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硬直した減税公約にこだわるな

2011.10.06

名古屋市政が再び「減税」をめぐり、混迷し始めた。「市民税10%減税こそ民意」とする河村市長は住民投票でその実施の可否を問いたいという。しかし、予算編成の元となる税収を直接左右する税率を「反対」か「賛成」かという単純選択に委ねるというのは無茶であり、民主主義とはいえない。
誰しも市民は、できれば自分の税負担は減らしてほしいと願う半面、サービスの低下や、借金の増加も心配する。まさに今年度の景気と税収の見通し、来年度の必要施策の経費見積もりにかかわってくる。また、一律の減税が高額納税者に有利なので経済格差の是正に逆行し、減税額ほど景気刺激効果もないとするシンクタンクの研究結果も知られるようになった。減税一般ではなく、それをどういった政策目的で行うかによって、税目も税率も、実施時期、期間も大きく変わるのは当然のこと。たとえ時間や手間がかかろうと、まさに市民のもうひとつの代表たる議会と、徹底論議すべき事柄だろう。
大村知事も、2月の選挙で「県民税10%減税」の公約を、河村市長とセットで掲げた。「秋までに結論」として検討中のようだが、大震災を含めこの9ヶ月間の環境変化を考え合わせれば、「県民税10%減税」にこだわるべきでない。むしろ、「世界と闘える強い愛知」の経済や県民生活のためには、350億円を単純に高額納税者にお返しするよりも、もっと効果的な減税や使い道がある。
その一例が企業誘致、空洞化対策の決め手としての「不動産取得税の半額還付」である。円高により海外に製造業が流出する危機が迫り、現在のようなチマチマした税の軽減程度では県内誘致へのインセンティブにならないことは明らかだ。県税である不動産取得税(取得価格の4%分、200億円)の半額を奨励金として企業に還付することで、土地建物の取引が5%増えれば経済効果は1200億円にのぼるという。雇用の場も確保できる。法人税は、国の税制改正との関係で県単独減税の効果は限定的だ。ぜひご検討あれ。