令和元年県民環境委員会 2019-06-25

 
 
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【高木ひろし委員】
廃プラスチック問題について質問する。プラスチックごみに関しては、中国が汚染廃プラスチックの輸入を全面的に禁止したことに伴い、一昨年暮れから慌ただしい動きとなっている。また、海洋プラスチック問題が大きな国際問題となっており、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約が締結された。さらに、間もなく開かれるG20愛知・名古屋外務大臣会合で、日本がリードする形で大きな合意や取り決めがなされると考えられる。
日本はプラスチック容器、レジ袋などの消費量が世界第2位と言われている。全国の廃プラスチックの総量は940万トンで、そのうち233万トン、25パーセントがリサイクルされ、534万トン、57パーセントがサーマルリサイクル、98万トンが単純焼却され、74万トンが埋め立てであった。国外に出て行ったものも相当あり、これが中国の輸入停止でいったいどこに行ったのかが問題となっている。本県内では、廃プラスチックがどのくらい排出されているのか伺う。

【廃棄物監視指導室長】
産業廃棄物としての廃プラスチックの動きであるが、直近の平成28年度には、県内で約70万4,000トン発生した。そのうち、県内から出たり県外から入ったりした差し引きもあるが、中間処理による減量化量が8万トン。その後、再生利用や最終処分に行くが、最終処分量は約9万1,000トン。さらには、中間処理を経て再生利用に回るものは、有用物を含めて約44万3,000トン。そのうち、国内利用が約24万7,000トンで、本県の推計値ではあるが、約19万6,000トンが、本県分として輸出されたと推計される。

【高木ひろし委員】
約19万6,000トンの大部分が中国に出ていたということで、それが国内のどこかに滞留していることが懸念される。昨年、本県としても国の要請を受けて、県内の廃プラスチックの状況について調査したと聞いているが、どのような状況か伺う。

【廃棄物監視指導室長】√ 本県では、中国を初めとする外国政府による輸入規制に伴う影響について、昨年9月と本年1月に、県内の廃プラスチック類の多量排出事業者、処理業者、さらには輸出業者を対象に立入検査やヒアリング調査を実施した。その結果、「有価物として売却できたものの一部が売却できなくなった」「処理料金が値上がりした」「保管量が少しふえた」「輸出先を変えた」という回答はあったものの、全体としては調査時点においては「処理が滞っている状況にはない」との回答であった。

【高木ひろし委員】
それを聞いて安心したが、これから市場の変化により、今まで売れていたものが売れなくなったり、処理費が高くなりすぎて引き取り手がなくなったりと、いろいろな要因により、知らない間にどこかに長期間集積し、プラスチックが圧縮や変形により高熱となり出火することも考えられるため、厳しく監視するとともに、処理が少しでもスムーズに流れるような措置を速やかにとってほしい。
産業廃棄物としてのプラスチックごみが滞留してしまった場合、国の通知では、自治体の焼却炉での処分、焼却もやむを得ないケースがあり得るとの考え方が示された。本来は一般廃棄物を焼却すべき自治体の焼却炉で産業廃棄物を処分することについて、県はどのように考えるか伺う。

【資源循環推進課主幹(循環・一般廃棄物)】
廃プラスチック類については、一昨年末の中国政府を初めとする外国政府の輸入規制に伴い、国内で処理すべき量が増加することとなり、その対策を検討する必要がある。 この対策としては、まず、排出事業者に対して、廃プラスチック類の排出抑制及びリサイクルの徹底を求めるとともに、産業廃棄物処理業者に対し、処理の停滞を起こさないよう、受け皿となる処理施設の計画的な整備を促す。
民間施設での処理が追いつかない場合、緊急避難的な措置として、市町村の焼却施設での処理も対応策の一つとして考えられることから、本年5月20日付けの環境省通知の趣旨を踏まえ、翌21日に産業廃棄物に該当する廃プラスチック類の一般廃棄物処理施設での受け入れの検討を促すよう、市町村に対して通知した。

市町村における実際の受け入れに当たっては、周辺住民の理解、産業廃棄物を受け入れるための条例改正、設備への影響等の検討が必要となると認識している。しかし、現段階では、処理が必要となる廃プラスチック類の質、量、処理期間が不明確であり、本県としては、緊急時に備え、廃プラスチック類の滞留状況を把握し、国や他県の動向等の情報収集を行いながら、市町村と情報共有を図る必要があると考えている。
なお、国に対し、国内における廃プラスチック類の処理の逼迫状況や、処理に当たっての県境を越える広域的な調整など、市町村での受け入れを検討するための必要な情報等についてしっかり求めていく。

【高木ひろし委員】
これを機会に、プラスチック、特に石油由来のプラスチックの量自体の抑制や別のものへの代替という方向があるべき姿だと思う。安易に焼却することにならないようお願いしたい。
日本政府は廃プラスチックの非常にわかりやすく象徴的な対策として、レジ袋の有料化を打ち出すようである。レジ袋については、本県では名古屋市などで早くからいろいろな取り組みが既に行われてきているが、さらに法律で有料化していくことがどういう意味を持つのか。私の生活の実感から、ほとんどのスーパーでは既に有料であり、無料でレジ袋を配っているところはほとんどないと思うが、県内のレジ袋有料化の実態を県は把握しているのか。

【資源循環推進課主幹(循環・一般廃棄物)】
県としては、これまで市町村、消費者団体と事業者団体で構成するごみゼロ社会推進あいち県民会議でレジ袋削減の取り組みをしており、この取り組みを実際登録している店舗数は、本年6月現在で251店舗である。

【高木ひろし委員】
実際にレジ袋が何枚ぐらい出て、そのうち何枚が有料で販売され、何枚が無料で流通しているのかの数字は把握しているか。

【資源循環推進課主幹(循環・一般廃棄物)】
店舗において、例えば10人いて5人が賛同したなど、50パーセント、70パーセントなどの削減の取り組み状況としての店舗数は把握できるが、レジ袋の有料の枚数、無料の枚数は把握していない。

【高木ひろし委員】
レジ袋問題を法律化することの意義を否定するつもりはないが、レジ袋を有料化することで廃プラスチック問題が大きく改善されるという考え方は、問題を矮小化している印象がある。廃プラスチックのうちレジ袋が占める割合は微々たるものであり、既にほとんどの大型店やスーパーで有料化が進んでいることからも、これを法律化する意味というのは、消費者の意識啓発という面も多分にあると感じる。
これまで、自主的な取り組みという形で店舗に促してきたことを、国が法律によって廃プラスチックの抑制に取り組もうとしている姿勢は評価できるが、本県も環境先進県として、国の動きを踏まえながら、廃プラスチック問題におけるこれまでの取り組みをさらにリードしていくような先進的な取り組みを、ぜひ打ち出してほしい。


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