令和5年2月定例会(第7号)2023-03-09

 

動画を見る

PDFを開く

◯九十三番高木ひろし君
私からは、二項目についてお尋ねしたいと思います。
まず一点は、歳出第八款警察費第二項警察活動費について、警察における個人のDNA型データの扱いについて伺います。
愛知県警がその捜査過程で任意でDNA型データを採取したケースについて、当事者からその抹消を求める訴訟が幾つか起こされ、名古屋地方裁判所において、最近、幾つかの判決が出ております。
最も注目すべき判決は、昨年一月十八日の名古屋地裁判決であります。瑞穂区に住む奥田恭正さんは、自宅近くの高層マンション建設への抗議活動の中で工事関係者を突き飛ばしたとして、暴行罪で現行犯逮捕されました。これは結局無罪が確定いたしました。
これを受けて、奥田さんは、不利益を被ったとして国家賠償請求を起こすとともに、警察に対し、捜査過程で採取されたDNA型データなどの抹消を求めて提訴しておりました。 これに対して、名古屋地裁は、無罪が確定した人のデータは、再犯のおそれなど特別な事情が示されない限り、これを抹消すべきであるとの判断を示しました。警察はこれを不服として現在控訴中でありまして、データの抹消はいまだに行われてはおりません。
いま一つは、昨年の三月三日の判決。これは、名古屋市天白区で行方不明になった自分の飼い犬、ペットの犬の情報を求めるチラシを電柱に貼りつけていた女性が屋外広告物条例違反容疑で取調べを受けた際に、DNA鑑定のための口腔内細胞と指紋を採取されたものであり、結局、これは不起訴になりました。これに対して、この女性がこの情報の削除と慰謝料を求めて訴えておった裁判であります。
この判決は、指紋記録は採取の二か月後に削除されていると。口腔内細胞に関しては、採取はされたがDNA鑑定には至っておらず、データの保管がされていないとして、削除請求が退けられております。
三つ目は、今年二月十七日の同じく地裁判決でありまして、これは、あま市の男性が立入禁止の用水路で魚釣りをしていたところ、津島署の警察官に見とがめられ、DNA鑑定のための口腔内細胞や顔写真や指紋をやっぱり採取されました。これも軽犯罪法違反容疑で書類送検をされましたが、これもやはり不起訴になっております。
この男性は、警察が高圧的な態度で任意同行を求め、意に反して採取に応じたなどと訴えて、DNAデータの抹消を求めて提訴いたしましたが、この判決では、容疑が軽いからデータ保管の必要性がないとは言えず、不起訴になってもデータ保管の必要性は消滅しないと、こんな判決が出て訴えが退けられております。
最近の犯罪捜査において、警察は、従来の指紋データに加えて、個人識別精度が非常に高いDNA型データを積極的に活用する方針を取っているようであります。
新聞報道によりますと、警察庁は、二〇二〇年度末時点で、指紋データを千百三十五万人分、DNA型データを百四十一万人分、データベースとして登録をしておりまして、年間十五万件以上のデータが追加されているということであります。
年間の検挙件数がおよそ二十五万件ほどでありますので、犯罪容疑の種類やその重い軽いにかかわらず、警察が積極的にこのDNAデータの任意採取を求めているという実態がうかがえます。
一方、DNA型データというのは、言うまでもありませんが、万人不同一性、終生不変性、つまり、この世の中に同じDNAデータの人はいないという科学的見解が出ておりますので、かなり高い確度で、DNA型データが一致すれば、これは同一人物だというふうに判定される。そしてまた、重要なのは、このDNA型データというのは、人が生まれてから死ぬまで、終生変わらないということであります。
これは捜査にとっては非常に都合のいいデータであることは分かります。しかし、同時に、これは非常に究極の個人情報と言われるぐらいセンシティブな個人情報、プライバシーに属する権利でもありますので、捜査上の必要性と無関係に収集されていいというはずはないと思います。ましてや、警察のDNA型データベースに一旦登録されてしまうと、これを抹消したり削除するルールが存在しないというのが極めて問題だと思います。
そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
犯罪捜査において、個人のDNA型データはどのように活用されているのか。また、被疑者からDNAを採取する根拠法令及び基準、さらには被疑者からのDNAを採取する際の手続について、具体的にどのように実施されておるのか御説明願います。
二つ目の項目は、歳出第九款教育・スポーツ費第四項高等学校費、県立高校のバリアフリー化についてであります。
この問題は、再三私も取り上げさせていただきましたが、新年度予算に関わる部分を質問したいと思います。
令和二年に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法が改正されまして、これに学校がその対象に含まれました。特別支援学校や公立小中学校が義務となりましたとともに、高校に対しても適合努力義務が法律に明記されております。
この改正を受けて、文部科学省は、全国の小中学校で現在三校に一校ぐらいの割合でしか設置されていないエレベーターを四割以上に増やそうという目標を立てて、令和七年度までに補助率を特別に引き上げるなどして、学校のバリアフリー化を本格的に推進しております。
一方、本県の県立高校におけるエレベーターの設置率は、現時点で、私が確認した限り、百四十九校中、僅か九校、一割にも満たない状態のままであります。しかも、これまでの教育委員会と障害者団体とのやり取りの中で、教育委員会側は、財務施設課ですが、新設や改築する際には条例に基づいてエレベーターをつけるけれども、既存の校舎にエレベーターを追加設置するということは行わないということをはっきり断言しているんです。これは適合努力義務という条項を無視した問題な態度だと私は思います。
三月二日の代表質問においても、県立普通科高校の魅力アップのためにはハード、ソフト両面の対策が必要だということを教育長も述べられておるとおり、ハード面における県立高校のバリアフリー化の著しい遅れは、特に障害のある生徒さんたちが県立高校を選択する上での大きな壁になっていることは事実であります。エレベーターがないということはその象徴的な問題だと思うので、この点に絞って伺いたいと思います。
第一点は、令和五年度予算、現在提案されている令和五年度予算において、中高一貫校や老朽化対策など、県立高校に関わる施設整備費が計上されておりますけれども、これによってエレベーターの設置がどのくらい、何校で何基ぐらい見込まれているのかお答えください。
第二点は、県立高校のエレベーターについて、今後、中長期的にはどのようにこの整備を進めていこうとしているのかお答えいただきたいと思います。
三点目は、小中学校において、現在、車椅子を利用しているなど、エレベーターを必要として登校されている児童生徒さんはかなりの数いるはずであります。この人たちが、この児童生徒たちがいずれ高校へと進学してくることを見越して、その在籍人数をまず把握して、調査して、これを高校におけるエレベーター設置目標の計画化の基礎とすべきだと考えるのでありますが、この点に関するお考えをお聞かせください。

