令和5年県民環境委員会 2023-12-12

 
 
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【高木ひろし委員】
今年度環境省が新たに始めた取組として、自然共生サイトを国内で認定していこうという動きがあった。この自然共生サイトはどのような取組であるのか。
また、その対象認定地域として、愛知県内の11か所が認定されたと聞いているが、自然共生サイトについての説明と、愛知県で認定された11か所について、どのような地域でどのような取組がこの中で選ばれたのか、代表的なものについて紹介してほしい。

【自然環境課担当課長(自然環境)】
自然共生サイト認定制度は、環境省が今年度から開始した仕組みであり、民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域を自然共生サイトとして認定するものである。
この制度の背景には、昨年のCOP15で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組の目標の一つである30by30目標がある。これは、2030年までに、陸と海のそれぞれ30パーセントを保全するという目標である。
現在の我が国においては、国立公園や国定公園など、陸域の20.5パーセント、海域の13.3パーセントの区域で保全が図られているが、企業やNPO等により保全されている森林やビオトープなどを、新たに自然共生サイトとして認定し、これらを合わせて30パーセントの達成を目指すものである。この制度は、県内の生物多様性保全に大きく寄与するものであり、本県としても積極的に後押ししていく。
続いて、自然共生サイトに県内で認定された11か所は、蛍生息地、ビオトープ、里地里山、複数の企業敷地をつなぐ緑地帯など様々である。また、その保全に当たっている人々も、地域住民やNPO、企業など多様である。
そのうちの一つ、岡崎市の鳥川ホタルの里では、地元住民が保存会を結成し、地区が一丸となって、ゲンジボタルが生息する環境の維持を図っている。また、知多半島グリーンベルトは、出光興産株式会社、日本製鉄株式会社など11社が協働で取り組んでいるものであり、大学生の参加も得ながら、知多半島産業道路沿いに広がる緑地帯等において、ビオトープの造成や各工場敷地を生き物が自由に行き来できる通り道の整備などを進めている。
本県では、企業とNPOをつなぐマッチング制度、専門家派遣制度、さらに、あいち生物多様性企業認証制度により企業等の取組を後押ししてきた。引き続き、これらの取組により、民間主体の保全活動を支援していく。

【高木ひろし委員】
今、紹介があった11の地域のうち、私が関心興味を持ったのが、知多半島グリーンベルトである。これは、私も何回か通るたびに感心していたが、中部電力株式会社や日本製鉄株式会社を始め、産業道路沿いの名だたる企業が、産業道路沿いに広大な森林を形成しているものである。出光興産株式会社に勤めている知人がおり、この森林の保全を担当している。10年以上前の話になるが、専門的な知識も勉強して、森林の世話にかなりの力を割いたと聞いた。
それが今回、知多半島グリーンベルトとして11社が関わった10キロメートル以上にわたる森林が認定された。非常によいことだと思う。
県も生物多様性に関しては、企業認証制度を行っている。そして、以前からいろいろな生物多様性保全に対して、守る、つなげる、使う、広める活動を行っている企業を認定している。
自然共生サイトで認定された企業と重なる企業もかなりあるが、例えば、私が注目していた出光興産株式会社は、この認証制度の中には入っていない。
愛知県が行っている生物多様性企業認証制度と、今回の環境省が始めた自然共生サイトの認定選択と、認証に重なる部分があると思うが、両者の関係がどうなっているのか。

【自然環境課担当課長(自然環境)】
あいち生物多様性企業認証制度は、2022年から始まった取組である。
これは、県内に本社や事業所を置く企業を対象としており、生物多様性保全に取り組む優れた取組を認証するものである。昨年度と今年度の2年間で、これまで55社を認証している。
この取組は、生物多様性保全の取組で、例えば自然共生サイトのような土地の保全もあるが、そのほかに希少種の保全、外来種の駆除、地元の学校や地域に対しての普及啓発活動といった幅広い生物多様性に関する取組を対象としている。
一方、自然共生サイトは、NPOや企業などが所有または管理している土地を対象にした認定制度である。もちろん自然共生サイトの取組も、生物多様性保全の取組で、あいち生物多様性企業認証認定の対象になるため、そこで優れた取組をしていれば、企業認証として認証の対象となる。
しかし、認定の中には、ほかにもいろいろな認定基準があるため、該当するような取組をしている企業があれば、県からも積極的に働きかけて、企業認証の取得を促進したい。

【高木ひろし委員】
要望であるが、本県は産業県であり、特に名古屋港周辺などはCO2排出の非常に多い企業がある。自然環境保護や地球温暖化防止に対しては、先進県とは言い難いイメージがあるが、このような形で民間団体や企業が、自然保護に対しても、ただ保護するだけではなく、森林や緑地を新たに創り出し、資源を振り向けていることは、もっとPRすべきである。
こうした取組は本当に誇るべきである。企業及び地域単位の両面からこうした取組がもっと促進されるように、そして環境に対する先進県らしいイメージアップに資することを、今後やってもらいたい。

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