令和3年2月定例会(第8号) 2021-03-11

 
 
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◯九十二番(高木ひろし君)
私は、歳出第九款教育・スポーツ費第一項教育総務費に関わりまして、愛知県教育委員会における障害者雇用について伺いたいと思います。
本年一月十五日付で、厚生労働省は、令和二年障害者雇用状況の集計結果を公表いたしました。
これによると、民間企業に雇用される障害者は、法定雇用率二・二%に対して、二・一五%と僅かに届かないものの、障害者の人数、雇用率ともに過去最高に達し、改善が認められました。
他方、二・五%と民間よりも高い雇用率を義務付けられている公的機関においては、国、都道府県ともに全体として前年よりも改善が進み、二・八三%、二・七三%と法定雇用率を上回ったものでありますが、二・四%の雇用率が設定されている教育委員会だけが二・〇五%と、いまだ大幅に障害者雇用数が不足しているという全国的実態が改めて浮き彫りになりました。
こうした中で、本年三月から、障害者雇用促進法に基づく法定雇用率がさらに〇・一%ずつ引き上げられ、民間企業は二・二%から二・三%へ、公務部門は二・五%から二・六%へ、教育委員会も二・四%から二・五%に引き上がっております。
愛知県教育委員会の障害者雇用につきましては、三年前まで二・四%の法定雇用率を充足しているとされていましたが、二〇一八年夏に国機関において顕在化した、いわゆる水増し問題以来、障害者手帳所持を基準に集計をし直した結果、大幅に障害者雇用が不足するという事態が続いてきており、本議会でも何度か取り上げられてきたところであります。
そこでお尋ねします。
第一問として、現状確認です。愛知県教委と雇用関係にある四万人近い教職員のうち、障害のある教職員は実人数で何人いらっしゃるのか、昨年、一昨年からの人数の変化をお示しください。
第二に、障害者の採用を増やす県教育委員会の取組について伺います。
教員と教員以外の職員それぞれについて、障害者向けの昨年度、今年度の募集、採用の経過と結果についてお示しください。また、新年度予算の中では、どのような取組が盛り込まれているのか、お示しください。
第三に、障害者雇用については、愛知県教育委員会は愛知労働局から改善勧告を受け、様々な指導、支援を受けていると伺っております。教育委員会としては、この愛知労働局からの改善指導についてどう受け止めているのか、お聞かせください。
第四に、一年前に策定いたしました愛知県教育委員会障害者活躍推進計画についてお聞きいたします。
この計画は、二〇二四年に実雇用率を二・五%へと引き上げる計画となっておりますが、一年を経過した現在、障害者雇用の不足数は四百人を超えて、逆に増加している現状にあり、抜本的見直しが必要だと思われます。この計画の今後の実現に向けて、どのような課題があると認識されているのか、お聞かせください。

◯教育長(長谷川洋君)
障害者雇用のお尋ねのうち、まず、障害のある教職員数の変化についてお答えいたします。
県教育委員会の障害者雇用率の対象となる教職員数は、名古屋市を除く公立小中学校及び県立学校の教職員など約四万三千人でありまして、そのうち障害のある教職員数、実数は、二〇一九年六月一日現在で二百七十七人、二〇二〇年六月一日現在で二百七十六人と、一人減少しております。
増減の内訳は、採用等による増員が小中学校で三十八人、県立学校で二十四人の計六十二人であり、退職等による減員が小中学校で三十五人、県立学校及び教育委員会事務局で二十八人、計六十三人でございます。
次に、障害者の採用を増やす県教育委員会の取組についてお答えいたします。
教員につきましては、二〇一九年度実施の教員採用選考試験から、三十人の障害者選考枠を設けるとともに、二〇一九年度の任用から、常勤講師十五人の公募を開始したところでございます。
しかし、教員免許の所持が必要となっておりますことから、志願者数が少なく、二〇二〇年度の採用者は七人、二〇二一年度の採用予定者は五人となり、二年続けて選考枠を大幅に下回る結果となりました。
また、常勤講師につきましても、二〇一九年度の任用者は三人、二〇二〇年度及び二〇二一年度につきましては、いずれも任用者がいない結果となっております。
教員以外について申し上げますと、まず、小中学校の事務職員につきましては、二〇一九年度から障害者を対象とした募集人数を若干人から五人程度まで拡大いたしまして、二〇二〇年度採用は二人、二〇二一年度の採用予定者は六人となっております。
次に、教育委員会事務局の行政職員や県立学校の事務職員の採用につきましては、障害者を対象とした県職員採用選考の合格者から教育委員会へ配属をされることとなっておりまして、二〇二〇年度は県立学校に二人が配属され、二〇二一年度にも配属される見込みでございます。
また、障害のある実習助手を二〇二〇年度に一人採用し、二〇二一年度も一人を採用する予定であります。
さらに、二〇二〇年度から、県立学校において図書の整理や清掃業務等を補助する校務補助員として十六人を採用しております。
来年度は、これまで実施してまいりました教員採用選考試験の障害者選考枠、障害者を対象とした小中学校職員採用選考、実習助手等の障害者採用選考等による募集を引き続き実施いたしますとともに、校務補助員の配置枠を六十人増員し、愛知労働局やハローワークと連携を図りながら採用を進めてまいります。
次に、愛知労働局からの指導、支援についてお答えいたします。
二〇一八年十一月、県教育委員会は、二〇一九年一月から二〇二〇年十二月までの二年間に、法定雇用率を達成する障害者採用計画を作成し、厚生労働大臣に提出をいたしました。
二〇二〇年三月には、計画一年目の二〇一九年度の計画実施状況を踏まえ、厚生労働大臣から計画を適正に実施し、法定雇用率を達成するよう勧告があったところでございます。
また、二〇二〇年十一月には、愛知労働局長と教員の採用の難しさや、校務補助員等の教員以外の採用などについて意見交換するとともに、民間企業の事例などを御紹介いただくなど、助言をいただきました。
県教育委員会といたしましては、愛知労働局からの指導、支援を真摯に受け止め、新たな職種として校務補助員の採用を開始するなど、当面拡大が困難な教員以外の雇用を着実に拡大することにより、障害者雇用の促進を図っているところでございます。
最後に、愛知県教育委員会障害者活躍推進計画の今後の実現に向けた課題についてお答えいたします。
この計画は、改正された障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき、二〇二〇年三月に策定したものでございまして、計画期間を二〇二四年度までの五年間とし、障害者法定雇用率の達成と、障害のある職員の定着を目標としております。
しかしながら、教員免許を取得する障害のある方は極めて少数でありますことから、多数の障害者を短期間に採用することは困難な状況にあることが大きな課題であり、障害のある多くの学生の方が教員免許を取得しやすくなる支援策を講じるよう、大学などに働きかけてまいりたいと考えております。
また、計画の実現に少しでも近づけるためには、障害の有無に関わらず、教職員にとって学校を働きやすい魅力的な職場とすることが課題であると考えております。具体的には、障害のある教職員から必要な配慮等を相談しやすい環境を整備し、メンタルヘルスを含めた個人の体調への配慮など、できる限りの合理的配慮を行う必要がございます。
そして、障害のある方も含めた教職員が働きやすい職場環境づくりに向けて、学校における働き方改革を進めることで、障害のある方にも学校で働きたいと思っていただけると考えております。
また、施設のバリアフリー化についても、着実に推進していく必要がございます。
こうした課題を踏まえ、計画につきましても、今年度の実施状況の点検を行い、必要に応じて見直しを実施してまいりたいと考えております。