◯警察本部長(鎌田徹郎君)
DNA型鑑定資料の採取についての御質問にお答えいたします。
まず、DNA型記録の犯罪捜査への活用についてでございますが、警察では、被疑者から採取した資料から作成いたしました被疑者DNA型記録及び犯人が犯罪現場に遺留したと認められる資料から作成いたしました遺留DNA型記録、これを警察庁のデータベースに登録し、未解決事件の捜査をはじめとします様々な事件の捜査において、犯人の割り出しや余罪の確認等に活用しております。
次に、被疑者からDNA型鑑定に必要な資料を採取する根拠法令及び基準についてでございます。
被疑者のDNA型鑑定資料につきましては、刑事訴訟法に基づき採取しているところであります。
その基準といたしましては、本件や余罪の捜査のために必要があると認められる場合に採取しておりまして、その必要性につきましては、個別具体の事案に即して組織的に検討し、判断をしているところでございます。
なお、余罪の捜査のために必要があると認められる場合とは、検挙した被疑者による余罪事件を具体的に把握している場合のほか、本件の罪種、手口及び態様、検挙被疑者の言動、所持品、生活状況及び前歴、関連地域における犯罪の発生状況等を総合的に考慮して、DNA型鑑定を行うことにより検挙被疑者の余罪の有無を確認する必要性が認められる場合ということでございます。
続きまして、被疑者からDNA型鑑定資料を採取する際の手続についてでございます。
被疑者から任意にDNA型鑑定資料の提出を受ける場合には、提出されたDNA型鑑定資料のDNA型鑑定を実施して、その結果を本件や余罪の捜査に利用することについて十分に説明を行った上で、任意提出書等の必要な捜査書類を作成し、専用の採取キットにより口腔内細胞の提出を受けているものでございます。
また、強制処分として被疑者からDNA型鑑定資料を採取する場合には、鑑定処分許可状等、必要な令状の発付を得て行っておるものでございます。
DNA型鑑定は、個人を高い精度で識別することができる鑑定法であるところ、採取の必要性の判断や手続には十分留意しているところでございます。
引き続き、県警察におきましては、適法な手続によりDNA型鑑定資料を採取し、殺人事件等の凶悪事件のほか、窃盗事件等の県民の身近で発生する犯罪の解決に努めてまいりたいと、かように考えております。

