令和4年県民環境委員会 2022-12-09

 

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【高木ひろし委員】
社会全体のデジタル化に対応するため、国は個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)を改正し、それに基づいて県の個人情報に関する条例も改正されると理解している。初めに国が個人情報保護法を改正した経過を伺う。

【県民総務課担当課長(情報)】
地方公共団体の個人情報保護制度は、現在、各地方公共団体が制定した個人情報保護条例により規律されている。しかし、社会全体のデジタル化に対応した個人情報保護とデータ流通の両立が要請される中、地方公共団体ごとに個人情報保護条例を規定し運用することはデータ流通の支障となり得る。そのため、昨年5月の個人情報保護法改正により、民間事業者を対象とした個人情報保護法、国の行政機関を対象とした行政機関個人情報保護法、独立行政法人等を対象とした独立行政法人等個人情報保護法の3本の法律を1本に統合するとともに、地方公共団体の個人情報保護制度について改正後の個人情報保護法において全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を国の行政委員会である個人情報保護委員会に一元化することになった。本県においても来年度から個人情報保護法が適用されることになり、個人情報の保護に関する法律施行条例(法施行条例)を制定する必要が生じた。

【高木ひろし委員】
地方分権の立場からすると、各自治体の考え方により保有する個人情報の取扱いを定めることは当然であるが、これを全国一律に統一するのは、利便性の面で都合がいいことも理解する。
そこで、これまでの愛知県個人情報保護条例と制定予定の法施行条例では個人情報の保護の在り方について何か変わるのか。

【県民総務課担当課長(情報)】
個人情報保護法改正により変更する内容については、行政機関等匿名加工情報提供制度の導入を新たに実施しなければならないが、それ以外の取扱いは変わらない。 法施行条例では、これまで本県において取扱いをしていたことと同じような取扱いができるように、主に次のことを定めている。
まず、県の保有する個人情報の開示請求について、個人情報保護法では原則30日以内に開示決定等を行うとしているが、現行条例では原則15日以内としているため、県民の利便性を考慮し、今までどおり15日以内と規定する。
次に、開示請求手数料は現行どおり無料とし、写しの交付等の実費を現行どおり徴収する。
また、県の保有する個人情報のうち、県があらかじめ定めた試験の得点、順位について、現行条例と同様に本人から口頭により閲覧の求めがあった場合に閲覧させる制度を設ける。
さらに、県の機関等の諮問に応じて開示決定等に係る審査請求や条例の改廃の立案などについて調査、審議させるため、現行と同様に愛知県個人情報保護審議会を置く。 このように、今回の法改正が県民の不利益とならないよう、条例で必要な事項を定めるものである。

【高木ひろし委員】
現行条例における、簡便な手続で素早く県民に対して自己情報を提供するという点は、保持されていると理解した。
個人情報保護法の趣旨からすると、個人の情報を行政、組織が預かる場合、根源的にその情報は個人のものであり、本人の権利を損なうことがあってはならない。行政が保有する個人情報の基本的なものは、住民票、戸籍等が挙げられる。これは市町村が管理しており、県は間接的に総務局市町村課を通じて指導、関与する立場にあると思うが、この個人情報に関しては県内でも大量の不正取得事件があった。この事件を契機に自分の個人情報を第三者が取得しようとした場合、誰が申請して取得したということが、少なくとも本人には通知される制度が設けられ、県内の自治体に普及した。これにより個人情報の不正取得が抑制され効果はかなりあったと思う。こうした個人情報を取得された場合の本人通知制度について、県内ではどのくらいの市町村が導入しているのか。

【県民総務課担当課長(情報)】
業務を所管している総務局市町村課に確認したところ、本年4月1日時点で県内54市町村のうち、40市町村が本人に通知する制度を導入している。

【高木ひろし委員】
行政機関において、どのような個人情報を取り扱っているのか、県は県民に対して周知すべきだと考える。
社会のデジタル化に伴い、自分の情報が本人の意図とは関係なく吸い取られ、企業等に集積されることが現に起こっている。
今回の法施行条例の制度をきっかけにして、個人情報に本人が関与する仕組みをよく県民に啓発して、自分の情報は自分で守るという意識を持ってこの制度を活用することを要望する。


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