【高木ひろし委員】
犯罪被害者支援については、国において、既に40年以上前から犯罪被害者給付金制度が運用されており、本県も、年間10件から20件程度、犯罪被害者給付金制度の対象となっている。
そのため、国の制度がある上に、さらに、県独自の制度を上乗せする意義は何か。
【県民安全課長】
地方公共団体は、犯罪被害者等基本法に基づき、被害者及びその家族または遺族が、再び平穏な生活を営むことができるよう、国との適切な役割分担を踏まえ、必要な支援等を行う責務を有しており、給付金の支給に係る制度の充実や損害賠償の請求についての援助など、必要な施策を講じるものと定められている。
このため、犯罪被害者等見舞金については、国の給付金制度において、支給決定までに平均で約6.6か月を要していることを踏まえ、被害直後における経済的負担の軽減を図るため、県が当面の生活資金として早期に給付することで、居住場所の移転費用や治療費などを支援するものである。
また、国の制度では、遺児に対する継続的支援や、再提訴のための裁判費用への支援がないため、これらの人々への支援制度も創設することとしている。
【高木ひろし委員】
本県の犯罪被害者給付金の対象要件や、犯罪被害者給付金を支給すべきか等の可否を誰が判断する仕組みになっているかを伺う。
【県民安全課長】
本県の犯罪被害者給付金については、殺人などの故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた犯罪被害者の遺族、または重傷病や精神傷病をおった被害者本人を対象としている。
主な要件としては、本年4月1日以降の犯罪被害であることや、被害当時に県内に住所を有していることなどを想定しており、速やかな支給を可能とするため、国の制度とは別に申請の上、県において支給の可否を判断することとしている。
支給の対象となる遺族の範囲など詳細については、国の制度や他県の先行事例などを参考に、年度内には要綱として取りまとめ、4月1日から運用を開始することとしているが、様々な被害者の実例に即して柔軟に対応することも必要であるため、必要に応じて、弁護士や関係行政機関、団体で構成する被害者支援連絡協議会などの場において、見直し作業を図っていきたい。
【高木ひろし委員】
本県が独自に、犯罪被害者等支援事業制度を設ける場合は、独自の判断があり得ることから、必ずしも国の制度に倣うのではなく、実態や時代に合わせた運用をしてほしい。
【高木ひろし委員】
現在、開会している通常国会の冒頭で、新型インフルエンザ対策特別措置法、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、検疫法の3本の法律が極めて短期間で審議され、可決、成立した。
これは、本年1月9日の全国知事会が行った国に対する緊急提言を受けた立法化の動きだが、1年以上に及んで、国と都道府県が総力を挙げて取り組んできた新型コロナウイルス対策の法的な裏づけを抜本的に整備、強化したものであり、国民の権利に関わる罰則の導入など、重大な内容を含んでいる。
今回改正された新型インフルエンザ等対策特別措置法により、新型コロナウイルスの蔓延防止対策について変更された点と追加された点について、その概略を伺う。
【防災危機管理課担当課長(総務・危機管理)】
新型インフルエンザ等対策特別措置法は、本年2月3日に可決、成立し、一部の条文を除き、10日後の2月13日から施行されている。
今回の改正により、緊急事態宣言の発出に至る前に、地域等を限定した感染防止対策を機動的に講じるためのまん延防止等重点措置が新設されたほか、緊急事態宣言下での休業要請や、まん延防止等重点措置下での時間短縮要請など、施設の使用制限に関する命令や、その命令に正当な理由なく応じない場合に、過料を科すことができる罰則規定が設けられている。
また、その罰則規定と対となり、まん延防止に関する措置により影響を受けた事業者に対して国や地方公共団体が、財政上の措置を講ずる規定も盛り込まれている。
【高木ひろし委員】
このスキームにおいて、国と都道府県知事との権限や役割分担に関して、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正以前と改正以後で、変わった点は何か。
【防災危機管理課担当課長(総務・危機管理)】
国と都道府県知事の権限、役割分担の変更については、今回の法改正で、緊急事態宣言下やまん延防止等重点措置下において、知事による命令に従わない場合の過料という罰則が設けられた点から、知事の行う規制を担保する措置が強化されたといえる。
また、国と都道府県知事との間の役割分担については、今回の改正によっての大きな変更はない。
【高木ひろし委員】
これまで1年近くにわたって、県が行ってきた事業者に対する休業や営業時間短縮、感染防止対策の協力要請は、お願いであったと思う。
本県においては、要請をした対象事業者の大半が協力して、この新型コロナウイルスの蔓延防止にそれなりの効果を上げてきたと受け止めているが、そのような認識でよいか。
【防災危機管理課担当課長(総務・危機管理)】
