◯九十二番(高木ひろし君)
おはようございます。
それでは、早速、一般質問を始めます。
SDGsの合い言葉は、誰一人置き去りにしないというものであります。私はこの精神に立って、障害のある人々、被差別部落にルーツを持つ人々など少数者が胸を張って生きられる、そんな社会をつくっていくために、政治、行政がどうあるべきか、そんな観点で県当局にお尋ねをさせていただきます。
まず、愛知県の障害者施策についてであります。
ちょうど二年前の二〇一八年夏に、官公庁における障害者法定雇用率が不適切にカウントされ、実際には、障害者雇用人数が大幅に足らないということが全国的な問題となりました。
なかんずく、愛知県教育委員会においては、法定雇用率二・四%をぎりぎり達成しているとされていたのが、再調査をしたところ、その半分以下の一・一七%しかなく、三百四十八人も障害者雇用が不足しているという全国最悪の状況が判明しました。
以後、私はこの問題を決算委員会や本会議で幾たびか教育長と議論させていただいたところですが、残念ながら、十分な進展が見られたとは言えません。
全国的にも教育委員会の障害者雇用率が法定雇用率二・四%に対して一・八七%しかない、全国平均で。こういう実態を重大視した文部科学省は、今年七月十日に教育委員会における障害者雇用に関する実態調査を公表いたしました。そして、改善の取組を強く各教育委員会に促しております。
これによりますと、昨年、二〇一九年六月一日現在での各都道府県教育委員会ごとの障害者雇用の実態が詳細に分析され、愛知県教育委員会の雇用率は教員で一・〇六%、事務職員で二・六四%、トータルで一・一六%という、全国最下位に改めてランクされました。
今年六月一日の時点はどうなのか。現在精査中で、これは十二月頃にならないと明らかにならないようですが、昨年と今年の障害者採用実績から見て、一・一六%という実雇用率が改善されているとはとても思えません。このままでは、全国の都道府県教育委員会の中で、三年連続ワーストワンという事態になってしまうことが予想されています。
来年三月一日からは、障害者法定雇用率がさらに引き上げられることになっております。民間企業においては二・二%から二・三%へ、公務員は二・五%から二・六%へ、教育委員会はその特殊性がゆえに〇・一%低い二・四%から二・五%へと、それぞれ改定される見込みであります。
コロナ禍の中で厳しさを増す障害者の雇用を促進するために、一昨日の一般質問の答弁の中で知事は、民間企業に対し、法定雇用義務のない中小企業向けにも奨励金制度を適用拡大するということを決断されました。大変すばらしいことだと思います。
こうした民間の取組に率先垂範すべきなのが公務員部門であります。その高い法定雇用率を課せられている公共部門で大幅な違反実態が続いて、その責任が問われずにいるということが障害者雇用全体に対してマイナスの影響を及ぼすことは言うまでもありません。そればかりか、障害当事者団体からはさらに本質的な問題も指摘されています。
それは、この雇用率問題は、愛知の学校教育が障害者を排除、差別してきた面がある、そのことの結果ではないかという指摘であります。障害のある先生がいない学校には、障害のある生徒が共に学ぶ学校にはならない、こういう指摘であります。
県教委としてこうした現状をどのように認識し、その改善のために、この三年間、どのような取組をされてこられたのか、まず教育長の所見を伺いたいと思います。
こうした公共部門の障害者雇用の立ち後れを抜本的に改善するために、昨年、障害者雇用促進法が改正され、各部門において任命権者が責任を持って、障害者活躍推進計画を策定、公表することが義務づけられました。愛知県教育委員会がどのような計画を策定されたのか、私は注目しておりましたけれども、昨年度、今年の三月末に提出された愛知県教育委員会の障害者活躍推進計画では、実に形式的な、事務的な、僅か二ページのものでありまして、本当にがっかりいたしました。
ここには二〇二四年までに五年間計画で法定雇用率を二・五%、これを達成するという目標が掲げられてはおりますが、その裏づけとなる具体的な内容がなく、実現可能性は皆無と言って等しいでしょう。何よりも現状認識の深刻さがなく、全国ワーストを返上しようという積極的な意欲が全く感じられないものでありました。
