令和3年教育・スポーツ委員会 2021-10-05

 
 
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【高木ひろし委員】
県教育委員会における障害者雇用と県立学校のバリアフリー化について伺う。
県教育委員会では、障害者雇用率が法定雇用率に達していないが、障害のある教員の募集・採用人員の実績はどうなっているのか。

【教職員課長】
県教育委員会の障害者雇用率は、昨年6月1日現在で1.14パーセントであり、当時の法定雇用率2.4パーセントを大きく下回っており、雇用率を改善する必要があると考えている。
障害者雇用率を改善するため、2019年度実施の教員採用選考試験から、30人の障害者選考枠を設け、障害のある教員の確保に努めてきた。
これまでの採用状況は、2019年度の選考では受験者数が19人、採用者は7人、昨年度は受験者数が16人、採用者数は5人、本年度では受験者数が17人、採用予定者は2人となっている。

【高木ひろし委員】
選考枠を下回る採用状況になっているが、県教育委員会として、どのような問題があると考えているか。

【教職員課長】
教員としての資質・能力を判断した選考の結果ではあるが、志願者が選考枠の人数に達していないことも、問題の一つであると考えている。
文部科学省の調査によると、2018年度に大学等において教員免許を取得した学生約10万人のうち、障害のある学生は全国で179人であり、全国的に非常に少ない人数であることが大きな要因である。このため、県教育委員会としては、障害のある方が教員を目指すための環境整備を行うことが必要であると考えている。
具体的な取組としては、教員採用案内のリーフレットに、障害のある方が教員として活躍している現状を盛り込み、障害のある方にも、教員という職業に関心を持ってもらうよう働きかけるとともに、愛知県教員の資質向上に関する協議会において、教員養成課程のある大学の関係者に対して、全国の大学における障害のある学生に対する支援策を紹介し、各大学においても同様の取組を進めてもらうよう依頼するなど、障害のある学生が教員を目指すことのできる環境づくりを進めていきたい。

【高木ひろし委員】
校務補助員については、昨年度の15人分の予算から、本年度は60人分を上乗せして、75人分の予算を計上したとのことであったが、現在までの採用状況はどうなっているか。

【総務課長】
校務補助員は、昨年度16人を採用している。
本年度は、現在までに41人を採用したが、このうち、採用後の転職などの理由により、退職者が3人いるため、本年10月1日現在の在職数は54人となっている。
この54人に加えて、現在、校務補助員の募集を行っている学校があるため、引き続き、愛知労働局や公共職業安定所(ハローワーク)と連携して、できる限り多くの校務補助員を採用していきたいと考えている。

【高木ひろし委員】 障害のある方は、校務補助員としてどのような業務を担っているのか。

【総務課長】
校務補助員が担当する業務は、授業で使用する資料の印刷、学校図書室での本の貸出し・返却の補助、進路指導室での求人や就職情報などのデータ入力、事務室での文書の整理や郵便物の発送、校内の清掃や敷地内の除草などの環境整備作業、農業高校では農場管理業務など、個人の適性と県立学校の実情に合わせて、様々な業務を担当している。

【高木ひろし委員】
校務補助員として採用された方が職場に定着していくために、県教育委員会としてどのように取り組んでいくのか。

【総務課長】
現在、校務補助員の職場の定着に向けて、主に二つの取組を行っている。
一つは、校務補助員の任用に当たって、学校で担当する業務と障害を持つ求職者が担当したいと思う業務とのミスマッチが生じないようにするために、任用前に学校の見学や実地体験を行っている。
もう一つは、愛知労働局の協力を得て、本年度から任用後の職場定着を実践するため、校務補助員を配置する学校の教職員を対象に、障害者雇用の現状や、就労支援の基礎知識などに関するセミナーを開催している。
こうした取組を継続して、校務補助員が安心して仕事ができる職場環境づくりに努めていく。

【高木ひろし委員】
昨年、バリアフリー法が改正され、学校施設がバリアフリー化の対象として位置付けられたが、現在、県立学校において、エレベーターの設置を含むバリアフリー化の状況はどのようになっているか。

【財務施設課長】
現在、県立学校施設長寿命化計画に基づく計画的な改修工事に併せて、人にやさしい街づくりの推進に関する条例に基づき、多目的トイレやスロープなどを設置している。 バリアフリー化の状況として、県立高等学校では、本年4月現在、149校のうち、多目的トイレは123校、スロープは142校、エレベーターは9校に設置している。
県立特別支援学校では、30校のうち、多目的トイレは24校、スロープは21校、エレベーターは18校に設置している。
なお、障害のある教員及び校務補助員の配置や、障害のある生徒の入学に合わせて個別にバリアフリー化が必要となる場合には、多目的トイレやスロープなどの設置や、車椅子に乗ったまま階段の昇り降りができる階段昇降機の配備を行っている。
階段昇降機は、現在、電動車椅子にも対応した2台を含む9台を配備し、必要に応じて年度ごとに学校間を移動させながら使用している。

【高木ひろし委員】
エレベーターの設置台数が、四、五年前から増えていないが、理由はあるのか。
また、エレベーターの設置に関して整備計画がないのはなぜか。

【財務施設課長】
エレベーターの設置は、改正バリアフリー法及び人にやさしい街づくりの推進に関する条例で設置が義務付けられている、2,000平方メートル以上かつ3階建てという基準に該当する学校の、新築増築及び建て替え時に設置することとしている。県立高等学校は、これまで、基準に該当する新設校または建て替え校がないため、設置台数が増えていない。
また、現在、県立学校の老朽化が進んでおり、長寿命化計画に基づく改修が急務となっていることから、エレベーターの設置など、長寿命化計画のメニューに該当しない内容については、整備計画を設けていない。

【高木ひろし委員】
2,000平方メートル以上かつ3階建てという基準に該当する学校であれば、新築増築及び建て替え時でなくとも、順次エレベーターを設置していくべきだと考える。
エレベーターの設置について、改めて県教育委員会の見解を伺う。

【財務施設課長】 エレベーターの設置を含め、今後もバリアフリー化の対応を検討していく。

【高木ひろし委員】
学校における障害者の雇用の促進とバリアフリー化の推進を、両輪で進めていくことを要望する。


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