令和元年県民環境委員会 2019-10-03

 
 
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【高木ひろし委員】
部落差別を含めた差別的な表現や行為に関して、情報化の進展に伴い、インターネット上における差別的な発言や書き込みが拡散し、激しくなっているなど、憂慮すべき事態が生じていることに対して、どのような状況変化があると認識しているのか。また、それに対してどのような取り組みを行ってきたのか。

【人権推進課長】
近年、インターネット上に、特定の地域を同和地区であるなどと指摘し、文書や写真、動画などを掲載する悪質な事例が見られるようになった。インターネットに掲載される情報は、不特定多数の人に発信されるため、誰でも閲覧可能で、短期間に拡散し、一度拡散すると、削除が困難になる特徴があることから、深刻な被害をもたらすおそれがある。こうした情報のインターネットへの掲載は、差別を助長し、同和問題、部落差別の解決を妨げる極めて悪質な行為である。
本県としては、まず、こうした情報を把握することが必要であると考え、昨年11月から、インターネット上の差別書き込みに対するモニタリングを人権推進課の職員全員で行っており、差別を助長する情報を確認したときは、関係市と情報の共有を図るとともに、名古屋法務局に削除要請を行っている。

【高木ひろし委員】
現在、県が行っているチェックにより、インターネット上の差別情報の改善や根絶に至るような効果があると考えているのか。

【人権推進課長】
インターネット上に掲載されているものの根絶までは難しいと考えているが、インターネット利用者に同和問題を正しく理解してもらうため、本県のホームページに同和問題、部落差別に関する情報を掲載しており、検索キーワードに「愛知」、「同和」、「同和地区」、「部落」、「部落差別」などを登録し、インターネットで本県の「部落」と検索すると、本県の同和問題に関するホームページが表示されやすくなるようにしている。

【高木ひろし委員】
本県では、平成14年度から5年に一度、県民の意識調査を行っているが、被差別部落に対する忌避意識がどのように変化してきているのか伺う。

【人権推進課長】
直近の平成29年度の意識調査では、「あなたのお子さんの結婚しようとする相手が、同和地区の人であるとわかった場合、あなたはどうしますか」という質問で、「子どもの意思を尊重する。親が口を出すべきことではない」が43.5パーセント、「親としては反対するが、子どもの意思が強ければしかたがない」が28.6パーセント、「家族や親戚の反対があれば、結婚を認めない」が2.4パーセント、「絶対に結婚を認めない」が2.5パーセント、「わからない」が23.0パーセントとなっている。この調査項目については、平成29年度から新たに「わからない」という選択肢を設けたため、過去の調査結果との比較はできなくなっている。
また、「あなたが、家を購入したり、マンションを借りたりするなど住宅を選ぶ際に、同和地区や同和地区と同じ小学校区にある物件を避けることがあると思いますか」という質問を平成29年度と平成24年度に行い、「同和地区や同和地区と同じ小学校区にある物件は避けると思う」が、平成24年度は21.9パーセント、平成29年度は19.2パーセントで2.7ポイントの減少、「同和地区にある物件は避けるが、同和地区と同じ小学校区にある物件は避けないと思う」が、平成24年度は13.6パーセント、平成29年度は13.9パーセントで0.3ポイントの増加、「いずれにあってもこだわらない」が、平成24年度は29.7パーセント、平成29年度は31.4パーセントで1.7ポイントの増加となっている。
こうした県民意識の現状を踏まえ、差別意識の解消に向けた教育・啓発を、引き続き積極的に推進していかなければならないと認識している。

【高木ひろし委員】
昔は差別的な落書きや発言という形で、個人的な狭い空間でなされてきた差別発言が、インターネットの普及によって、強力な拡散力で、チェックしにくい形で広がっており、県民の人権に関する意識もなかなか前進が図りにくい状況にあるが、本県として今後どのような取り組みを進めようとしているのか伺う。

【人権推進課長】
部落差別の解消を図るため、行政の各分野で取り組みを進めること、また、同和問題について県民の正しい理解が進むよう、あいち人権啓発プラザで、人権情報の提供や講演会、研修会などの教育啓発活動を行うなど業務を改善しながら継続して実施していくことが大切であると考えている。
また、県民の人権意識の高揚を図るためには、広範かつ継続的な取り組みが必要であることから、県だけではなく、市町村の役割も重要であると考えている。このため、市町村の依頼に応じて、職員向けの人権研修への講師派遣や、市町村職員に人権啓発事業者となってもらうための研修会を行ってきた。また、市町村に対しては、全庁的な人権教育啓発に関する基本方針や行動計画の策定など、人権施策をより一層推進してもらうよう文書で依頼している。
今後は、会議などのさまざまな機会を捉えて、市町村における一層の取り組みを働きかけていきたい。

【高木ひろし委員】 これからも粘り強い取り組みを進めるよう要望する。


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