この障害者活躍推進計画は早急に見直して、改定すべきであると私は思いますけれども、教育長の所見を伺います。
県教委のこの障害者活躍推進計画の中で冒頭から、そもそも、教員免許を持つ障害者があまりにも少な過ぎて、幾ら募集、採用としても、教員の障害者雇用率を引き上げるのは困難だと、こういう言い訳をしています。
しかし、これは自らの責任を棚に上げた言い分と言わざるを得ません。障害がある生徒に高等教育を保障し、教員を目指す道を用意して、これを励ましていくことは、まさに教育委員会自身の責任ではないでしょうか。それができてこなかったのはなぜなのかというところに立ち戻って、真摯に反省、総括し、愛知の教育の中で障害のある生徒が一人でも多く教員資格を取得し、愛知の公立学校の中で活躍できる、こうした環境を整える計画こそ必要だと考えるものでありますが、教育長の所見を伺いたいと思います。
今年、バリアフリー法が改正され、学校施設のバリアフリー化が義務化の対象に加えられました。この背景には、教員の障害者雇用率の大幅な不足の問題があることは言うまでもありません。
愛知県も二十五年前に制定いたしました人にやさしい街づくり条例、この条例によっても、新改築の場合はもちろん、既存の学校施設もバリアフリー化の努力義務の対象としております。
しかし、県立高校百五十一校のうち、エレベーターが設置されているのは僅か九校という立ち後れが、今回の障害者雇用率全国ワーストという現実の背景にあることを指摘せざるを得ません。このままでは、車椅子使用の教員の応募、採用は進むはずがないと言えます。
新改築の場合以外の既存の建物についても、エレベーター整備を計画的に推進すべきだと考えますが、改めて教育長の所見を伺います。
愛知県の公立高校においても、かなり重い障害のある生徒が高校生活を送るという実例が少しずつ広がってまいりました。
一方、定員割れを起こしているにもかかわらず、障害のある生徒が県立高校を受験して不合格とされ、高校浪人を続けているケースもあります。
私の地元瑞穂区からも、地元中学校を卒業する予定のお二人が来年度、高校進学を希望しています。一人は、肢体不自由が主な障害の生徒、もう一人は、人工呼吸器をつけて、医療的ケアを必要としている生徒であります。
二月の国会で、萩生田文科大臣は、重度知的障害者の普通高校入学について大阪の議員から問われたことに対して、障害を理由に入学を拒否されるようなことは絶対にあってはならないと明確に答弁していただいた。こうしたことに励まされつつ、一方で、本当に高校進学の夢が私にかなうのだろうかと、不安が拭い切れないでいるのであります。
高校教育は既に準義務化し、障害者権利条約に基づいて愛知県にも障害者差別解消法や条例ができて、共に学ぶ場からは排除されないことがもはや確固たるルールとなっています。こうした現在、定員内の不合格は出さず、障害のある生徒の高等教育を受ける権利を保障するという視点が極めて重要だと考えます。
来年度高校入試期に向かう愛知県教委の基本姿勢について、教育長の所見を伺いたいと思います。
二つ目のテーマに移ります。
部落差別の現状とその解消に向けた愛知県の基本姿勢について伺いたいと思います。
二〇一六年に部落差別解消推進法が制定されてから、間もなく四年が経過しようとしています。改めて説明するまでもないと思いますが、江戸時代の身分制度に端を発するこの部落差別の問題は、明治以降も、そして戦後の新憲法の下でも、根強く日本社会に残り続けました。
被差別部落の地域環境は大幅な改善が見られたとは言えますが、人々の心の中にしみ込んだ差別意識というものはなかなか払拭されることがありません。それどころか、社会の急速な情報化の中で格差や分断が進み、差別が新たな形で再生産されたり拡散する現象すら見られます。
こうした時代状況を背景に、部落差別解消推進法が制定されたことの意義は極めて大きいと思います。それは、二〇一七年六月県議会で、我が会派の日比たけまさ議員が代表質問でお尋ねしたことに対し、知事が明確に答弁をされておるとおりであります。
