今年4月、県議会議員の机上に「令和6年度包括外部監査報告」が配布されたが、それには「愛知県の見解」なる文書が添付されていた。それは、監査報告で指摘された核心部分に対し「事実誤認や独自の見解に基づくもので、県の見解と大きく異なる」などと全面的に反論するものだった。包括外部監査とは、行政内部からは指摘されにくい事項を、外部専門家の視点で“忖度なしに”チェックするため1997年に自治法で導入されたもので、これに対する県の「反論」は異例の対応だ。
今回の外部監査のテーマは、PFI(民間資金活用による社会資本整備)で県が整備した県国際展示場<スカイエキスポ>、ステーションAI、新体育館<IGアリーナ>などの事業で、コンプライアンスの観点などから、数多くの指摘や意見が報告された。県が特に強く反発する点は、これらの事業に頻繁にかかわる県政策顧問(植村公一氏)に対して守秘義務等を明記した契約を結ぶべきとの指摘だ。「愛知県の見解」では、現状でも「政策顧問の守秘義務(準委任契約に基づく善管注意義務*)は成立」しているので何の問題もない、と契約化を強く拒否する。
監査人の田口勤弁護士は、法律家として当然の指摘をしたのに、県があまりに強く反論してきたことを異様に感じたという。東京都のように、守秘義務を含め明文化した契約を結んだ方が、政策顧問として存分に力を発揮していただけると思うのだが、みなさんはどうお考えになるだろうか。
この包括外部監査報告書と「愛知県の見解」は、県のホームページに掲載されているし、この問題を初めて県議会で取り上げた10月1日午後の私の質問も、「議会中継・録画」でご覧いただける。
*善管注意義務 民法上の「善良な管理者の注意をもって事務を処理すべき義務」