◯九十二番(高木ひろし君)
要望を申し上げたいと思います。
まず、今のお話にありましたとおり、昨年の校務補助員が県立学校十五校に対して十六人障害者を雇っていただき、その方々が今も仕事をしていただいているということをお聞きしました。それが、来年度は六十人増えて七十六人にするということは、まず率直に評価したいと思います。
しかし、障害者雇用というのは、愛知労働局の方もおっしゃっておりましたけれども、雇用の継続ということが非常に大事なのであります。初めて障害者が誰もいない職場に最初に入る、様々な障害を抱えた方が入ってくることに対して、合理的配慮がどのようにされているのか、周りの理解がどうあるのか。様々な課題でもって途中で辞めてしまうというようなことは往々にしてあるわけでありまして、去年採用して、十五の学校に身体障害、知的障害、精神障害、それぞれの程度は様々でございますけれども、勤務していらっしゃる方々がどのような状況で勤務を続けていらっしゃるのかを十分に教訓化した上で、新たに六十人が入るわけですね。この方々が定着をすることができれば、これは県立高校百五十校のうち約半数に最低一人は障害のある方が働いているという現状になるわけでありまして、このことが、障害があっても働きやすい、あるいは利用しやすい県立学校になるきっかけになるのではないかと私は期待をするところであります。
さらに、今後の計画の実行に関する点についても、何点か要望を申し上げたいと思います。
私が思いますのは、やはりおっしゃるように、教員免許という大学へ行かないと取得できない資格が、これは教員採用の前提条件でありますので、この絶対数が少ないということは、これは県教委の努力だけではなかなか解決し難い課題であるということは理解できます。これはやっぱり国において、教員免許制度の問題や、学校施設全体のバリアフリー化に対する課題としてもあるのだろうと思います。
しかし、県教委は、この問題を、前回九月の質問のときにも、私、要望を申し上げたんですが、県教委の内部におけるプロジェクトチームでこの推進を図っておられるわけですけれども、私はこれを教育委員会の中だけに抱え込むような課題ではないと思うんです。まずは愛知労働局がございます。それから、愛知県の中にも、福祉局の障害福祉課があります。それから、労働局には障害者の雇用を担当する就業促進課があります。それから、建築局には、公共建築物などのバリアフリー化を義務づけた人にやさしいまちづくり条例の所管課がございます。
こうした県が全体として関わる部署が内部にもあるわけなので、こうした連携によって、さらにプロジェクトチームに外部の視点を、障害当事者の方々の意見を取り入れるような工夫は、これは前回も要望を申し上げましたけれども、ぜひ今後やっていただきたいと思うのであります。
この数字、私も何回か取り上げてまいりましたけれども、数字の問題でありますから、これは数字も大変大事なんですが、私はそれを通じて、学校という職場が本当にいろんな障害がある人にとっても働きやすい職場になっているかどうか、あるいは、これは障害のある生徒さんが通う上においても重要な課題であると思います。
現在は、特に公立高校の受験の今や真っ最中でありまして、前期考査が先日終わったところでありますが、私のよく知っている医療的ケアを必要とする生徒さん、そして、重度の障害を抱えながら普通高校に通いたいという方がチャレンジをしていらっしゃいます。そういう方々も、この議会における障害者雇用に対する、あるいは障害者そのものに対する教育委員会の姿勢について、重大な関心を持って見ていていただけるということを意識しながら、この雇用率問題に取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
以上です。


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