私たちの日常生活の中で、ふだんは意識されない部落差別というやいばが人を深く傷つける場面があります。それは、結婚や就職という人生の重大な局面においてであります。
岡林信康というフォークシンガーがいますが、私の若い頃の大変好きだったフォークシンガーであります。その岡林信康が作った歌に手紙というのがあります。皆さん、御存じでしょうか。
それは、おじいさんから店を譲ってもらって、二人一緒に暮らすはずだったカップル。周囲の反対により、部落差別が理由で結婚を断られた。お店が譲ってもらえないことによって結婚が破談になった。このことを実在の女性が遺書にしたためたと、これがこの手紙の基になっている事実であります。
高校まで名古屋で育った私に部落問題の存在を気づかせてくれたこの歌は、しかし、なぜか放送で流されることはめったにありません。
一九八三年に大阪地方裁判所で、有名な結婚差別事件の判決が下されました。
愛知県出身の男性が大阪の薬品会社で同僚の女性と出会って、恋愛関係から婚約へと進んだものの、その女性が被差別部落の出身であることを知った名古屋の父親や親戚が結婚に猛反対し、理由にならぬ理由で婚約破棄を迫ります。当初、これに対して結婚を貫く決意だったはずの男性も、この親戚や周囲の圧力に屈して姿をくらましてしまい、後日、女性から損害賠償を訴えられるということになったのであります。そして、その判決は、被差別部落出身であることを理由になされた婚約破棄であることは明白で、これを認定して、婚約者の彼とその家族に不法行為責任を認めたのであります。
この話は二冊の書籍にもなっておりまして、あいち人権啓発プラザで読むことができます。宮津裕子、または沈黙せずというタイトルの本でありますので、ぜひ御覧いただきたいと思います。
一九七五年に発覚した部落地名総鑑事件では、これを購入していた多くの有名企業が人事や採用の際に部落出身者であるかどうかを調べる材料としていたということを認めました。これは社会的に厳しい糾弾を受けたからでありました。
こうした結婚差別や就職差別は、実際には無数に行われていると考えられますが、具体的に表面化することはめったにありません。それは多くの場合、結婚や採用で相手を忌避する本当の理由が部落差別であることを、当事者はなかなか認めたがらないわけであります。
部落地名総鑑は法務省により回収、破棄されましたが、被差別部落の地名をネット上で流布し、暴き立てるという悪質な事例が今日、後を絶ちません。
果たしてこうした部落差別の意識は、この愛知県においても解消へと向かっているのでしょうか。それを知る手がかりとなる重要な意識調査を県は二〇〇二年から五年ごとに計四回行ってまいりました。
最初の質問は、その四回の人権に関する県民意識調査から、部落差別に関してどのような県民意識の傾向が読み取れるのか、そして課題があると分析しているのか、県当局の所見を伺いたいと思います。
そして、社会構造の変化や情報化の急速な進展という環境変化の中で、この県民意識調査の結果を踏まえて、法の求める部落差別の解消に向けて、愛知県としてどのように取り組んでいかれるのか、所見を伺いたいと思います。
以上で私の壇上からの第一問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
◯教育長(長谷川洋君)
教育委員会における障害者施策についてお尋ねをいただきました。
まず、御質問の中で、雇用率問題は愛知の学校教育が障害者を排除、差別してきた面があるということの結果という御指摘がございましたが、これまで本県では、障害のある方一人一人に寄り添い、障害のある方の個性を尊重し、御本人の成長と社会的自立を支援する特別支援教育に真摯に取り組んでまいりました。愛知の学校教育において、障害者を排除、差別してきたというようなことはなかったと認識しております。
その上で、障害者雇用率についての現状認識と改善に向けた取組についてお答えをいたします。
県教育委員会の障害者雇用率は、法定雇用率を大きく下回っており、改善する必要があると認識しております。
