【高木ひろし委員】
県は、あいち地球温暖化防止戦略2030の改定に当たって検討委員会を設置し、これまでに3回、検討委員会を開催しているが、どのような議論をしたのか。
【地球温暖化対策課担当課長(地球温暖化対策)】
あいち地球温暖化防止戦略2030の改定に当たり、学識者、行政機関、業界団体等で構成されるあいち地球温暖化防止戦略2030改定検討委員会を開催した。第1回あいち地球温暖化防止戦略2030改定検討委員会は7月5日に開催し、戦略改定の課題認識、方向性の検討、戦略改定版(案)の構成等について検討した。第2回あいち地球温暖化防止戦略2030改定検討委員会は9月8日に開催し、温室効果ガス排出量、国の法律が改正され新たに盛り込むこととなった再生可能エネルギーの導入量の将来推計、削減目標の考え方、重点施策の検討、戦略改定版(素案)について検討した。第3回あいち地球温暖化防止戦略2030改定検討委員会は11月7日に開催し、戦略改定版(案)について検討した。
その後、パブリックコメントを11月12日から12月11日まで実施した。
【高木ひろし委員】
パブリックコメントを実施したとのことであるが、何件の意見があったのか。
【地球温暖化対策課担当課長(地球温暖化対策)】
まだ確定していないが、約30人から、約180件の意見が提出されている。
【高木ひろし委員】
県のホームページを見てもこれまでの改定検討委員会の会議録が公表されていない。改定検討委員会で何を議論しているのか公表していない中で、パブリックコメントを行っても、県民の関心が高まらないのではないか。
地球温暖化は、環境問題であるとともに、エネルギー問題の側面がある。ここ数年、石油を中心としたエネルギー価格が非常に高騰しており、国は生活や産業に与える影響を考慮して補助金を出している。
また、国では、エネルギーの安定供給に向けて、例えば原子力発電所の新増設も含めて、延長年次をさらに延ばす議論も行っている。
やはりエネルギーは、価格と安定が欠かせない要件であるため、石炭や火力に依存する割合が特に高い本県では、燃料価格の高騰は大きな影響を受けると思う。
そこで、現在の燃料価格の高騰は、あいち地球温暖化防止戦略2030の改定における議論に何か影響を与えているのか。
【地球温暖化対策課担当課長(地球温暖化対策)】
ロシアのウクライナ侵攻等の影響によりエネルギー価格が高騰し、比較的安価な石炭への回帰の動きも報道されているが、地球温暖化への対応は喫緊の課題であり、脱炭素の流れは変わらないと考えている。今月、国際エネルギー機関(IEA)が公表した報告書によると、エネルギー危機を背景に、自前で得られる再エネルギー開発が世界的に進むと分析されている。
今後策定するあいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)に基づき、より一層の省エネルギーの徹底及び再生可能エネルギー、蓄エネルギーの導入拡大を進め、カーボンニュートラルの実現を目指したい。
【高木ひろし委員】
化石燃料や石炭への回帰を抑制しつつ、再生可能エネルギーへのシフトを早めることにより、あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)を推進することを要望する。
次に、地域新電力について伺う。
地域新電力の多くは、再生可能エネルギーの普及やエネルギーの地産地消を進めることによって地域の自立や自治を進めようという志を持って取り組んでいる。こうした動きをさらに促進すべきだと思うが、県内で活動している地域新電力の会社、この中でも特に自治体が関与したり、再生可能エネルギーを中心に進めている新電力の動向について、どのように把握しているのか。
【地球温暖化対策課担当課長(地球温暖化対策)】
県内で再生可能エネルギーを活用して、自治体が出資している地域新電力は、現在、株式会社岡崎さくら電力、穂の国とよはし電力株式会社、刈谷知立みらい電力株式会社の3社である。
県内初の自治体出資による地域新電力である株式会社岡崎さくら電力は、岡崎市と民間事業者4社が共同出資し2020年3月に設立され、岡崎市のクリーンセンターや太陽光で発電された再生可能エネルギーなどを市の公共施設に供給している。販売電力の約5割が卸電力市場価格の影響を受けており、仕入価格の高騰等により経営が厳しくなったことから、本年8月に電気の販売価格を引き上げて、経営の安定化を目指している。
穂の国とよはし電力株式会社は、豊橋市と民間事業者2社が共同出資し2020年10月に設立され、下水汚泥や生ごみによるバイオガス発電施設で発電された再生可能エネルギーなどを市の公共施設に供給している。販売電力の調達先として卸電力市場の割合が低いことから、電力価格の高騰の影響が少なく、さらに電気の販売価格を引き上げたことにより経営は安定している。
刈谷知立みらい電力株式会社は、刈谷市、知立市及び民間事業者2社が共同出資し、先月に設立されたばかりであり、まだ事業は開始されていない。
【高木ひろし委員】
電力価格の大変動や上昇により経営が困難になった事例もあるが、県として、県内の自治体が関与して進めている再生可能エネルギーの普及を目指したこうした取組を育成し、支援しようという考えはあるのか。
【地球温暖化対策課担当課長(地球温暖化対策)】
再生可能エネルギーを利用した地域新電力は、エネルギーの地産地消となり、地域の脱炭素化を進める上で大変意義のある取組と考えている。
直接的な支援は行っていないが、地域新電力の事例を市町村に紹介して、再生可能エネルギーの地産地消を進めていきたい。
【高木ひろし委員】
県内でも市民や地域が主体となって電力を自分たちでつくり出して、消費しようという流れが芽生えてきている。こうした動きは、エネルギーシフトの動きの中の主体として、もっと積極的に位置付けるべきと考える。現在改定を進めているあいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)に、こうした観点も盛り込んでほしい。
【地球温暖化対策監】
再生可能エネルギーの導入は、省エネルギーと並んで車の両輪である。それをどうやって加速させていくのかが我々に求められている。あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)では、可能な限りのことを記したつもりだが、策定後もしっかりとPDCAを回し、省エネルギーと再生可能エネルギーの普及について市町村とも共有しながら、一歩でも前へ進むように取組を継続していく。