令和5年県民環境委員会 2023-06-28

 
 
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【高木ひろし委員】
所管事項説明会でも質問したが、各地で問題になっているPFASという発がん性のある環境汚染物質について伺う。 PFASというのは数千種類の化合物の総称であり、有機フッ素化合物の総称とされており、身の回りの調理用品や、半導体製造などに幅広く利用されるようになった。 油をはじく、水をはじくという特性があり、環境中で分解されないといった特性が有用であり、工業的に利用されてきたが、これが逆に人体の中に蓄積した場合には、がんや子供の発育阻害などとの関連が心配される。
国際条約によって規制が始まった歴史は10年ほどであり、日本でも一応、製造禁止や在庫の監視は進んではいるが、はっきりとした環境基準が定められているわけではなく、暫定的なものである。
この禁止や監視体制以前に、土壌や地下水を通じて汚染が既に相当進行しており、近年、それがいろいろなところで表面化してきている。
端的には沖縄県である。沖縄県の米軍基地の周辺で、米軍が使っている泡消火剤の中に、PFOS及びPFOAが多量に含まれている。因果関係は証明されていないが、基地周辺で発見されており、住民の使う飲料水の中からも相当な量のPFOS及びPFOAが確認されているということで、かなり大きな問題になっている。
それが沖縄県だけではなくて、最近は東京都立川市の横田基地の周辺であり、基地との関連が疑われるような、国分寺をはじめとして、横田基地の周辺市町村を調べたところ、かなりの確率で環境中にPFOAが検出された。
また、さらに重要なことは、住民の血液検査をやったら、住民の血液中にも既にかなりの量の影響が確認されたということで、これは健康被害との関係がますます心配されるという事態である。
本県でも最近、豊山町や春日井市の地下水で、指針値を上回る事例があった。これが発覚してきた経緯というのは、県や水道事業者も調査しており、市民団体が大学と共同して、住民の血液検査なども自主的にやっていると聴いている。
東京都もかなり動き出しているが、愛知県としてPFOAという物質に対する監視や規制を今後どうすべきかということが問題になる。
県としての調査、監視の中で、PFOAが指針値を超過したという場所や濃度は、具体的にどの程度だったのか。そして、それが検出された原因、汚染源は一体どう考えたらいいのか。

【水大気環境課担当課長(水環境)】
有機フッ素化合物のうちPFOS及びPFOAについては、2019、2020年度に環境省が全国存在状況把握調査として調査を行っており、2020年度にこれを受けてこの物質が要監視項目に追加され暫定指針値が示された。
これを受け、本県では、2021年度から、水質汚濁防止法に基づく公共用水域及び地下水の水質測定計画における調査項目に追加した。
これらの調査では、名古屋市及び半田市内の河川、豊山町及び春日井市内の地下水で91から107.7ナノグラム毎リットルというレベルで検出され、関東、関西、沖縄等で検出されている数百から数千ナノグラム毎リットルというレベルではないものの、指針値の50ナノグラム毎リットルを超過した事例があった。
また、超過した地点の周辺において、PFOSを取り扱う事業所等の確認を行っているが、その原因の特定には至っていない。
なお、PFOS及びPFOAの使用用途は、泡消火剤の成分の一部として用いられているほか、PFOSについては半導体や金属メッキ等、PFOAについては、繊維、医療、電子基板、自動車、食品包装紙等のフッ素コーティングとして多岐にわたって使われているため、原因の特定は非常に難しいと考えている。

【高木ひろし委員】
環境中の公共用水域や地下水の水質をチェックするのは環境局の役目であり、県がこういう数値を全部まとめたような資料を年度ごとに出している。今、一部紹介があったように、確かに、PFOS及びPFOAという項目が一番後ろに設置されて、その関係市町村の指針値を超えた50ナノグラムを超えたところの地点はチェックをされている。
しかし、チェックしても、それが一体どこから出てきているのかということがはっきりしない。
そして、これが地下水を水道用の水源に使っているところもあるわけであり、人体に対する影響がどうなのかということも大変気になる。
健康への被害ということになると、これは所管が別の局になるかと思うが、愛知県の検査でいろいろチェックが入った以上は、その地下水を井戸水として利用している場合に、当然、健康への被害ということが懸念される。その点に関して、地下水や井戸水が水道用に利用されている箇所での県民への健康のチェックというのは、どのように対応しているのか。

【水大気環境課担当課長(水環境)】
現在、国においてPFOS・PFOAに係る水質の目標値等の専門家会議で、WHO等の動向を踏まえて毒性評価が検討されている。健康影響が明確に示されている状況ではない。
ただし、測定値が暫定指針値50ナノグラム毎リットルを超過した場合には、井戸水を摂取することによるPFOS及びPFOAへのばく露を防止するため、環境省のPFOS及びPFOAに関する対応の手引に基づき、保健医療局及び関係市と連携して、超過した井戸及びその周辺の井戸所有者に対して、井戸水の飲用を控え、水道水を使用するよう注意喚起しているところである。

【高木ひろし委員】
地下水をチェックする地点が幾つか決まっているわけだが、そこの中でも飲用に使っている井戸というのは、特に重要だと思う。今までの地下水の測定地点というのが県内で決まっており、それ以上に飲用に使われているような井戸水は、PFOAに関してはどうなのか。検査地点には入っていないが、飲用に使っている井戸水は、検査対象を広げて検査してみるのはどうか。
それぞれ、住民の懸念は広がっており、今後の対応が求められているが、愛知県として今後の調査の対象を拡大するとか、不安解消に努めるための原因究明について県独自の調査チームを設けるとか、何か今後の取組について考えていることはあるのか。

【水大気環境課担当課長(水環境)】
現在、PFOS及びPFOAは、水質汚濁に係る人の健康影響に関する環境基準項目ではなく、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべきものとして要監視項目に位置づけられている。
このため、本県では、PFOS及びPFOAの存在状況について計画的に調査を行い、全県的な状況の把握に努めているところである。
今年度も、国や政令市による調査も含め、公共用水域60地点、地下水36地点の調査を予定しており、その結果についてはWeb等で公表し、県民の不安解消に努めていく。
公共用水域及び地下水の水質測定計画については、毎年、環境審議会水質部会に諮っており、有識者の意見等を伺いながら、新しい地点や継続調査、追加調査について検討していく。
さらに今年度中に、名古屋市北区にある愛知県環境調査センターにおいてPFOS及びPFOAの分析ができるよう、高速液体クロマトグラフ・タンデム質量分析計を整備して迅速に対応できるよう測定体制を強化していく予定である。

【高木ひろし委員】
愛知県内でも、豊山町や春日井市で検出されたことを聞くと、小牧市や春日井市の自衛隊関係の基地の周辺であることが連想される。その因果関係は明らかではないが、住民の中に不安があり、その因果関係の究明と対策の声が高まっていることは事実だと思うので、国の指示や調査に従うだけではなく、沖縄県や東京都のように地域的にそれが問題化したところは、都道府県が国に先んじて、いろいろ対策や調査を始めることが、全国的な規制につながっていくことになる。愛知県もそういう地域になってくるおそれが高いため、ぜひ積極的な先取りするような取組をするよう要望する。


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