県教育委員会が所管する障害者雇用率の算定基礎となる職員数は約三万二千人でございまして、その九割以上を小中学校、高等学校及び特別支援学校の教員が占めております。
そうしたことから、障害者雇用率を改善するためには、まずは教員の障害者雇用率を高める必要がありますので、二〇一九年度実施の教員採用選考試験から三十人の障害者選考枠を設けたところであります。
二〇一九年度の選考においては、志願者数二十二人、合格者九人、合格者のうち辞退が二人ございましたので、二〇二〇年度の採用者は七人でありました。二〇二〇年度の選考においては、志願者数二十人、合格者数五人となりまして、二年続けて選考枠を大幅に下回る状況となっております。
これは、大学等において教員免許を取得した学生約十万人のうち、障害のある学生は二〇一八年度では全国で百七十九人にとどまっており、極めて少数であるという現実が大きな要因と考えられます。
現状、四百人を超える障害者雇用の不足数を教員のみで解消するには、こうした現状から大変厳しい状況にあると認識しております。こうした厳しい状況を補完するため、教員以外の職種において、障害者雇用を進めているところであります。
今年度から新たに環境整備などの校務を補助する非常勤職員の採用を開始いたしました。九月末現在で九人を採用し、今後さらに六人の採用を予定しております。
また、実習助手、寄宿舎指導員の採用選考試験においても、二〇一九年度から設けた障害者選考枠を拡充したところでございます。
教育委員会といたしましては、引き続き、教員採用選考試験において障害者選考枠を設け、教員免許を持つ障害のある方に教員を目指していただきやすい環境を整えるとともに、教員以外の職種についても、学校現場で働きたいという希望や意欲を持つ障害者の採用拡大に努めてまいりたいと考えております。
次に、愛知県教育委員会障害者活躍推進計画についてお尋ねをいただきました。
本計画は、二〇一九年六月に改正された障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき、本年三月に策定したものでございまして、県立特別支援学校に勤務する障害のある教職員や校長の意見を聴きながら作成したものでございます。
本計画は計画期間を二〇二四年度までの五年間とし、障害者法定雇用率の達成と障害のある職員の定着を目標としております。
これらの目標の達成に向けて、障害のある職員の活躍を推進するための体制整備や環境整備、人事管理等に取り組むこととしており、計画の実施により、障害のある職員が活躍できるようにしてまいります。
計画の推進に当たりましては、教育委員会内にプロジェクトチームを設置し、他の教育委員会や民間における先進的な取組事例なども参考にするとともに、知事部局と連携を深めながら、取組内容の充実を図ってまいりたいと考えております。
また、本計画は毎年度、実施状況の点検を行うこととしております。これまでに採用された障害のある職員の活躍の状況や、他県や民間の取組等も踏まえまして、必要に応じて計画の見直しを実施してまいります。
次に、障害のある生徒が教員免許を取得し、活躍できる環境整備についてお答えいたします。
障害のある生徒に教員免許を取得していただくためには、教員を目指す気持ちを持っていただくとともに、大学において教員免許を取得しやすくする環境整備が必要と考えております。
まず、教員を志願していただくための取組といたしまして、今年度配布を予定しております高校生向けに教員の魅力を発信するパンフレットに、障害のある方が教員として活躍している現状を盛り込み、高校生のうちから教員に関心を持ってもらえるよう努めてまいります。
また、教員採用選考試験の大学説明会等において、障害のある学生の方に教職員として働くイメージを持ってもらえるよう、丁寧に説明をしてまいります。
次に、教員免許を取得しやすくなる環境整備といたしまして、大学と県教育委員会との連携推進会議や、教員養成課程のある大学の関係者を構成員とする愛知県教員の資質向上に関する協議会などを通じて、障害のある多くの学生の方が教員免許を取得し、教員を目指せるような支援策を講じるよう働きかけてまいりたいと考えております。
