◯九十二番(高木ひろし君)
新政あいちの高木ひろしでございます。
私は、通告いたしました二点につき、一点目は、アジア系留学生の現状と県の対応について、そしてもう一つは、愛知県教育委員会の障害者雇用率達成に向けた諸施策についてということで順次伺ってまいります。
まず、留学生の問題でありますが、昨日の西久保県議の代表質問の中で知事の御答弁でも触れていただきましたが、愛知県内に居住する外国籍住民はふえ続けて、ついに二十六万人を超えて、東京に次ぐ、多国籍住民が数でも率でも多く居住する地域となっております。
注目すべきはその人数の問題だけではなく、平成三十年の間に大きく変化しているその中身にも注目する必要があると思います。
一九八九年の入管法改正で、ブラジルなどの日系人が急増いたしました。また、二〇〇八年のリーマンショックによって、このブラジル人の皆さんが帰国を余儀なくされる等の現象が生じました。そして、入れかわるように、今度は中国とフィリピン、ベトナムなどアジア系の永住者、定住者がふえまして、カテゴリーの上でも在留資格の上でも技能実習生や留学生などの、これはそれぞれ就労には条件がつく外国人でございますが、こうした方々も急増してきております。
名古屋市内でも、コンビニや飲食店で働くアジア系留学生と思われる店員の姿はもはや当たり前の風景となってきております。こうしたアジア系の留学生の実態と県の対応について、何点か伺いたいと思います。
県内には政府が二〇〇八年に打ち出した留学生三十万人計画に後押しされる形で、日本語教育機関がどんどんとふえてまいりまして、今五十校に達しております。
そして、その日本語教育機関の課程を修了した留学生が進学する受け皿として、専門学校がまた大きく成長してきておりました。県内の専門学校に在籍する留学生の数は、二〇一四年度、四十六校九百人であったものが二〇一八年度においては五十二校五千四十一人と、四年で約五・六倍となっております。しかし、この数字には、後ほど述べますが、さらに実態を反映する大きな陰の部分があったということであります。
また、専門学校の留学生の国籍を見てみますと、二〇一四年度は中国、ネパールが多い状況でしたが、二〇一八年度においては中国にかわってベトナムが急増するなど、国籍もアジア各国に多様化してきております。
このような状況の中で、東京福祉大学系列の保育・介護・ビジネス名古屋専門学校という名の名古屋にあります専門学校で、定員を大幅に超える留学生が存在しているのではないかという問題が発覚いたしました。
それを受けまして、県と名古屋出入国在留管理局、入管ですが、これは四月の法改正によりまして、出入国在留管理庁のもとでの管理局というふうに名前が変わっておりますけれども、この管理局と県が六月に合同で同校に調査に入りました。
その結果、何と定員の四倍をはるかに超えるような五千人近い留学生が在籍しているという実態が判明いたしました。この学校一校で五千人でありますから、先ほどの公式数値の五十二校で五千四十一人という数字が実態を余り反映していないのではないかという疑念も浮かんでまいります。
この件に関連をいたしまして、私は留学生に大量のビザを発給していた名古屋出入国在留管理局、いわゆる名古屋入管にも問題があるのではないかと考え、立憲民主党の国会議員らとともに、九月二日にこの名古屋入管を視察し、聞き取り調査を実施してまいりました。
名古屋入管の説明によりますと、専門学校は愛知県知事認可の学校でありますので、その定員については所轄庁である県が把握して管理すべきものであって、入管では把握していなかったということ、留学生の多くはまた、日本語学校から在留期間の更新という形で個々に申請してきたことなどから、結果的に定員を大幅に超える留学生のビザ更新を受け付けることになってしまったと、こんなような説明でございます。言うならば、県と入管がこの問題に関して責任をなすりつけ合っているようにも思えるわけでございます。
そこで、県にお聞きいたします。
今回の件については、この学校は県への生徒数の報告を偽っていたということが明らかになっておりますけれども、改めて、なぜ定員の四倍もの留学生がこの専門学校に在籍することができたのか、その理由をお聞きしたいと思います。
