令和2年県民環境委員会 2020-03-13

 
 
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【高木ひろし委員】
昨年10月から幼児教育・保育の無償化が始まり、小学校へ就学前の子供を対象に、所得制限なく全ての世帯で実質無償化となったが、今回の無償化の対象施設と、国、県及び市町村の費用の分担、無償化の業務をどのように行うのか伺う。

【私学振興室長】
今回の幼児教育・保育の無償化の対象施設は、幼稚園、保育所、認定こども園、特別支援学校幼稚部及び認可外保育施設などである。国、県及び市町村の負担割合は、私立の施設の場合は、国が2分の1、県が4分の1及び市町村が4分の1である。無償化の業務は市町村が行い、市町村は、幼稚園等からの書類の申請を受け付け、入園料及び授業料に相当する額を負担する。国と県は、市町村へそれぞれの負担割合分を支払う。

【高木ひろし委員】
どのように無償になるのか。一旦納めた授業料等が還付されるのか。

【私学振興室長】
保護者が一旦、幼稚園へ入学金や授業料を納め、後日還付を受ける方法と、もう一つは、保護者からは徴収せず、市町村から幼稚園へ授業料等を支払う方法がある。どちらの方法になるかは、幼稚園の意向を踏まえて市町村が決める。

【高木ひろし委員】
今回の無償化は全体的にはよいことであるが、一つ大きな問題が発生している。外国人学校の扱いである。
先週、名古屋市中村区にある朝鮮学校の幼稚部へ行き、校長先生や保護者にいろいろ話を聞いた。教育内容は日本の幼稚園と遜色ない充実した教育を行っており、名古屋市内以外の地区からもバスで通っている子供もいることから、保護者や学校にとっても負担が大きいにもかかわらず、就学希望者が減っていない現状も確認できた。外国人学校に子供を通わせている保護者の主張は、消費税は平等に負担しているのに、その果実である無償化の対象から、我々だけがなぜ排除されるのかという怒りと悲しみの声であった。日本人と同じ年代の幼児が通っており、日本の教育施設と同じような施設であるのに、国の方針により、外国人学校は各種学校であるとの理由で、なぜ無償化の対象外となっているかという強い批判であり、私も同感である。
そこで、各種学校として認可されている外国人学校のうち、就学前の幼児が通っている外国人学校は何校あるのか。また、そこに通っている幼児は何人いるのか。

【私学振興室長】
昨年5月1日現在で、本県には、各種学校として認可されている外国人学校が、休校中の学校を除くと、インターナショナルスクールが2校、ブラジル人学校が4校、朝鮮人学校が5校、韓国人学校が1校の計12校ある。そのうち、インターナショナルスクールの1校、ブラジル人学校の4校、朝鮮人学校の4校の計9校が、小学校へ就学前の児童が通う幼稚部を設置している。また、就学前の子供は、昨年5月1日現在で140人が在籍している。

【高木ひろし委員】
外国人学校が今回の幼児無償化の対象から外れているのはどういう理由か。

【私学振興室長】
内閣府が各地方自治体へ通知したQ&Aによると、「各種学校については、幼児教育を含む個別の教育に関する基準とはなっておらず、多種多様な教育を行っており、法律により幼児教育の質が制度的に担保されているとは言えないこと。また、学校教育法に基づく教育施設については、児童福祉法上、認可外保育施設には該当しないことから、今般の無償化の対象とはならない。」となっている。

【高木ひろし委員】
非常にわかりにくい説明である。各種学校の認可を受けていないが、外国人の幼児が通っている学校もあると思うがその状況はどうか。

【多文化共生推進室長】
多文化共生推進室として活動を把握している、各種学校としての認可を受けていない外国人学校はいずれもブラジル人学校で7校あり、全ての学校で就学前の子供を受け入れており、その人数は195人である。このうち3校が、就学前の子供の受入れについて認可外保育施設として届出をし、保育の無償化の対象施設となっている。

【高木ひろし委員】
各種学校の認可を受けていないブラジル人学校7校のうち無償化の対象となっていない4校に対して、県としてどのように扱うべきと考えているのか。

【多文化共生推進室長】
外国人学校は、日本語能力不足のため、日本の公立学校に通うのが困難である場合や、母国の教育を受けることを希望する子供たちの教育を受ける場の確保の面において一定の役割を果たしている。このため、本県では、各種学校としての認可を受けていないブラジル人学校に対しては、毎年度、学校の運営状況や課題等についてヒアリング調査を行っている。こうした機会を捉えて、保育の無償化の対象となっていないブラジル人学校から相談があった場合は、認可外保育施設となることなど、必要な助言をしていきたい。

【高木ひろし委員】
幼稚園は教育の体系、保育園は福祉施設の体系の中にあり、この両方を無償化の対象とする国の施策であるが、幼稚園は学校教育法第一条に規定するものに限り、各種学校を排除している。一方で、福祉の保育所の範疇では、認可外保育施設まで広げて、全部をカバーしようとしている。福祉的な対応と教育的な対応が矛盾しており、教育施設でなく認可外保育施設として申請すれば無償化の対象となり、各種学校の認可を受けていないブラジル人学校は、認可外保育施設の届出を行うことで無償化の対象となるとのことであるが、各種学校となっている外国人学校が同様に無償化の対象になることは可能であるのか。

【私学振興室長】
各種学校の施設のうち、幼児が使用している部分を各種学校から切り離し、その部分について、県または政令市などに認可外保育施設の届出をし、無償化の対象施設である確認を受けることによって無償化の対象となることができる。実際に、県内のブラジル人学校4校のうち3校の幼稚部が各種学校から認可外保育施設に変更し、昨年10月から無償化の対象となっている。

【高木ひろし委員】
そもそも、認可外保育施設が、施設等の基準などほとんど関係なく、幼児を預かっているというだけで無償化の対象であるのに、各種学校として認可され、一定の水準の教育を担保している幼児施設を一律に排除していることは、国の運用が根本的におかしい。このような中、国は、来年度予算に2億円を計上して、幼児教育類似施設の調査をすると発表しているが、その内容はどのようなものか。

【私学振興室長】
文部科学省の来年度予算の発表資料によると、地域における小学校就学前の子供を対象とした多様な集団活動等への支援の在り方に関する調査事業として2億円の予算が計上されている。その事業内容は、幼稚園や保育所、認定こども園に通っていない満3歳以上の小学校就学前の幼児を対象に、自然体験、様々な遊びや生活体験を通じた集団的な活動を行う施設等に対して支援を行っている自治体に対して、それらの施設等の支援の方策に関する調査を委託するものとなっている。今のところ、文部科学省から要綱等が示されていないため、詳細はこれ以上分かっていない。

【高木ひろし委員】
幼児教育無償化は国の制度であり、本県の来年度予算においても、幼児無償化の予算が計上されている。問題は、その中に入れることのできない朝鮮学校やブラジル人学校の救済をどうするかであり、学校の認可の種類や設置者によって、又は子供たちの国籍によって、補助したりしなかったりすることはあり得ない。国際人権規約や、外国籍住民のナショナリティーを保障しながら多文化共生社会を形成していく考えにも反し、国が自ら外国人差別をしているということにもなりかねない重大案件である。
この学校を認可しているのは県であり、外国人学校の実態を一番把握しているのも県である。文部科学省は直接外国人学校を知らないことから、どういうものが幼児教育類似施設であるかとの判断は、県の判断を重視せざるを得ない。国で来年度計上されている2億円を活用して、朝鮮学校やブラジル学校の幼稚部に通う子供たちが取り残されないよう強く要望する。


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