◯教育長(飯田靖君)
県立高校のバリアフリー化についてのお尋ねのうち、初めに、二〇二三年度予算において県立高校に係る施設整備のうち、エレベーターの設置がどれぐらい見込まれているかについてお答えをいたします。
まず、コンクリート圧縮強度調査の結果、建て替えることといたしました明和高校と春日井高校の校舎にそれぞれエレベーターを設置いたします。また、明和高校では別棟となります音楽棟にも設置をいたします。
次に、明和高校を除く併設型中高一貫校六校の中学校用の校舎にエレベーターを設置いたします。
さらに、高校再編により新たな高校となります稲沢緑風館高校につきましては、新築をする校舎にエレベーターを設置いたします。
以上の九校において十基のエレベーターを設置する予定であり、二〇二三年度はそれぞれ設計を進めてまいります。
次に、中長期的なエレベーターの設置の予定についてでございます。
二〇二〇年五月に、いわゆるバリアフリー法が改正をされ、新たに公立の小中学校がエレベーター等を設置する義務がある建築物移動等円滑化基準の対象とされました。
これを受け、国は同年十二月に、要配慮者が在籍をする全ての公立の小中学校にエレベーターを二〇二五年度までに整備する目標を設定し、公立の小中学校の設置者に対して、エレベーター等のバリアフリー化整備の加速を要請したところでございます。
この国の動きにつきましては、高校は努力義務ではありますけれども、バリアフリー化の重要性や必要性は県立高校におきましても同じであると認識をしております。
県立高校へのエレベーター設置につきましては、バリアフリー法及び人にやさしい街づくりの推進に関する条例に基づき、校舎の新築や建て替えの際に設置を進めてまいります。 既存の高校校舎につきましては、急務となっている老朽化対策として長寿命化の改修をスピード感を持って進めており、車椅子を使用する生徒が入学をした学校では、現在は階段昇降機を御利用いただいているところでありますけれども、障害のある生徒の学びを支える環境の整備は大変重要だと考えております。
今後、学校内をより円滑かつ安全に移動ができる方策につきまして、国や市町村の動向も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
最後に、エレベーターを必要としている小中学生の調査及びそれに基づくエレベーター設置目標と計画化についてでございます。
議員お示しのとおり、エレベーターを実際に必要としている児童生徒の状況を把握することは、今後のバリアフリー化の推進に向けて考えていく上で有用であると考えますので、今後、国の学校施設に関する調査に合わせまして、市町村の状況を調査してまいります。
この調査結果につきましては、障害のある生徒が学校内をより円滑かつ安全に移動ができる方策について検討をしていく際に活用してまいりたいと考えております。よろしくお願いします。

◯九十三番高木ひろし君
それでは、DNA型データについて、今の御説明を伺った上で再度お尋ねしたいと思います。
非常に複雑な法的な根拠なり手続、御説明いただきましたけれども、私なりに要約すると、要は、どんな犯罪で捜査した場合であっても、余罪があるかもしれないと。今は発見していない余罪がこの人がやっているかもしれないということで、そういう場合の必要性も含めて、DNA型データを念のために取らせてくださいと、こういうような要請だというふうに理解をいたしました。
そうすれば、もともと何かの容疑でもって取調べを受けているわけですから、そう言われれば、普通、なかなかこれ、嫌ですというふうに拒否する人は少ないかもしれません。
しかし、一旦、警察が自分のDNA型データを取った後がどうなるのかということは、先ほどの判例を見ても分かるように、抽象的にはというか、国家公安委員会規則によると、その人が、データの持ち主が亡くなった場合、それから、警察にとって保管の必要がなくなった場合、この二つの場合には削除するということに一応なっているんですが、国会でのやり取りを聞いていますと、どういう場合が一体保管の必要性がなくなった場合なんだというふうに聞いていきますと、唯一はっきりおっしゃっているのは警察庁の長官だと思いますが、誤認逮捕です。犯人じゃない人を間違って捕まえちゃった場合には、その捜査過程で取ったDNAデータは削除すると。これは当然ですよね。
しかし、私が思いますに、例えば用水路で魚釣りをしたとか、電柱にビラを貼ったとかいう程度の人の、しかも、それも不起訴になっている、その人にどんな余罪があるかなんて、普通の我々一般人と同じですよ。特段別に犯罪と関連する可能性が高いなんていうことは一切ないというふうに判断されるのに、警察はなぜかこれ、削除を拒否されるんですね。保管の必要性があるという形で削除された例が報告されておりません。
一体、この保管の必要性がなくなったときというのは、今、本部長はなかなか具体的には答えられないと先におっしゃったからあれですけど、ここはぜひ、こういう場合は誤認逮捕以外でも、これは必要性がなくなったとして削除することがあるんだという御説明をいただきたいんです。これがないと、結局、これから任意でDNA鑑定をしたいから協力してくださいと言っても、その後、私は全く潔白だということがはっきりしたのに、その取られたDNA型データが相変わらず保管され続けるという疑念を持ったら、皆さん、協力しなくなるんじゃないですか、DNA型データの採取に。保管における基本的なルール、必要性がなくなったら削除するというのは、必要性がなくなった場合というのはどんな場合なのか、具体的に御説明いただければありがたい。

◯警察本部長(鎌田徹郎君)
お答えいたします。
被疑者DNA型記録につきましては、警察庁において整理、保管しているものでございまして、県警察としてお答えする立場にはないということを御理解いただきたいと思います。
いずれにいたしましても、DNA型記録取扱規則に基づきまして、個別具体的な事実関係に即して保管の必要性が判断されているものと承知しておるところでございます。


令和4年目次へ >>