第二に、この専門学校に対しましては七月二十五日に県から指導が加えられまして、その指導の中身というのは、大幅な定員超過の原因となっている二つの学科、国際教養学科及び国際ビジネス情報学科でありますが、この定員超過状態が是正され、留学生の受け入れ体制が改善されるまでの間、新規入学生の受け入れを見合わせること、これは当然であります、そして、入学志願者等の目的意識や学力等を適切に判定し、定員に即した入学数などがきちっと選抜できるように体制を改善するとともに、入学後の適切な在籍管理体制を整備すること、そして、このような不祥事を起こした学校法人の管理運営体制を是正して、その再発防止の体制を確立すること等について指導があったようであります。
これに対しては八月三十日付で専門学校から改善計画書が出されているはずでありますが、この改善計画の中身について、そして、留学生が今後も増加すると予想される中で、こうした事態が二度と発生しないように、県内のこうした学校に対してどのように対処していくおつもりなのか、お聞きをいたします。
また、このような専門学校の留学生の多くは、日本での就職を夢見て海外から来日し、決して安くない入学金と授業料を支払って日本語学校などを修了し、その後さらに専門学校などの入学金、授業料を払って、それはみんな前払いでありますから、勉強している若者たちであります。
今回の専門学校においては、現在在籍している彼らに対し、強制的に退学させるなどの不利益な取り扱いを行わないよう県から指導されており、国際教養学科及び国際ビジネス情報学科に在籍する留学生については定員を超えた状態ではあるけれども、修業年限が完了するまでこの学校で勉強ができることになったと聞いてもおります。
ただ、こうした定員を超過した留学生の中には、資格外活動のアルバイトを週二十八時間以上行うなど、実態的には留学ビザに値しないような留学生も多く含まれているようであり、アルバイトばかりに貴重な時間を費やし、実質的な教育が保障されず、学力が身につかない状況では、一体何のために彼らが日本に留学をしてきたのか、大金を払ってきたのか、彼らのその後の進路も心配になってくるわけであります。
そこでお伺いします。
こうした留学生のアルバイト管理を含め、留学生の適切な在籍管理につきましては、県はどのような指導を行っていくのか、お示しください。
この問題の最後の質問でございますが、外国からの留学生には、日本語学校や専門学校だけではなく、さらにレベルの高い大学や大学院の学生もふえております。
こうした留学生に対しましては、学校を通じた指導、管理という形だけでなく、日本語や専門知識、技能などを習得していただいて、貴重な労働力、人材として地域社会の中に定着していただくことが期待される存在でありまして、昨年策定されました県のあいち国際戦略プラン二〇二二はまさにそうした姿を目指すものだと理解しておりますが、具体的にアジア系留学生に対してどのような支援を行っているのか、行おうとしているのか、お示しをください。
二番目の大きなテーマに移ります。
愛知県教育委員会の障害者雇用の問題であります。
昨年、障害者雇用促進法が改正されまして、四月から官民それぞれの分野での障害者雇用率が引き上げられました。
公務員部門における障害者雇用は目標を二・五%に、教育委員会は二・四%とされ、本県においては知事部局、警察本部、教育委員会ともに、何とか達成はできているという発表でありました。当初は。
ところが、障害者雇用の主管官庁であります厚生労働省を初めとして、実際の障害者雇用をカウントし直してみたところ、大幅に雇用者の数が不足しているということが明らかになり、大きな問題となったことは記憶に新しいところであります。
当然ながら、障害者団体からは厳しい批判の声が上がり、ペナルティー、つまり雇用納付金六十万円というような、不足分につき罰則も課せられている民間事業者からは、怒りの声も上がったところであります。
