令和7年経済労働委員会、県民環境委員会連合審査会 本文 2025-03-12

【高木ひろし委員】
 SAFの関連で伺う。私がSAFの知識を得たのは、一昨年の9月に南米調査団として訪れたブラジルにおいて、サトウキビを活用したエタノールの製造がかなりの規模で行われており、アルコールを取った残りのバガスの活用に関してもいろいろな用途が開発されていた。これは脱炭素のエネルギーをそれこそ絞り尽くすようなすばらしい取組だと思って感心した。そこでは、エタノールが航空燃料となり、特にブラジルにはエンブラエルという飛行機メーカーがあり、この飛行機メーカーがSAFを使うという、メーカーの面での開発も進んでいるとの話であった。
 そこで、これはすばらしい取組だと思う一方で、化石燃料以外の油を活用するといっても、その化石燃料以外の油を何から取るかは、その地域ごとの事情がいろいろあり、サトウキビをかなりの面積で栽培しているブラジルと本県などは全く事情が違う。活用し得る油として食用油に着目するのは必然性が当然あると思うが、問題は、丹羽洋章委員の話にもあったとおり、どのように回収するかである。食用油がどの程度回収されているのかという資料を見ると、240万トンの食用油が製造されて、そのうち排出されている食用油は50万トン程度らしいが、そのうちの約40万トンは事業系のレストランなどで出てくる廃食油である。残りの約10万トンが、家庭から出てくる廃食油である。事業者との契約で事業体は比較的容易に集まるが、問題は家庭から出る廃食油の回収がなかなか進まないことであり、回収利用されているのは約10万トンのうち1割以下だと聞いている。そこで、愛知県の場合、このプロジェクトだけではなく、廃食油の活用は大いに結構である。それをSAFに持っていくことは推進されるべきだと思うが、問題点はまず家庭から出る食用油をどのように回収するかという取組である。東浦町や犬山市などでは自治体が業者と提携を結んで回収しているようだが、果たして愛知県内の各自治体では家庭から出る廃食油の回収についてどの程度取り組んでいるのか伺う。

【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
 現在、市町村においても廃食用油の回収は進めている自治体、進めていない自治体がある。またその回収方法も、拠点回収など市町村によって違うことがある。その中で、先ほど質問にあった東浦町については、昨年、SAFの取組として、廃食用油の回収を進めている。

【高木ひろし委員】
 県が取り組む以上、県内の自治体へ協力を求めていくことは欠かせないと思うので、ぜひこのプロジェクトに関連した取組としてお願いしたい。
 もう一つ、この廃食油を利用してエネルギー、燃料として使うのは、ディーゼル燃料に廃食油を混ぜてB5燃料とし、バイオディーゼル燃料としてディーゼルエンジンに入れて使っており、かなり前から取組が行われている。同じ廃食油を使って、航空燃料も使う、従来から取り組まれているB5燃料やバイオディーゼル燃料として、軽油に混ぜて使う。自動車燃料と航空燃料を両方とも進めなければいけないわけだが、従来からのバイオディーゼルの取組に割って入って、航空燃料に持っていってしまうような、廃食油の争奪戦にならないか。知り合いで廃食油回収のバイオ燃料を製造する事業をやっている人もいる。航空燃料ではない自動車燃料に廃食油を使う事業との関連についてはどのように考えているのか。

【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
 今回、原料とする廃食用油についてであるが、令和3年度の全国値として、家庭から排出されているものが約10万トンある。そのうち、現在9割以上が廃棄されていると聞いている。また、事業者から排出されるものについても、廃棄されるものが約2万トン、その他排水中に流されていくものが多くあるといわれている。また、近年海外への輸出も増えており、その量は約12万トンとなっている。それに対して、先ほど質問にあったバイオディーゼル等の製造等で利用された量は1万トン程度である。今後、現在廃棄等されている廃食油をできる限り回収していくことと、輸出されているものについても県内での利用を促進することにより、今後、廃食用油からSAF、またその他の燃料の製造を増やしていく可能性はあると考えている。

【高木ひろし委員】
 最後に要望する。
 SAFへの地産地消で廃食油を使い燃料とするのは大いに結構だと思うが、従来からのバイオディーゼルの取組についても、まだいろいろな課題があり、もっと増やせるはずである。化石燃料をバイオ燃料に変える。これは地球温暖化防止のCO2削減の観点から引き続き重要だと思うので、こちらがさらに加速する施策についても併せてぜひ研究、検討してほしい。

令和6年目次へ >>