また、障害のある方が教員免許を取得しやすくなる教員免許制度の見直しなどについて、引き続き国に要望をしてまいります。
教員として採用後の取組といたしましては、職員から申出があった場合は、できる限りの合理的配慮を行うなど、活躍を支援してまいりたいと考えております。
愛知県教育委員会障害者活躍推進計画は、実施状況の点検などを踏まえ、必要に応じて見直しを実施することとしておりますので、見直しを行う際には、こうした具体的な取組についても盛り込むことを検討してまいりたいと考えております。
次に、学校施設のバリアフリー化についてお答えいたします。
県立高校のバリアフリー化は、重要な取組の一つであると認識しております。
しかしながら、県立学校の校舎につきましては老朽化が進んでおり、県立学校施設長寿命化計画に基づく改修が急務となっております。百四十校で七百棟を超える校舎を改修していく必要がありますので、全体で一千億を超える事業費を各年度に平準化するとともに、一方でスピード感を持って取り組んでいかなければならないと考えております。
このため、校舎の改修工事を計画的に行うことといたしまして、それに併せて、人にやさしい街づくりの推進に関する条例に基づくバリアフリー化を推進してまいりました。
県立高等学校におけるエレベーター設置につきましては、建物の強度が不足し、改修になじまない校舎を建て替える際に、順次、条例に従い進めてまいります。
また、本年六月に改正バリアフリー法が施行され、二〇二一年四月一日以降に新築等を行う公立小中学校等については、バリアフリー基準適合義務の対象に位置づけられました。
この法改正の際の附帯決議には、高等学校を含む全ての学校施設のバリアフリー整備を推進することが盛り込まれておりますことから、学校施設のバリアフリー化に関する国の動向を注視し、対応を検討してまいりたいと考えております。
次に、障害のある生徒への高校教育の保障についてお答えいたします。
高等学校の入学者選抜では、入学を希望する全ての生徒の受験機会を確保するよう努めることが必要であります。
本県では、障害のある入学志願者に対しまして、障害等の内容や程度、中学校での対応状況などを踏まえ、別室受験や時間延長、学力検査問題の文字の拡大など、実施上の工夫を行うなどして、個々の受験生が力を発揮できるよう配慮を行ってまいりました。
この春の入試では、全日制課程、定時制課程、通信制課程の全ての選抜で、病気やけがなども含めて、延べ四百十九人の受験生に対して、受験上の配慮を行いました。
高等学校入学後には、歩行が困難な生徒や視覚に障害のある生徒などに、生徒や保護者の要望も踏まえながら、日常生活上の介助や学習支援などを行う支援員を配置してきており、現在は二十五名を配置して、各学校における支援の充実を図っております。
また、二〇一七年度から県立高浜高等学校において、一部の授業で障害に応じた特別の授業を実施する、通級による指導のモデル事業を開始し、障害のある生徒が障害のない生徒と同じ学級に在籍しながら、生徒の能力を伸ばすことができるよう支援してまいりました。
開始時には実施校は一校で、対象者は二名でありましたが、順次実施校を拡大し、本年度は三校で二十九名の生徒を対象にして指導を行い、障害のある生徒の学びを支援しております。
御質問の中にもありました、二月の萩生田文科大臣の国会答弁、少し引用させていただきます。
「大前提として、障害を理由に入学を拒否されることは絶対にあってはなりません。ただ、その学校が目指す教育内容に、果たしてその希望される子が、たとえ障害があってもなくても、ついていけるかどうかということも考えてあげなくてはいけないんだと思います。
高等学校ですから、まずその設置者の皆さんの意向というのが大事」
と答弁されております。こうした大臣の国会答弁の趣旨を踏まえ、高等学校の設置者として適切に対応してまいりたいと考えております。
今後も引き続き、入学者選抜において必要な合理的配慮を行うとともに、入学後には一人一人の生徒の障害の特性に応じた支援の充実を図り、障害のある生徒の学びを保障してまいります。