愛知県教育委員会の場合は、県が任命権者となる教職員二万八千三百八十五人のうち、法定雇用率二・四%に当たる六百七十二人が雇用されているという当初の発表でありましたが、障害者手帳等で確認できた在職障害者の数は、実際には二百四十七人しかいない。率にして一・一%、法定雇用率の半分以下という、全国でも最悪の数字でありました。
県教委は障害者の確認方法の認識不足によるものであり、意図的な水増しではないというふうに弁明しておりましたが、今回の事態の深刻さを十分反省しているとは思えない態度に終始したということで、私はまことに残念だと思います。
しかし、大村知事は、ことし二月の知事選挙の際、障害者団体から寄せられた公開アンケートに対してこの問題に触れて、教育現場の障害者雇用を改善するためには、通勤、就労中の支援策や、エレベーター設置を含む学校施設のバリアフリー化などが必要であると回答されております。
そこで、懸案となっている本年の本県教育委員会の障害者雇用率の達成について、何点かお尋ねいたします。
まず最初に、国の中央省庁におきましては、昨年の実際の雇用率が一・二二%と大幅に不足していたことを受けまして、昨年十月からことし六月までの間に三千八百七十六人の、非常勤職員を含め、障害者を新たに採用され、そして、ことし六月一日時点では二・三一%に、二・四%の率には届きませんでしたけれども、全体では二・三一%に改善をされたとされております。本年六月一日現在での愛知県教育委員会の障害者雇用率はどのようになったのか、お答えください。
第二問、来年度の教員採用選考試験が行われております。今回初めて、昨年の事態を受けまして、三十人という障害者特別枠を設けて、教員の採用選考、募集を行われたようであります。その結果が出ておるようでありましたら、お示しをいただきたいと思います。
第三問、そもそも、教員免許、教員資格を持っていらっしゃる障害者の方自体が、現在の高等教育における障害者の就学状況から考えますと極めて少ないわけでありますから、教員の採用だけで障害者の法定雇用率を達成することは、すぐさまにはなかなか困難だとは思います。しからば、他県で行われておりますように、教員以外の採用についてはどのようにお考えなんでしょうか、お示しください。
第四問ですが、今回の参議院選挙におきまして、二人の重度障害者の方が国会議員となられました。このことを契機に参議院がその対応をいろいろと協議されまして、国会議員としての執務中の重度障害者に対する介護・介助サービスを参議院の責任で行うという制度が措置されました。これを契機にして、日常生活において提供されている介護や介助のサービスが就労中にも、当然ながら必要であるということが改めて浮き彫りになりました。
愛知県教委におきましても、厚生労働省は既に合理的配慮指針などを出しておりまして、就業中の配慮基準、すなわち支援措置とか介助に関するさまざまな合理的配慮措置でありますね、こうしたものを整備すべきだいうことになっておりますが、この点、どのように愛知県教委においてはお考えなのか、お示しください。
この問題の最後でございますが、これは何度も県教委に私もお願いをしてきておるテーマでありますけれども、県立高校全体をバリアフリー化していくということが、これはソフトの対策とともにやっぱりハード面での整備として、障害のある人が働ける職場としての学校のため、ぜひとも必要だということでありました。
現在のところ、愛知県県立高校百五十校中の、エレベーターが設置されている高校はわずか九校であります。学校のバリアフリー化として、現在進められておる長寿命化の計画策定や作業の中で、大規模改修の際にエレベーターを設置するということを私は求め続けておりましたが、このことについては今どのようにお考えなんでしょうか。改めてお聞きしたいと思います。
以上でもって、壇上からの第一問を終わらせていただきます。どうぞ誠意ある御答弁を期待いたしまして、終わります。(拍手)
◯県民文化局長(齋木博行君)
初めに、この専門学校に多くの留学生が在籍することができた理由についてお答えをいたします。
