【高木ひろし委員】
予算に関する説明書(1)の118ページ、人権推進事業費のうちのインターネットモニタリング事業費について伺う。
これは、愛知県に人権に関わる条例を制定したことをきっかけに始まった事業と理解しているが、これまでにこのインターネットモニタリング事業を実施した結果、どのような問題投稿や問題情報が発見され、それらをどのように処理したのか伺う。
【人権推進課長】
本県では、高木ひろし委員の指摘のように、2022年4月に施行した愛知県人権尊重の社会づくり条例、そして条例の基本計画として2024年3月に策定したあいち人権推進プランに基づき、インターネットによる人権侵害に対する取組を実施している。
インターネットモニタリング事業については、条例の制定に少し先駆けて2021年8月から実施しており、現在、部落差別、外国人、障害者、新型コロナウイルス感染症、そして性的少数者の五つの人権課題を対象に実施をしている。
2021年8月から本年2月末までの約3年半の間の件数等をまとめると、2,440件の差別的な書き込みを把握している。このうち悪質で違法性の高い213件については、本県から名古屋法務局に削除要請を行い、そのうち119件の削除を確認している。
なお、新型コロナウイルス感染症の人権課題については、その他の感染者の流行によって医療従事者等への過剰な誹謗中傷等が新たに生じるおそれがあることから、来年度からは感染症へと対象を拡大して実施する。
【高木ひろし委員】
もう数年にわたり実施している事業のため、この間にもインターネット上の問題情報はいろいろな分野に広がり、人権に関わる差別情報はもちろん、それ以外にも犯罪に結びつくような情報や、あるいは他人や有名人の画像を勝手に使った投資詐欺といった、ありとあらゆる有害情報がインターネット上に氾濫している。
国では、こういったネット上の情報について有害なものをプロバイダの責任において制限させる、削除させる特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律、いわゆるプロバイダ責任制限法を整備したと聞いているが、プロバイダ責任制限法とはどういった仕組みなのか。
【人権推進課長】
プロバイダ責任制限法は、昨年改正され、プロバイダのところに違法な有害情報があると被害者から申告がある場合に、プロバイダで対応して被害情報の削除等を検討していく法律である。
そして、大規模プラットフォーム事業者に措置を講ずるとのことで、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律、いわゆる情報流通プラットフォーム対処法に名称が改められた。
【高木ひろし委員】
インターネットモニタリング事業実施の結果、119件の情報が実際に名古屋法務局によって削除されたとのことだが、大きな問題はプロバイダを介在しなければ、なかなか差別情報を拡散しようと思ってもできないため、この規制が差別情報の問題、規制に関してもポイントになると思っている。数年間続けてきた差別的な情報に対する県のインターネットモニタリング事業の結果を踏まえ、今後これをどのように運用しようとしているのか、課題の認識について伺う。
【人権推進課長】
これまで3年半の間、違法な情報を捉えて、名古屋法務局に削除要請をして削除されるに至った。そして、今後、大規模プラットフォーム事業者に対するいろいろな義務を盛り込んだ情報流通プラットフォーム対処法が、この2025年5月に施行される。
県としては、そうした国の法律の強化された対応をしっかりと見て、県でもできる限りの対応を考えて、引き続きインターネットモニタリング事業を実施したい。

