令和4年県民環境委員会 2022-06-23

 
 
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【高木ひろし委員】
本年4月1日から施行された、愛知県人権尊重の社会づくり条例の概要と、条例を踏まえて今後どのような施策を進めていくのか。

【人権推進課長】
愛知県人権尊重の社会づくり条例は、全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的とした包括的な人権条例として制定したもので、条例の目的や県、県民、事業者の責務などを定めている。
また、人権尊重の社会づくりに関する基本的施策等として、基本計画の策定や相談体制の整備について定めるほか、インターネット上の誹謗中傷、本邦外出身者に対する不当な差別的言動、部落差別に関する問題、性的指向及び性自認の多様性という四つの人権課題について個別の規定を設けるとともに、愛知県人権施策推進審議会を設置することとしている。
この条例を踏まえた施策の推進について、まず、本年4月1日に相談窓口機能を備えた人権啓発及び教育の拠点として、新たにあいち人権センターを県東大手庁舎3階に開設した。
相談窓口では4人の人権相談員が情報提供や助言、専門相談窓口や専門機関への案内を行うとともに、法的な解釈や助言が必要と考えられる場合には月に1回実施している弁護士による法律相談を案内し、5月末までに62件の一般相談及び1件の法律相談があった。
次に、インターネットの誹謗中傷等への対応としてはモニタリング事業を実施しており、差別を助長する悪質な書き込みについては、国の人権擁護機関である名古屋法務局へ削除要請を行っている。また、性的指向や性自認の多様性への配慮については、全庁的な認識の共有化を図り、本県の事務事業において配慮が必要な事項を検証するため、新たに性の多様性に係る庁内連絡会議を設置した。今後は条例の普及啓発を図るためのイベントを実施したり、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組も進めていく。こうした施策を行うことにより、条例をより実効性のあるものにしていきたい。

【高木ひろし委員】
インターネットモニタリングについては、条例施行に先立って試行的に実施しており、こうしたモニタリングによって悪質な書き込みだと判断されたものについては名古屋法務局へ削除要請をしているということであるが、5月15日の新聞報道によると、法務局がプロバイダーに削除要請しても、そのうちの3割は削除されておらず、要請が無視されているという記事が掲載されていた。本県から法務局へ削除要請した事案は、その後どうなっているのか。

【人権推進課長】
インターネットモニタリング事業については、新型コロナウイルス感染症、部落差別、外国人、障害者の四つの分野を対象として実施しており、受託事業者から誹謗中傷など有害と考えられる書き込みが報告された場合には、人権推進課でその書き込み内容を精査し、国の取扱い等に照らして、差別を助長する悪質で違法性が高いと考えられる書き込みについては、国の人権擁護機関である法務局に削除要請をしている。
昨年度、試行的に実施したモニタリング事業では655件の有害な書き込みが報告されたが、例えば特定の地域を被差別部落であると指摘するなど、違法性が高いと考えられる書き込み19件について、法務局に削除要請した。
本県から法務局に削除要請した案件については、法務局で内容を確認し、人権侵害に関する専門的な知見を有する者が多段階的にわたり違法性や削除要請の必要性について慎重な検討を加えた後、プロバイダーに削除要請されると認識している。
どの案件についてプロバイダーに削除要請したかという情報までは、法務局から得ることはできないが、本県から法務局に対して削除要請した案件については削除されるまで、当課の職員がモニタリングを継続することとしており、昨年度要請した19件のうち13件が削除されたことを確認している。
なお、法務局に削除要請した事案の対応状況や結果については、できるだけ自治体へ情報提供するよう、都道府県及び政令市で構成される全国人権同和行政促進協議会を通じて法務省に働きかけている。
本年度は5月末までの2か月間で新たに142件の書き込みを確認し、そのうち4件を削除要請しているため、これらについても削除されたかどうか、引き続き確認していく。

【高木ひろし委員】
インターネットという、原則自由に情報が飛び交う空間に出たものが法律を背景に削除を求めることは、相当な法的な根拠を示さなければ実効性が上がらないと思う。国は法的な整備を急いでいるため、それに沿ってモニタリングの成果を実際の差別情報の削除へと結びつけてほしい。
次に、本県の条例に初めて文言として性的少数者への配慮が明記されたことは評価するが、庁内連絡会議では具体的にどのような検証を行うのか。また、どのような検討課題が本県の事務事業において想定されるのか。

【人権推進課長】
性の多様性に関する庁内連絡会議は、全庁的な認識の共有化を図るため各局の主管課に加え、関係の深い課室を合わせた33課室で構成しており、本年5月23日に第1回の会議を開催した。この会議では、性的少数者に対する基本的な知識のほか、他都道府県の取組状況等の情報を協議した。
今後は、庁内各課室における性の多様性への配慮に関する取組状況や課題について調査を行い、調査結果を踏まえ、引き続き会議で協議していきたい。
現時点での検討課題としては、窓口対応の留意点や申請書等における性別記載欄の必要性などが想定されているが、具体的には、庁内各課室に対する調査の結果や他都道府県の取組などを踏まえて検討を行う。
また、検討の過程の中で横断的な取組が必要な事項については各局連携の下、その対応策を協議していきたい。


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