本県では、留学生の受け入れについて、これまでも安易に留学生を受け入れることは厳に慎むこと、留学生の受け入れ数は、学校の設置目的、入学定員、教職員組織、施設整備等を考慮した適切なものとすることなどについて各学校に通知をしてまいりましたが、近年、専門学校における留学生が増加している傾向にあることから、昨年十月、文部科学省の通知を受け、再度、同趣旨の内容を通知いたしました。
しかしながら、この専門学校につきましては、校舎として認められていない建物を使用して多くの留学生を受け入れることにより定員を大幅に超過する一方、県が毎年実施している生徒数調査におきましては、生徒数が定員におさまるよう、実際より少ない人数で虚偽の報告を行っていたことが今回の調査により判明いたしました。
また、この専門学校は一九九一年の開校以来、経常費補助金の交付を辞退していたことから、これまで補助金検査のために学校を訪問することがなかったため、実際の生徒数の把握には至らなかったものであります。
次に、再発防止に向けた取り組みについてお答えをいたします。
本県では、現在五十二校の専門学校において留学生が在籍しておりますが、このうち、経常費補助金を交付している三十四校については、定期的に学校を訪問し、補助金について指導検査を行うとともに、留学生を含む生徒数を出席簿、授業料徴収簿などで確認しております。
今回の事態を受け、今後、補助金を交付していない十八校につきましても、随時学校を訪問し、生徒数を確認するとともに、名古屋出入国在留管理局から留学生に対するビザの発給状況の情報提供を受け、正確な留学生数についても確認をしてまいります。
次に、留学生の在籍管理の指導についてお答えをいたします。
本県では、これまでも各学校が責任を持って授業の出欠管理、日常生活に関する指導及びアルバイトの内容、就業場所、就業時間などを常時正確に把握するよう周知をしてまいりました。
一方、名古屋出入国在留管理局では、留学生の労働時間が出入国管理及び難民認定法施行規則で定められております週二十八時間以内であることなどをビザの更新申請時に確認されております。
今後は、名古屋出入国在留管理局と連絡を密にし、週二十八時間を超えてアルバイトをしている留学生が多く在籍している学校につきましては、アルバイトの内容などを含めた在籍管理が適切に実施されるよう、指導を徹底してまいります。
◯政策企画局長(野村知宏君)
急増するアジア系留学生の現状と県の対応についての質問のうち、アジア系留学生が貴重な労働力、人材として、地域社会に定着するための支援についてのお尋ねでございます。
県内の大学、大学院に通う留学生数は、二〇一四年度に五千百五十四人であったものが二〇一八年度には六千七百十九人と増加しており、彼らの多くは高度な知識や技能を習得し、日本語と英語にも堪能でございます。
こうした現状を踏まえ、二〇一八年三月に策定したあいち国際戦略プラン二〇二二では、留学生をこの地域の発展に資する高度人材として位置づけ、海外の優秀な留学生をこの地域に呼び込むとともに、大学、経済界と連携して、留学生の就職、地域定着の支援に努めることとしております。
具体的には、アジアのトップレベルの大学と連携、協力の覚書を締結し、学生や研究者の交流を進め、海外の優秀な人材をこの地域に呼び込むとともに、留学生と県内企業を結びつけるインターンシップや交流会、留学生を採用するための企業向けノウハウ習得セミナーを開催し、留学生の就職を支援しております。
さらに、アジア各国からの優秀な留学生に対し、県内企業への就職を条件とした奨学金制度を設け、海外の高度人材の呼び込み、地域定着に成果を上げているところでございます。
アジアからの優秀な留学生がこの地域で就職し、活躍することは、愛知の発展のためにも重要でございます。県としては、これからも多岐にわたる留学生の地域定着の支援にしっかりと取り組んでまいります。
◯教育長(長谷川洋君)
教育委員会における障害者雇用について、何点かお尋ねをいただきました。
まず、本年六月一日現在の障害者雇用率につきましては、八月下旬の厚生労働省からの通知を受けまして、現在、調査を行っているところでございます。
