【高木ひろし委員】
法人事業税における超過課税は、本県においてどのような目的で、いつから実施されているのか。
【財政課担当課長(財政)】
災害に強い地域づくりを目指して、河川、治山などの防災事業を着実に推進していくためには、多額の経費が必要である。限られた財源では限界があることから、これら防災事業の推進を図ることを目的に、1977年(昭和52年)から3年ごとに期限を区切って、実施している。
【高木ひろし委員】
法人事業税の超過課税と法人県民税の超過課税の関係について、その目的の違い等を説明してほしい。
【財政課担当課長(財政)】
法人事業税の超過課税は、防災事業に充てている。
法人県民税の超過課税は、教育・文化施設や社会福祉施設などの整備、維持の推進を目的に、1975年(昭和50年)から5年ごとに期限を区切り、法人税割の税率上乗せをしている。どちらも県政の重要施策であり、県政推進のための貴重な財源として活用している。
【高木ひろし委員】
法人事業税の超過課税は、防災事業を当初から目的に掲げて続いてきたものであるが、具体的に、増収分をどういうものに充て、どのような効果を上げているのか。
【財政課担当課長(財政)】
法人事業税の超過課税のこれまでの状況であるが、来年度の当初予算までの45年間で、総額約6,300億円を河川、砂防、治山、農地防災などの事業に活用してきている。
これらにより、自然災害による被害を未然に防ぐという成果を発揮してきたと考えている。
【高木ひろし委員】
この長い期間に累積した額は数千億円であり、その都度、本定例議会で税率を決定して、収入しているが、条例自体には、その税率が入っていない。今回はそのままの延長であるが、この超過課税の税率は、これまでどのようになっているのか。
【財政課担当課長(財政)】
超過課税の税率は、地方税法で定める標準税率に原則として3パーセント上乗せする考え方であり、今般の改正は、税率はそのままで延長する。
例えば、外形標準課税の対象で、所得金額が年800万円を超える、大企業の場合、利益に課税する所得割で0.216パーセントとなっている。また、一定の基準を下回る小規模な法人、具体的には資本金の額が1億円以下で所得金額年5,000万円以下の法人については、超過課税は適用されないことになっている。
【高木ひろし委員】
法人が負担する超過課税は、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響によって、企業を取り巻く経営環境が非常に厳しくなっている中で、漫然と従来の超過課税を延長する安易な考えであってはならないと思う。
今回の超過課税を延長することについて、企業の納得は得られているのか。
【財政課担当課長(財政)】
経済団体からも、防災事業を推進することの必要性について理解してもらっている。企業からは、県民への周知をお願いされている。
そうしたことから、企業の理解の下、貴重な財源として活用させてもらっていることを、県のホームページに掲載しているあいち財政の概要で紹介したり、工事の箇所にPR看板を掲示させてもらうなどして、積極的に県民への周知に努めている。
【高木ひろし委員】
長い間、超過課税を実施しているが、この間に国と地方の税制は、大きく変化している。
一つは、地方分権改革により、課税自主権が大幅に地方公共団体に認められたことである。もう一つは、法人課税の在り方が外形標準化という形で、利益によって大きく変動するものを平準化することで、法人税自体の構造が大きく変わってきた。
本県においては、10年前に一時減税について検討した経過がある。超過課税を実施しながら、一方で減税をするという二律背反的な部分をどのように考えていくのか、本県の税収と支出の全体のバランスや構造を考えたときに、長期的な視野で考えていかなければならない。
財政当局としては、地方分権、自立する地方財政という観点に立った税構造の在り方、適正な水準について、今後とも実りある議論ができるような資料提供や問題提起をお願いしたい。