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2024年4月号

4兆3,427億の予算を可決  ステーションAiなど新成長戦略

令和6年2月定例県議会(2月19日~3月25日)では、一般会計2兆7,949億余円を含む4兆3,427億余円の令和6年度当初予算をはじめ、92議案が上程され、慎重な審議の結果、全ての議案を可決しました。
令和6年度当初予算については、知事の年間の政策集「あいち重点政策ファイル360プラス1」と「あいちビジョン2030」に掲げた重要政策の方向性を踏まえ、それを具現化する施策を14の柱(◎With/Afterコロナの成長戦略 ①「リニア大交流圏」の形成 ②産業首都あいち ③農林水産業の振興 ④次代を創る教育・人づくり ⑤安心と支え合いの福祉・社会づくり ⑥安心できる医療体制の構築 ⑦誰もが活躍できる社会づくり ⑧あいちのグローバル展開 ⑨選ばれる魅力的な地域づくり ⑩安全・安心なあいち ⑪環境首都あいちの推進 ⑫東三河の振興⑬地方分権・行財政改革の推進)に沿って編成されています。
令和6年度は、3月に全面開園したジブリパークのある愛知の魅力を国内外に発信するとともに、10月にオープンする「STATION Ai」や、2026年に開催予定のアジア最大のスポーツの祭典である「アジア・アジアパラ競技大会」を始めとした日本の未来をつくるビッグプロジェクトを着実に推進していきます。
また、意見書においても、あいち民主県議団から「誰もが安心して暮らせる社会の実現」と「ヘリコプター操縦士等の人材確保の促進について」を含め、5件を国に提出いたしました。

能登半島地震と原発

能登半島で最大震度7の地震発生というニュースに接して、「原発は大丈夫か」と不安に感じた人は少なくなかったはずだ。この地域は若狭湾の〝原発銀座〞にも近く、志賀(しか)原発や、原発予定地だった珠洲(すず)市は半島の先端部分に位置し、ほぼ震源地だった。志賀原発では外部電源から電力を受ける変圧器がトラブルをおこしたものの放射性物質の漏出には至らなかったが、がけ崩れや陥没で道路は途絶して多くの集落が孤立し、救援を阻んだ。「避難計画」は机上の空論だった。
珠洲市では1975年に、関西電力や中部電力による巨大原発計画が浮上したが、住民の粘り強い反対運動などによって2003年に計画は白紙に戻った。この反対運動のリーダーの一人だった圓龍寺(浄土真宗大谷派)の住職・塚本真如(まこと)さんは、寺が倒壊し妻が下敷きになるという被害にあった。被災後の塚本さんのもとへ見舞いとともに、全国から感謝の言葉が届いているという。「原発を止めてくれたおかげで、西日本が救われた。ありがとう」と。
3月中旬の世論調査(毎日新聞)によると、原発再稼働への「反対」が45%で「賛成」の36%を上回り、昨年までと賛否が逆転した。能登半島地震で原発のリスクが再認識された可能性がある。男性は賛成55%、反対34%に対し、女性は反対56%、賛成20%と逆の傾向。「命」の危険に対して、より敏感なのだろうか。

精神病院に1万人 多すぎ長すぎる入院
退院請求に審査会ゼロ回答

精神科病院の入院者が29万人、県内にも一万人超、その平均入院期間が277日という日本の精神医療の実態は、 OECD諸国の中でも突出しており、2022年には国連人権委員会からも厳しく批判されている。3月6日の県議会本会議で高木ひろし県議が初めてこの問題を取り上げ、県の姿勢を質した。
精神科入院は「措置入院」と「医療保護入院」という、非自発的入院つまり強制入院が半数以上となっている。自傷他害の恐れがある場合などに知事の判断で入院させる措置入院に対し、圧倒的多数を占める医療保護入院は精神保健指定医の判断と家族等の同意だけで入院させられる制度で、人権上大きな問題がある。その適正さ、妥当性を審査するのが精神医療審査会だが、愛知県の精神医療審査会ではほぼすべての医療保護入院を「追認」しており、本人からの退院請求に対して退院を認めたケースはゼロだった。これは、他の自治体の審査会と比べても著しく低く、人権擁護機関としての審査会が機能を果たしているのか疑わしいと言わねばならない。医療的には入院の必要がないのに退院できない「社会的入院」が多い原因は、地域での福祉的支援や居住条件の不足が大きいが、長期入院患者で経営を成り立たせている民間病院の問題もある。
高木議員は、病院医師が中心の審査会に障害者家族会代表や弁護士をいれるなどの改革を提案するとともに、精神障害者 の地域生活を支える体制を整備するよう強く県に求めた。

イタリアのバザーリア精神病棟を廃止

ヨーロッパで精神科医療の改革が急速に進むきっかけとなったのは、イタリアのトリエステ州立精神病院の院長に就任したフランコ・バザーリアという精神科医師だった。バザーリアは知事と連携して、1,500人の入院患者を6年間ですべて街中で暮らせるようにし、医師や看護師たちも地域で患者を支えるスタッフに転換して、遂に病院を閉鎖させた。この動きがイタリア国会を動かし、公立精神病院への入院を禁止する「バザーリア法」が1978年に成立する。
日本でも、北海道の浦河町にある「べてるの家」では、精神科病院を退院した精神障害者らが昆布販売などの街おこし事業を担い、「当事者運動」を30年以上にわたって続けている例がある。

ファミリーシップ制度《4月から》

同性婚が認められないため婚姻できないが、互いを人生のパートナーとして認め合う二人及びその子を始めとした近親者が、ファミリーシップの関係にあることを宣誓し、県がこれを公的に証明する制度が4月から始まる。すでに県内では28市町で同様の制度を導入済みで、県の制度がスタートすれば、全県で宣誓ができるようになる。
具体的には、公営住宅の入居や公立病院での面会、手術の同意等が可能に。さらに県は、生命保険の受取人や携帯電話の家族割りなどの民間サービスにもこれが及ぶよう働きかけていくとしている。

政治改革30年の総括 法政大・山口二郎教授講演


山口二郎教授

日 時:5月25日(土)午後2時~
会 場:ウィルあいち(東区上堅杉町1)
主 催:リベラル政治懇話会
   (共同代表:近藤昭一、大脇雅子、片桐清高)
事務局=高木ひろし事務所


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