次に、来年度採用の教員採用選考試験の結果につきましては、本日付で受験者に合否の結果を通知したところでありますが、障害者枠の選考の結果につきましては、志願者は二十二人ございまして、うち九人の方を合格といたしました。
次に、教員以外の職員採用についてでございます。
これまでも人事委員会が実施する身体障害者を対象とした市町村立小中学校職員採用選考により身体障害者を採用してまいりましたが、今年度から知的障害者及び精神障害者も受験できるよう、対象者を拡大したところであります。
また、教育委員会では、知的障害者を対象に、正規職員として実習助手や現業職員の採用選考を実施してまいりましたが、今後、新たな職域への採用も検討してまいりたいと考えております。
さらに、県立学校におきまして、資料印刷や図書整理などの学校業務を補助する非常勤の職員として採用するなどの取り組みを検討いたしまして、障害者雇用率の向上に努めてまいりたいと考えております。
次に、障害者への配慮についてお尋ねをいただきました。
厚生労働省が二〇一五年三月に策定した雇用の分野における合理的配慮指針では、基本的な考え方の一つとして、合理的配慮は、個々の事情を有する障害者と事業主との相互理解の中で提供されるべき性質のものであることが示されております。また、合理的配慮は、個々の労働者の障害の状態や職場の状況に応じて提供されるものであるため、多様性があり、かつ個別性が高いものであるとされております。
厚生労働省の指針のこうした考え方に沿って、障害者と事業主がしっかりと話し合った上で、個別にどのような措置を講ずるかを決定することが重要であると考えております。
したがいまして、教育委員会といたしましては、二〇一六年四月に合理的配慮指針に関する対応要綱を制定いたしまして、障害のある職員からの相談体制を整備するなど、適切に対応しているところであります。
今後も、厚生労働省が取りまとめた合理的配慮指針事例集などを参考にしながら、障害のある職員の個々の事情に応じて対応してまいりたいと考えております。
次に、県立学校におけるバリアフリー化についてお答えをいたします。
これまでエレベーターの設置につきましては、人にやさしい街づくりの推進に関する条例の制定以降、設置が義務づけられております、三階以上で、かつ床面積二千平方メートル以上の建物を新増築する場合に整備をしてまいりました。
既存の建物へのエレベーターの設置につきましては、設置スペースの確保や費用の面などで効率的な整備が困難でありますことから、本年三月に策定いたしました県立学校施設長寿命化計画の標準的な整備内容には盛り込まなかったところでございます。
なお、この先も、長寿命化になじまない建物を建てかえる際には、条例の定めに従い、エレベーターを整備してまいります。
また、エレベーターが未設置の学校に車椅子を利用する教職員が在籍することとなった場合には、これまで車椅子を利用する生徒が入学したときと同様に、車椅子に乗ったまま移動できる階段昇降機を配備してまいります。
今後とも、個別の実情に応じた対応のほか、スロープ、手すりの設置や、トイレの床の段差解消などにつきましては、長寿命化計画の標準的な整備内容に沿って取り組むことで、県立学校のバリアフリー化を着実に進めてまいります。
◯九十二番(高木ひろし君)
それでは、私のほうからは、要望と再質問をさせていただきたいと思います。
まず、アジア系留学生の問題でございますけれども、この問題は代表質問の中で、西久保議員の質問に対して知事からも、多文化共生、外国人人材の受け入れ、共生に向けた県の取り組みについて、協議会をつくるとか、共生センターでの取り組みなど、取り組みが御答弁されておりますから、これで要望にとどめたいと思います。
私はこの問題を取り上げましたのは、この学校がかなり悪質で、特殊な例だとは思いますけれども、これは氷山の一角ではないかと。これまでの、外国人が日本に対していろいろやってくる、その入管行政の変遷を見たときに、ことしの四月からは特定技能というような形の新たな受け入れもこれから始まるわけでありますけれども、ここ何年かは留学生という形が一番日本への出稼ぎには手っ取り早いということが、特にアジア系、ネパールなどの学生の間ではもうしきりに今話題になっておりまして、そういったブローカーもあり、これは構造的に生み出されてきた問題だと思うからであります。
