【高木ひろし委員】
有機フッ素化合物、いわゆるPFAS、PFOSについて伺う。
6月定例議会の委員会で県に聞いたところ、これまで国が定めている暫定指針値である、1リットル当たり50ナノグラムという水準を超えた地点が、愛知県内に5か所あったことを明らかにした。
一つは河川で名古屋市の荒子川である。また、瑞穂区の新堀川、日の出橋付近、地下水では西春日井郡豊山町、半田市の阿久比川の河川である。それと、春日井市の鷹来町の地下水、この5か所から50ナノグラムを超える値が検出されたことを改めて明らかにした。
この結果を自分の議会報告などを通して広報したところ、地元の瑞穂区の人から、新堀川の日の出橋で、新堀川から出たPFASが、どこから出たものなのか、あるいは、この環境指針値を超えていることが、人体に影響はあり得るのかということについて、いろいろ問合せをもらった。関心は非常に高まっていると思う。
最近は、近場だと各務原市、浜松市などでかなりの値を上回る。特に浜松市は28倍ぐらいの値が出ており、報道も徐々に多くなってきている。前回、6月の委員会で質問して以降、明らかになった県内における暫定指針値を超過した事例はあるのか。
【水大気環境課担当課長(水環境)】
以前回答した事例以外では、公共用水域では阿久比川の半田大橋と、地下水では刈谷市内で、暫定指針値50ナノグラムを超えるPFOS及びPFOAが検出されており、それぞれ98ナノグラム、50ナノグラムとなっている。これらの結果は、9月末に2022年度公共用水域及び地下水の要監視項目の調査結果としてウェブで公開した。
なお、刈谷市内の調査地点周辺の井戸所有者に対しては、暴露防止のため刈谷市と県が連携してチラシを配布しており、飲用を控えるよう注意喚起を行っている。
【高木ひろし委員】
調査地点を増やせば増やすほど、指針値オーバーが次々と出てきている。注意を要するのは、指針値以上のPFASが染み出している地下水を飲用している地域があり、直接、指針値以上のPFASが人体に吸収されているおそれがあることである。これは早急な対策が必要なのではないか。また、それが人体にどのような影響を及ぼしているのか。一部では民間の人が血液検査などを行い周辺住民の健康チェックをやっているような事例もあるが、ここでも人体に入った血液中の濃度について、海外で定められている基準をオーバーしているという例も実際に出ているため、人体への影響が、国内各地で広がっているおそれがあると確認されつつある。
国も、報道によると、これまでは研究チームをつくって検討する段階であったが、本格的な調査に乗り出すような動きも報道されている。国の取組状況がどのように変化していると捉えているのか。
【水大気環境課担当課長(水環境)】
国は、7月にPFASに対する総合戦略検討専門家会議の監修の下、PFOS、PFOAに関するQ&A集を作成するとともに、PFASに関する今後の対応の方向性を取りまとめた。
また、環境省の令和6年度の予算概算要求で、PFAS総合対策の推進に関する事業を打ち出しており、PFASの有害性の評価や水道に関する目標値、水環境中の指針値等の在り方を検討している。
PFOS、PFOA以外の有機フッ素化合物PFASについては、まだ測定手法が定まっていない部分もあり、今年度から分析方法の検討が始まっている。PFASの存在状況も把握できることから、本県も検体採取に協力する。
【高木ひろし委員】
改めて、他の委員にも知ってもらいたいが、PFOS、PFOAという有機フッ素化合物が環境中にばらまかれ始めたのはまだ新しいことであり、1970年代や1980年代に、アメリカの化学企業である3Mがテフロンという化学物質を合成した。これは、これまでの自然界には一切存在しなかったものであり、水にも油にもなじまない、優れた撥水性や撥油性を持っていた。3Mはこの性質に着目して製品化した。3Mの幾つかの製品で世界的にヒットした商品として世界中に行き渡った。それから、デュポンというアメリカの有名な化学メーカーが、さらに応用し、様々な製品を世に送り出した。一番身近なものとして、フライパンがある。フライパンは、テフロン加工といって、このPFASに類するものを塗布すると一切こげつかない。これは非常に便利で、こげつかないフライパンとして一挙に日本にも広がった。日本では、このデュポンや3Mの製造拠点もあるし、日本のメーカーではダイキン工業が、大阪府でかなり大規模に、これを使った製品を製造している。もう何十年にもわたって我々の身近な環境中に既に存在している。
ナノという聞き慣れない数値ではあるが、微量であっても危険であり、同時に、環境中で人体に入ってもほぼ分解されない、永遠に残ってしまう特質も持っている。よって、永遠の化学物質というニックネームがついている。これは、アメリカの対策に比べると、日本では商品が流布している割には対策が遅れており、いまだにこの暫定指針値から、しっかりした環境基準にすらなっていないという段階である。地域によっては東京都や沖縄県ではその対策を国に先んじて進めつつあるが、本県としても、指針値がオーバーした地点がどんどん増えていくことについて、ただ広報するだけではなく、対策していくべきだと思う。解明はされていないが、非常に濃縮されたPFOSが環境中にばらまかれる蓋然性の高い地点として、空港や軍事基地の周辺が非常に強く疑われている。本県でも豊山町や小牧市、春日井市等が、近隣の県では各務原市、浜松市に自衛隊基地がある。これらの空港では、泡消火器を非常事態のために必ず備えている。このPFOSを含む泡消火器が、一番瞬時に消火できる消火性能の高いものとして、どこの空港にもある。これは、禁止されていないどころか、今使っているものを使わないでほしいとも言っていない野放し状態が続いている。県として取り組んでもらいたいのは、汚染源がどこなのか、突き止めることである。規制値、規制物質がなくても、環境への影響が懸念されるものが発見されれば、県の検査によって、原因がどこであるのか、あるいは、その影響を職権により検査や調査する権限を持っている。よって県には動いてもらうべきだと思うが、今後、県として、次々と明らかになっていくPFOS、PFOA等の有害物質の環境中への拡散や汚染の広がりに対して、どのように取り組んでいくのか。
【水大気環境課担当課長(水環境)】
PFOS及びPFOAについては、泡消火薬剤のほか、半導体用反射防止剤、金属メッキ処理剤、界面活性剤等の幅広い用途で使用されてきた。国内では、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律で、PFOSは2010年に、PFOAは2021年に第1種指定化学物質に指定され、現在、製造、輸入等が禁止されている。
また、取扱いに関しては、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、PRTR法と呼ばれるもので規制されている。
これまで、県内での届出はなく、また、過去に取り扱っていた事業所の情報等がないため、汚染源を特定することは困難である。
また、今後、国のPFOS及びPFOAに関する対応の手引に基づき、暫定指針値を超過した地点の周辺地域での追加調査や、継続的な監視調査の実施について検討したい。
【高木ひろし委員】
急がれるのは、水道水として地下水を利用している地域の対応である。住民は知らずに飲んでいるため、飲用としての利用をやめてもらう必要がある。県として、他部局と連携を取り、人体にこれが入ることをまず遮断するところから対策を早急に取ってもらいたい。