本県では、昨年11月29日の栄・錦地区の酒類を提供する飲食店への営業時間短縮要請から始まり、12月18日からは、県内全域の全ての飲食店に拡大し、緊急事態宣言の発出を契機に、1月18日からは、午後8時までに営業時間の短縮時間の強化を図り、要請を続けてきた。
多くの店舗に協力してもらうため、昨年12月から、市町村の協力も得ながら、飲食店を個別に訪問し、営業時間短縮要請に応じてもらえない店舗には、協力を呼びかける啓発チラシと協力金の制度のリーフレットを配付して、要請に応じてもらえるよう働きかけを行ってきた。
このような個別の店舗への啓発活動は、現在も継続しているが、3月10日までの結果としては、訪問店舗数が約2万5,000店舗に達しており、このうち、協力してもらっている店舗数は約2万1,500店舗で約86パーセントの店舗に協力してもらっている。
なお、経済産業局で実施している愛知県感染防止対策協力金の状況は、県内全域に対象を拡大した昨年12月18日から1月11日までの期間に係る申請状況が83.6パーセントであり、啓発活動で把握した協力状況とおおむね一致している。そのため、我々の要請に対し、相当の店舗や事業者の方々が協力していると捉えている。
【高木ひろし委員】
本県として、これまで一定の効果を上げてきた取組の実態に照らして、要請に従わない事業者に対する命令や、違反した場合の過料といった強力な措置が、今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正に盛り込まれなければならない立法事実が県内に存在したのか認識を伺う。
また、このような権力的措置は、国民の営業権の自由や生活に甚大な影響を及ぼすため、この発動に対しては、どうしても必要な場合に、必要な手順を十分取った上で発動されるべきと考えるが、このような措置が発動される可能性と、その効果についてどのように考えているのか。
【防災危機管理課担当課長(総務・危機管理)】
罰則規定を設ける前段階として、我々が取り組んできた、新型インフルエンザ等対策特別措置法の第24条第9項に基づく協力要請により、多くの店舗の方々が、要請に応じてきた。また、第1波の際に、パチンコ店に休業要請を行ったが、要請の段階で全てのパチンコ店の方々が、県の要請に応じたことから、立法事実は、本県の中にはなかったと認識している。
さらに、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正で整備された罰則規定の発動の可能性と、その効果については、知事が行う規制を担保する措置が強化されたという意味での効果は確実にあると考えている。
しかし、それを運用することについては、非常に慎重であるべきと考えており、新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正された、2月3日の知事の臨時記者会見でも、知事は、感染の急拡大や感染爆発といった状況に陥るリスクも否定できない以上、法律に基づく規制を担保する措置の強化は必要であって、今回、その方向で改正が行われたことは評価しているが、すぐに罰則規定を運用することにはならないといっている。
今回の規制措置は、いざというときのために法律上の担保を措置したものであるが、本県では、県民や事業者が信頼関係の下で仕事をしているため、引き続き、協力要請との形で対応していきたい。
【高木ひろし委員】
現在、本県が行っている新型コロナウイルスに関する措置は、まん延防止措置と違い、法律に基づかない独自の措置を3月21日まで実施中であるが、今後の対応について伺う。
【防災安全局長】
3月21日以後の対応については、営業時間短縮要請を継続することとなる。
県内の感染状況の分布を見ると、名古屋市だけが、この1週間、10万人当たりの新規陽性者の数が上昇していることから、対象エリアは県全域から名古屋市全域に絞ることとなる。
営業時間については、これまでの21時までを22時までとする関係で、国の制度に則り、日額単価を4万円から2万円としたいと考えている。
あわせて、対象の店舗については、酒類を提供する飲食店、接待を伴う飲食店、酒類を提供するカラオケ店の三つの業態で、この措置を3月31日まで講じることとしたい。 また、不要不急の外出をなるべく控えてもらうことや、イベントの開催制限などのお願いは、この先、人が動く季節を迎えるため、引き続き実施する方針で臨みたい。
協力金を延長する理由の一つは、この先、非常に人が動く季節を迎えるため、再度の感染拡大を必ず防ぐ必要があるためである。
もう一つは、首都圏の4都県は緊急事態宣言が解除されるが、引き続き、21時までの営業時間の短縮を1時間緩和し、3月31日まで延長することを、4都県知事のテレビ会議で意思を共有すると聞いている。また、本県や岐阜県と同じ時期に解除となった大阪府や兵庫県は、本日、本部員会議を開き、3月31日まで営業時間の短縮を継続し、京都府は数値が改善していることから営業時間の短縮は解除すると聞いている。
そのため、東京都や大阪府からの新型コロナウイルスの感染の流入を防ぐ必要があり、3大都市圏の中で本県だけ解除した場合、本県の感染防止対策が緩んでしまうおそれがあるためである。