令和2年総務企画委員会 2020-10-07

 
 
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【高木ひろし委員】
本県における寄附の受入額は毎年少ないのか。どのような形で寄附を活用する事業を示しているのか。また、どのような事業に寄附を使っているのか。

【財務部長兼財政課長】
本県では、ふるさと納税制度が創設された平成20年度にふるさとあいち応援寄附金制度をつくり、寄附を受け入れている。ふるさと納税制度を利用できる個人からの寄附は、平成20年度から昨年度までの12年間で95件、合計で1,276万3,000円の寄附があった。昨年度は6件で37万4,000円、平成30年度は2件で30万5,000円、平成29年度は6件で161万3,000円、平成28年度は6件で53万6,000円、平成27年度は9件で73万7,000円である。なお、平成29年度は1件で88万円という高額な寄附があり、額が大きくなっている。
また、寄附を活用する事業の提示方法であるが、ふるさとあいち応援寄附金は、地域の振興、県民生活の充実、防災対策の推進、医療・福祉の充実、環境の保全、産業の振興、農林水産業の振興、社会資本の整備、教育の充実、全体的な取組の10分野を設定して、分野を選んで寄附してもらっている。この分野別の内容は、ふるさとあいち応援寄附金のウェブページで、主な取組を写真つきで紹介している。例えば、産業の振興では、県内産業の技術開発を支援する事業と、スタートアップエコシステム形成に向けた支援について、写真つきで紹介している。
また、寄附申込書には、10の分野と合わせてその他の欄も設けており、寄附者が希望する取組を任意に記載できるようにしている。
ふるさとあいち応援寄附金は、ふるさと納税を利用できる個人だけではなく、企業や団体からも受け入れている。平成20年度から昨年度までの合計で111件、2,329万4,000円の寄附があり、分野別で最も多いのが全体的な取組で、40件、771万8000円である。次いで教育の充実で15件、349万9,000円、3番目が医療・福祉の充実で10件、249万6,000円である。また、分野別ではなく、寄附申込書のその他欄に具体的な取組の記載があったのは、22件、897万3,000円となっている。

【高木ひろし委員】
新型コロナウイルス感染症対策として、医療従事者を応援するための基金がこのメニューの一つとして加えられた結果、非常に多くの寄附が集まったと聞いた。現在どれぐらいの寄附が集まっているのか。

【財務部長兼財政課長】
本年5月補正予算において、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる入院医療機関に対して、医療従事者の応援をするため、入院患者1人当たり100万円から400万円を交付する愛知県医療従事者応援金制度を創出した。
あいち医療応援基金は、愛知県医療従事者応援金に対して、入院患者1人当たり10万円を上乗せして交付するための財源として、広く寄附を募ることとし、本年5月1日から寄附の受付を開始している。本年10月2日時点で、件数では個人から961件、企業・団体からは124件、合計1,085件、金額では総額5億7,105万円の寄附があった。

【高木ひろし委員】
昨年度までは寄附が少なかったが、あいち医療応援基金に多くの寄附があった要因はどのように分析しているのか。
【財務部長兼財政課長】
愛知県医療従事者応援金は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、風評被害や感染リスクが拡大する中、入院医療機関において懸命に働いている医療従事者への支援として、その処遇改善を促進する目的で設けたものである。
今回これに上乗せする形で設けた寄附は、返戻品等はないが、本年5月以降現在まで、途切れることなく多くの人から、多額の寄附があるのは、医療従事者を応援するために、その上乗せを行うという趣旨、使途に対する共感から、より多くの人から気持ちを寄せてもらった結果であると考えている。
また、企業・団体からは、生徒会活動による寄附の呼びかけ、医療従事者応援を目的としたチャリティーオークションや定期預金の販売の企画等、趣旨を踏まえた独自の取組を通じた寄附も集まっている。
さらに、お金だけでなく、子供たちからは医療従事者へのメッセージカードなども届いており、人々の共感の輪の広がりやつながりを感じている。

【高木ひろし委員】
今回の医療従事者の応援に非常に多くの寄附が集まったことを転換期として、ふるさと納税を集めるための取組を強化するきっかけにしてもらいたい。今回のように、県民のニーズを機動的に捉えて、人々の共感を得られるような具体の事業を提示するほか、様々な広報手段を使ってPRしていけば、ふるさと納税制度のプラス面を大いに活用できると思う。
今後、厳しい財政状況の中で、県として事業の原資を確保していく一助にもなるのではないかと思う。人々の寄附に対する関心は、阪神淡路大震災以降、ボランティア活動と同様に日本でもかなり高まってきている。寄附文化の醸成が根づいてきているので、県も取り込んでいくために、クラウドファンディングのような形で、ふるさと納税の活用による原資の確保に力を入れるつもりはないのか。

【財務部長兼財政課長】
本県では、文化振興基金や子どもが輝く未来基金など、特定の事業目的のために寄附を受け入れる基金を設置して、多くの人から寄附が集まり、有効に活用している。こうした基金は、プロジェクト型と言えるものであり、例えば子どもが輝く未来基金は、昨年度に、個人と法人を合わせて3,783万6,000円の寄附があり、子ども食堂開設への助成や児童養護施設入所児童等の大学入学準備金への支援などに活用している。
また、クラウドファンディングのような形で、ふるさと納税制度活用事業として、個別具体の事業を提示し、寄附を募ることについては、クラウドファンディングを新たな自主財源確保策の例示として掲げている、あいち行革プラン2020の個別取組事項にも合致する。
寄附額を増やすために事業を構築するのでは本末転倒になってしまうが、今後、県が実施すべき新たな事業で、ふるさと納税制度の本来の趣旨にかない、多くの人に共感してもらえるものがあった場合には、ふるさと納税制度の活用も検討するよう各局に助言していきたい。

【高木ひろし委員】
ふるさと納税をうまく活用していくためには、新型コロナウイルス感染症に対する医療関係者への応援のように機敏な企画力が要る。県の各部局が意識を持って、ふるさと納税を使って資金を集めること、市町村と違って広域の自治体としての課題を見つけて取り組むことが肝であるので、医療従事者応援を一つのいい材料にして、全庁的にふるさと納税を活用する面でのアイデアとその制度化に取り組んでもらいたい。


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