令和2年県民環境委員会 2020-03-16

 
 
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【高木ひろし委員】
地球温暖化防止戦略推進費で、新規事業として加えられた再生可能エネルギーの地産地消に向けた課題や対応策等の整理、情報発信について、どのように考えているか。

【地球温暖化対策課長】
再生可能エネルギー地産地消事業費の目的は、その地域内で再生可能エネルギーを生産、調達、利用し、地域の低炭素化を図るだけでなく、固定価格買取り制度(FIT)による買取り期間満了後の発電設備(卒FIT)の活用、その地域の経済の活性化、雇用創出、利益還元及び災害時のレジリエンス強化など、つながりをもった取組を推進することである。
再生可能エネルギーの地産地消に関する事業内容は大きく二つある。一つ目は再生可能エネルギーの地産地消調査費である。地産地消の取組を推進するために、全国各地で様々な取組が行われており、メリット、デメリットを整理し、問題点、事業のスキーム、採算を調査して課題を抽出していく。
二つ目は、市町村向けの説明会を考えており、当面は二段構えでやっていく。

【高木ひろし委員】
県内でも様々な取組が既に始まっており、昨年から本年にかけて、豊田市を中心に三河の山里コミュニティパワーという会社が設立され、愛知県の地域新電力の先駆けになっている。また、岡崎市でも、そうした動きが始まったと聞いている。この二つについて、県は内容を把握しているか。また、そのほかにも県内の動きを紹介してほしい。

【地球温暖化対策課長】
県内の主な取組としては、豊田市が山村地域等における課題解決に向けた地域サービス事業を実施している。また、同じく豊田市が民間事業と連携して、昨年4月から市内のクリーンセンターなどで発電された再生可能エネルギー電気を市内の公共施設、工場で活用するSDGsとよた再エネチャレンジという実証事業を2022年まで実施すると聞いている。
岡崎市でも、本年3月9日、県内初となる自治体出資による株式会社岡崎さくら電力を民間事業者との共同出資で設立し、本年7月をめどに、市内のクリーンセンターなどで発電された再生可能エネルギー電気を市の庁舎、市内の小中学校等、公共施設に供給する事業を開始する予定である。
ほかにも、豊橋市は、再生可能エネルギーの普及とエネルギーの地産地消を進めるため、本年1月に地産地消エネルギー指針を策定している。その中でエネルギーの地産と地消をつなぐ手法として、地域新電力事業を明記しており、来年度、具体的な仕組みを構築するため、地域新電力の事業化可能性検討、調査等を実施すると聞いている。

【高木ひろし委員】
県は住宅用太陽光発電の設置に関して、昨年度までの16年間、補助金制度を活用して市町村と協調しながら、全国一の住宅用太陽光発電設備を広げてきたが、件数は何件で、県費は幾ら投入されたのか。

【地球温暖化対策課長】
太陽光発電施設だけではなく、HEMSなど全てを含めた件数で約9万6,000件、総額で約13億8,000万円である。また、太陽光発電施設だけに限定すると8万2,599件となるが、個別の金額は算出することができない。

【高木ひろし委員】
太陽光発電パネルを普通の家に設置すると、一戸当たり3キロワット前後で200万円ほどかかる。これに対して、県からどれぐらいの補助金が出ているのか。

【地球温暖化対策課長】
市町村との協調補助であり、市町村補助額の4分の1である。市町村補助額が10万円なら2万5,000円程度になる。

【高木ひろし委員】
トラストバンクという会社では、補助金を出した自治体に、発電した電力を返す取組をしている。
また、千葉県では、町の30戸ほどの町営住宅と道の駅の電力を小規模なエネルギーネットワークで結び、台風等により停電があった場合、地域の電力を集めることにより、電力供給が可能となり、防災面で非常に役立てている事例がある。
それぞれの地域が独立した自給自足網を持っていれば、その地域は被害を免れる防災上の効果もある。こうしたことも地産地消のエネルギー網を設計する上で重要な観点である。

【地球温暖化対策課長】
卒FIT電源の活用は念頭にあるが、中部電力株式会社1社で情報を持っており、効果的な調達方法を把握するには相当な労力が必要となる。他県も含めて、卒FIT電源の効果的な調達方法を調査し、考えていく。
また、防災面での自給自足、災害時のレジリエンス強化など、自立分散型エネルギー社会も視野に入れ、地域のプラスになる方向で検討し、調査を進めていく。


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