万円未満の世帯を対象としている私立高校の授業料補助を3年間かけて段階的に撤廃し、すべての世帯を対象に、標準授業料( 63万円、現行は60万円)分を府が負担するというもの。また同時に、経常費助成の単価も、2万円上乗せするという。63万円以上の授業料を学校負担とする「キャップ制」については、私学経営側からは不満の声も上がっている。
この授業料無償化制度には、国公立高校と大阪公立大学も含まれ、すべての所得・資産要件が撤廃される。これらの制度拡充に要する追加予算額は合計で275億円にのぼるが、減債基金復元に充てていた約250億円と事務事業見直しで捻出するという。
愛知県では、3年前から国の就学支援金の拡充を活用して、年収720万円未満世帯(約半数)の授業料を補助し、入学金分を含めて公立との実質的な差を解消する無償化を実現して、全国トップクラスの私学助成と自認してきた。大阪の「完全無償化」は今後、県や国の教育予算の在り方にも大きな影響を与えそうだ。
保険証残して 立憲民主党が提言
立憲民主党は10月12日、「マイナ保険証に関する基本的考え方」を発表。政府が進めようとしている「来年秋の現行保険証の廃止」をやめさせ、一定期間のマイナ保険証と、現行の健康保険証を併存させるべきとの方針を打ち出した。医療のデジタル化を進めるにあたっては、あくまで国民の利便性と安全性向上が原則として、各個人の申請に基づく選択制を基本に拙速を避け、「誰一人取り残さない」手順で進めるべきと提言している。 政府は、多額のマイナポイント付与などでマイナンバーカードの普及を強引に進めてきたが、誤入力や情報流出などが相次いだことで国民の間に不安や不信が広がり、マイナ保険証の利用はわずか5%にとどまっている。立憲民主党のヒアリングでは、医療現場をはじめ、高齢者や障害者などからも「紙の保険証を廃止しては困る。大混乱になる」との声があいついでいた。
野党第1党――「保守2大政党」に抗した30年
尾中香尚里(現代書館)
細川政権の成立と崩壊から30年、毎日新聞政治部記者として、野党を中心に平成の政治変動の取材を続けてきた著者が、「野党第1党」の在り方をズバリ提言。「保守2大政党」による政権交代という、巨大な圧力を受けながら、「民主リベラル」(定義が難しいが)は、しぶとく自民に対抗する役割を演じてきた。2009年民主党政権であり、2017年の立憲民主党の登場である。そしていま、混迷の中からふたたび﹁野党第1党﹂への胎動が始まっている。
立憲民主党前代表 枝野幸男さん大いに語る!
立憲民主党の創立者であり、現在の立憲民主党の枝野幸男・前代表が、「枝野ビジョン2023」を発表し、活動や発信をパワーアップさせて注目を集めています。岸田内閣の支持率が低下する中で、これにとって代わるべき立憲野党に求められているのは、目指している社会の理念とビジョンを鮮明に打ち出すこと――久しぶりの「枝野節」を聞き、日本社会の閉塞感を打ち破る展望をともに考えましょう。
2023年12月2日(土)14時から
会 場:ワークライフプラザ「れあろ」6階大会議室(金山駅より南へ徒歩5分)
参加費:500円
主 催:リベラル政治懇話会
(共同代表/石田芳弘、大脇雅子、近藤昭一)
事務局:高木ひろし(090-3380-0930)
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