【高木ひろし委員】
予算に関する説明書(1)122ページの第3款県民環境費第1項県民生活総務費のうち、インターネットモニタリング事業費について伺う。この課題は、先日の議案質疑において、河合洋介議員が質問した。県は答弁において、情報流通プラットフォーム対処法という法律ができたため、この法律を踏まえて、従来からやっているモニタリング事業の中身を精査して、差別を助長する悪質で違法性の高い書き込みが速やかに削除されるよう、実効性の高い対応の実現に向けて検討を進めると発言した。その検討の中身について、何点か伺う。
まずは、県がモニタリング事業によって違法性が高いと判断した件数、そして、名古屋法務局に削除要請をした件数や削除された件数が報告されたが、県から削除要請を行った後の名古屋法務局での取扱いと、その事業者が削除する結論が出るまでにどれぐらいの期間を要したのか。
【人権推進課長】
県から削除要請を行った後の名古屋法務局の取扱いだが、名古屋法務局では、インターネット上の人権侵害情報による人権侵犯事案に関する処理要領などに基づき、事業者に対する削除要請を行うべきかどうか検討し、法務省でも同様に検討された上で、その後、事業者に削除要請をすると聞いている。
このように、名古屋法務局と法務省のそれぞれの人権侵害に関する専門的知見を有する者が慎重な検討を加えた結果として行われることから、インターネット関連の民間団体などで構成される情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会が作成した情報流通プラットフォーム対処法名誉毀損・プライバシー関係ガイドラインでは、名古屋法務局からの削除要請については、削除するに当たる相当な理由があるとされている。
一方で、事業者に削除要請するまでには、名古屋法務局、法務省とある程度の期間が必要となり、さらに事業者が削除するかどうか、また、その後に検討を行うため、今年度に削除要請した34件のうち、削除を実際にされた27件については、県が削除要請をしてから削除されるに至るまでに数か月程度、長い場合は6か月以上の期間を要している。
【高木ひろし委員】
被害者にとってはものすごい勢いで拡散されてしまう差別情報をとにかく早く止めたいということだが、今答弁があったように、実際には数か月を要するケースがある。こういったことがあり、昨年4月に施行された情報流通プラットフォーム対処法においては、大規模プラットフォーム事業者に対して、被害を受けた者からの申出に7日以内に削除するかの判断をする、7日以内という条件が付された。これは大変大事なことだと思う。この新しい法律が間もなく施行されてから1年がたち、本年5月には運用状況が報告され、その報告に基づき、悪質な場合には1億円以下の罰金が科される可能性があるとのことだが、実効性の高い対応の実現に向けて、情報流通プラットフォーム対処法を踏まえた大規模プラットフォーム事業者に対して、県としてどのような対応、検討を行っていくつもりか。
【人権推進課長】
本県は今年度、様々な人権問題を全国19の都府県政令指定都市で協議をする全国人権同和行政促進協議会の代表として、大規模プラットフォーム事業者が9者のうち2者に対して、昨年11月と本年1月にそれぞれ要望書を手渡すとともに意見交換を行い、地方公共団体が直接削除の申出を行った場合においても、被害を受けた者からの申出と同様、法律に準じて速やかに対応されるよう求めたところ、同事業者からは、被害を受けた者からの申出と同様に削除基準に照らして適切に対応する旨の回答をもらっている。
さらに、その他7者の大規模プラットフォーム事業者と民間団体による情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会にも同様の要望を文書で行った。
今後、令和8年3月27日に開催予定の愛知県人権施策推進審議会において、インターネット上の誹謗中傷等に対する対策についてを議題として審議会の意見を伺うとともに、名古屋法務局に削除要請の手法等を確認するなどにより、直接県から事業者に削除の申出をすることについて、検討を進めていきたい。
【高木ひろし委員】
おおむね県の姿勢は理解できたので、要望を述べたい。
インターネット上の情報は、ものすごく天文学的な数字で世界中に拡散され続けている。例えば、総務省が委託運営している違法・有害情報相談センターに寄せられる相談件数は、2024年度だけで6,403件、10年前から倍以上に増えており、その中身はほとんどSNS、ブログや個人のホームページなどであって、これは、流通している情報のほんの一部でしかないと思う。そして、情報流通プラットフォーム対処法による裁判所を介した問題情報の発信情報開示手続というものがあり、これは情報の発信者を突き止める手続だが、以前より簡素化されたこともあって、2024年の手続件数は6,274件と、前年度の1.7倍にも激増している。そのほとんどは東京地方裁判所に申し立てられており、恐らく東京地方裁判所においても処理しきれない分量だと思う。
そして、このSNSの運営事業者に法律的な義務が課されたことは非常に画期的なことだと評価したいが、大手9者がそれに応じてガイドラインに沿った対応をしている中で、例えば、問題情報の削除の義務が課された新制度の作業に当たる侵害情報調査専門員を設置しなければいけないという義務がある。LINEヤフー株式会社以外の事業者は、最低の1人を設置しているだけであり、これは、恐らく膨大な量の問題情報の申請に対して、到底処理の追いつくものではないと思う。
私も、インターネットでいろいろな問題情報を見るが、一番簡単なのは、ユーチューブの検索欄に部落や同和といったキーワードを入れて検索してみてほしい。この有名人、芸能人は部落出身だ、実は韓国人だといった、全く根拠もなく他人の出自をアウティングする情報が次から次へ出てくる。当然、これは関心を呼び、それを信じ込んだり拡散したりする人もいる。
そのうちの幾つかを取り上げ、私も、ユーチューブで問題情報の申請をしてみようと思ったが、なかなか手続が面倒である。ホームページの隅には報告ボタンがあって、問題情報の報告申請ができ、何回か報告した。同じものはしばらくすると見かけなくなるが、しかし、また新手の同じような投稿が次から次へ出てくる。いたちごっこではないが、一つ一つの申請を審査して削除していても、とても追いつくものではないと私も実感した。事業者に任せているだけでは、氾濫するネット情報をなくすには、極めて不十分ではないかと思わざるを得ない。問題情報を作成、発信している人物、そして、それを拡散して利益を得ているユーチューバーのような人たちがいるため、こうした発信者に対する罰則なども検討する必要があると思う。
その意味で、私が注目したのは、昨年12月に鳥取県議会でSNS上の誹謗中傷や差別情報の投稿者に対する罰則を設けた初めての条例が成立した事例である。これは、鳥取県の平井伸治知事が強いリーダーシップによって全国で初めてできたものであって、この効果がどのようなものになるのか非常に注目している。
本県としても、愛知県人権尊重の社会づくり条例を制定してから数年がたつ。この条例に基づいて始めたインターネット上の差別有害情報を検出し、それを削除する取組も、情報流通プラットフォーム対処法ができたこと、鳥取県条例ができたこと、それから鳥取ループという団体があって、これが部落地名総鑑のような旧被差別部落の地名を現在の地名と対照するような膨大なデータ、1970年代に部落地名総鑑として大きな社会問題になった情報をインターネット上で開示している。それに対する社会的規制というのは完全に尻抜けになっていたわけだが、これに対して、被差別者の当事者から損害賠償請求の裁判が起こされ、この判決が東京地方裁判所で確定した。つまり、これは人権を侵害する有害情報であって賠償責任があることが確定した。こういった動きを参考にして、発信者にも社会的制裁を加えることが必要な段階に来たと私は思っているので、先ほど答弁にあった本県の愛知県人権施策推進審議会においても議論して、今後の取組の中でぜひ検討してもらいたいと要望して終わる。
