大村知事は8月以来、少子化対策として、事実婚のカップルから生まれた子どもに法的保護を与える制度の創設を提唱している。親が未婚であるために生じる法律上の制約を解消し、出産を諦めるケースを減らすのが狙いで、フランスの連帯市民協約(PACS)制度がモデルだ。
フランスのPACSは、異性、同性を問わず、同居カップルが法律婚と同様の社会保障を受けられる仕組みで、子どもに「嫡出」「非嫡出」の差別はなく、両親が共同で親権を持てる。この制度を含め、フランスの強力な子育て支援策の効果で、90年代に1.8以下に落ち込んでいた出生率は10年間に2.0を上回るほどに回復した。方や日本は、90年代以降1.4以下と低迷を続ける。
こうした家族形態の多様化を認める取り組みとして、愛知県はファミリーシップ制度を今年度中に導入する方針だ。同性カップルを主な対象として人生のパートナーであることを証明する「パートナーシップ制度」は13都道府県で導入されており、県内でも名古屋市を含め26市町で始まっている。最近の傾向は、すべての子どもの福祉の観点から、生計を一にする子どもが家族として平等に生活を営めるよう「ファミリーシップ制度」とする自治体が増えており、都道府県としては初の導入を目指す。
こうした流れは、「愛知県人権尊重の社会づくり条例」の理念である「多様性を認め合い、誰一人取り残されることのない人権尊重の社会づくり」に沿ったもので、私たち県民の意識改革が求められている。
(コラム)多様な家族の形、認める社会に
2023年10月28日