◯県民文化局長(水野直樹君)
部落差別解消に向けた県の基本姿勢に関するお尋ねのうち、県民意識調査から見た傾向と課題についてお答えします。
本県では、人権が尊重され、差別や偏見のない愛知の実現を目指して、二〇〇一年に人権教育・啓発に関する愛知県行動計画を策定し、この計画に基づき、県民の人権意識の向上に努めております。
そして、人権問題に係るより効果的な啓発活動や適切な施策の推進を図るため、二〇〇二年から五年ごとに人権に関する県民の意識調査を実施してまいりました。
このうち、結婚や採用に当たって身元調査をすることについては、当然だと思うなど、部落差別にもつながる身元調査を容認する回答が調査を重ねるごとに増加する一方で、間違っているからなくしていかなければならないと思うとの回答は減少しており、直近の二〇一七年の調査では、全体の四分の一程度にとどまっております。
また、同和地区の人との結婚について、親や親戚から反対された場合の対応については、調査時点ごとにばらつきはあるものの、二〇一七年の調査では、自分の意思を貫いて結婚するなどの前向きな回答が約半数、分からないが約三分の一である一方で、結婚しないとの回答が約一割となっております。
これらの結果から、身元調査は人権を侵害し、部落差別をはじめとした様々な差別につながるおそれがあるということが正しく理解されていないことや、結婚においても一部の方には同和地区出身者への差別意識が依然として残っていることがうかがえるものとなっております。
こうしたことから、県といたしましては、これらの課題の解決を図るため、より一層の人権教育・啓発に努める必要があると考えております。
次に、社会の変化や情報化の進展、また、県民意識調査結果を踏まえて、法の求める部落差別の解消に向け、どのように取り組んでいくのかお答えします。
本年六月に公表された国の部落差別の実態に係る調査結果報告書によれば、近年、特に、インターネット上の人権侵犯事件が増加傾向にあり、その大半が特定の地域を同和地区であると指摘する、識別情報の発信であるとされております。
こうした情報の発信は、部落差別を助長、誘発するおそれがあるため、本県では、インターネット上の書き込みを定期的に確認し、悪質なものについてはプロバイダーへの削除要請を行うよう、名古屋法務局に対して依頼しております。
今後も、このような人権侵害行為を的確に把握し、削除依頼に努めてまいります。
また、県民の意識調査からは、残念ながら、今日においても一部の方には、同和問題に関する差別意識が残っていることがうかがわれます。
県としましては、二〇一六年に制定されました部落差別の解消の推進に関する法律にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下、同和問題に関する差別意識の解消に努めてまいります。
そして、部落差別をはじめ、あらゆる差別や偏見のない社会を実現するためには、県民の皆様一人一人に人権問題を我が事として、関心を持って考えていただくことが重要であります。
そこで、県としましては、情報化の進展なども踏まえ、インターネットを活用した啓発などを取り入れながら、あいち人権啓発プラザを拠点に、講演会や企画展の開催、啓発パンフレットの作成、配布など、人権教育・啓発を粘り強く推進することで、人権が尊重され、部落差別のない社会の実現に向けて、今後ともしっかりと取り組んでまいります。
◯九十二番(高木ひろし君)
再質問をさせていただきたいと思います。
愛知県教育委員会の障害者雇用に関する厳しい問いかけをさせていただきましたけれども、これは私個人の意見ではありません。
九月二日、障害当事者を中心にした六つの障害者団体の方々、代表三十名が愛知県議会のラウンジに集まって、教育長に要望書をお渡しいたしました。
今日、私が質問したのは、その要望の中身そのものであり、障害者の方々は、今日、この傍聴席でも、教育長の今の御答弁を聞かれたことでしょう。そして、ネットで、インターネット中継で、これを聞いている障害者の方も大勢いるはずであります。そして、私は今の御答弁をお聞きして、その方々のため息が聞こえてくるような気がいたします。
障害のある人の教育に関する県の教育委員会や、あるいは教員の皆さんの御苦労や努力について否定しているものでは決してありません。
しかし、障害当事者の人々を今、この答弁に表れたような姿勢で失望させているのは、雇用率の数字の低さだけではないのであります。
むしろ、この問題に真剣に向き合うことを通じて、愛知の教育をインクルーシブな方向へ、すなわち、障害のある先生もない先生も一緒に働き、そして、障害のある生徒も障害のない生徒も排除されず、共に学び共に働ける学校へと、こうした障害者権利条約が描き出す理念へと転換していく、そんな契機としてほしいという願いがあるからであります。
そして、それがなかなか届いていないということにも、今日、改めて教育長の御答弁をお聞きして、再確認せざるを得ませんでした。
愛知県と同様に障害者雇用率の低い教育委員会はほかにも多くあります。その教育委員会がつくった障害者活躍推進計画を私はダウンロードして、幾つか目を通させていただきました。
その中の埼玉県教育委員会の障害者活躍推進計画は、教育現場の詳しいアンケートや現状分析から、早期計画で実現すべきもの、そして中長期計画で実現すべきもの、こういうふうに分類いたしまして、具体的な取組を詳細に含む三十六ページもある力作となっております。
愛知県の計画は僅か二ページ、文科省の示した、厚労省の示したひな形に事務的に記入しただけのものでありまして、これは単なる量的な差ではありません。
埼玉県教育委員会のこの計画がどうしてつくられたのか、ここを注目しますと、この計画が障害当事者からのヒアリングや外部の有識者を含む障害者雇用推進委員会によって練り上げられてきたことが注目されます。
私も愛知県教育委員会がこの大きなテーマに中長期に取り組むに当たっては、教育委員会の内部の教職員課の方々を中心とするチームだけでは、そうした根本的なところからの計画は、なかなか難しいのではないかと思います。
そこで、ぜひ提案したいのは、県教委の中に設置されたというプロジェクトチーム、これには教育委員会の中の方々で構成されていると思いますが、ぜひともこれに民間の障害者就労支援に経験のある方々、教育行政や福祉行政の専門家、そして、教員の資格を持っていらしたり、あるいは障害福祉に詳しい障害当事者などの外部の人材をぜひ加えていただきたいということであります。
障害当事者の皆さんは、障害者に関わる大きな問題について、障害当事者抜きに物を決めないでほしいと、こういうことを度々言われております。
愛知県のこの本当の障害者活躍推進計画をこれからつくっていくために、こういう当事者を含む外部の方々の参画ということについて検討していただけないか、この点に関してだけ追加質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
◯教育長(長谷川洋君)
障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現に向けて、障害のある方とない方が共に学ぶインクルーシブな教育の方向性は重要であります。既に、障害があっても小中学校や高等学校で学ぶ児童生徒は、着実に増えてきております。
障害のある方がそれぞれの個性を生かして、一人一人が輝き、生き生きと学び、働くことができる学校の実現に努めてまいりたいと考えております。
その上で、愛知県教育委員会障害者活躍推進計画の推進に当たって、障害の当事者、外部の方の意見を聞くべきではないかという御質問でございました。
先ほど申し上げたとおり、既にプロジェクトチームを設置して、取組内容の充実を図っていきたいと考えております。
また、計画の見直しを行う際にも、このプロジェクトチームにおいて計画の実施状況の点検を行い、これまでに採用された障害当事者である障害のある職員の活躍の状況や計画に対する意見を参考にしながら、見直しの内容を検討していきたいと考えております。
あわせて、障害当事者の方、障害者団体の方の意見をお聴きする機会も、併せて検討をしてまいりたいと考えております。
以上です。