この構造的な問題とは、定員割れを起こして学生の確保に躍起となる学校法人、それから、人手不足に悩むコンビニとか飲食店などのサービス業、そして、日本に行けばもうかるぞと、稼げるぞというブローカーの言葉に誘われて、多額の借金を背負ってやってくる留学生たち、こうした人たちが後を絶たない、こういう構造があったわけでありまして、これを後押ししてきた要因の一つに、政府が二〇〇八年以来進めてきた留学生の三十万人計画で、学校認可や入国管理が大幅に緩和されたという事情があることが指摘されなければなりません。
これが今回の問題の発覚を通じてまた厳格化されるということは当然ではありますけれども、外国人留学生にしても法令にのっとって適切に管理されるということは当然でありますけれども、その肝心の国の法令や制度自身がこれまで外国人の受け入れ政策に関して、多分に御都合主義的な改変が重ねられてきた経過があることを指摘しなければなりません。
九〇年代に始まるブラジル人などの日系人の受け入れ、そして国際貢献を一応名目とする研修生や実習生の受け入れ、そして留学生三十万人計画の受け入れ。政府は一貫して、今回の入管法改正に当たっても、移民政策はとらないんだと、こう言い続けてはおりますけれども、OECDのカテゴリーに従えば、これら留学生を含めまして全てこれは移民という勘定に入りまして、ある統計によりますと、日本は既にアメリカ、ドイツ、英国に次ぐ、世界第四位の移民大国だとも言われております。
大村知事はこの移民問題につきましては、二〇一五年に出版されました愛知が起こす成長革命という本の中で、成長戦略としての移民受け入れについて非常に大胆な提言もされております。この評価は今触れませんけれども、私が心配しますのは、今の調子で日本が労働力不足ということで、今はどんどんと受け入れることを進めていっても、それが本当に多文化、多民族、多国籍の住民が共生、共存していけるような社会に日本がなっていくのかどうか。欧米のような反移民とか排外主義の台頭を防ぐためには今何が必要なのか、こうした本格的な議論が決定的に不足しているというふうに思うからであります。
こうした問題については国政にかかわるテーマでもありますけれども、知事会などを通じて、ぜひ愛知県、知事からも問題提起をしていただき、本格的な議論が始まるよう期待をさせていただきます。
もう一つ、障害者の雇用の問題でありますが、この問題は昨年の文教委員会でも、また、十月の決算委員会、それから、ことしの本年度予算の議案質疑でも問題になりました。私も何回か平松教育長に尋ねたところであります。
問題発覚からちょうど一年たちました。国も他の都道府県もこの大幅な障害者雇用率の不足という実態に対して、急遽、さまざまな手を打っております。
例えば千葉県などでは、各学校に一人ずつの教員以外の現業職員を障害者で雇用するなど緊急措置をとって、百人以上の障害者の雇用が実現しております。
国も先ほど述べましたように、三千人以上の障害者の雇用がこの半年間で実現したということになっています。その中で、現在の愛知県の状況は、今ほどの答弁を伺いますと全く不十分だと言わざるを得ないと思います。雇用率については答弁がありませんでしたけれども、実際、この半年間で、一年間で障害者の雇用がふえていないわけですから、率が上がるわけないですね。一・一%台であることは明らかだと思います。こうした大幅に最悪の障害者雇用という実態を一体いつまで続けるのでしょうか。
この受け入れのためには実際には、今、いろいろ御紹介もありましたように、ソフト面の対策やハード面のバリアフリー化など、さまざまな体制が整えられなければなりません。
再質問に二点伺いたいと思います。
現在の障害者雇用の数字、率、約三百人が不足しているという実態でありますが、これは一体いつまでにこの解消を目指して、障害者雇用を進めていこうとされておるのか。目標時期とか、その採用方法について、お示しをいただきたいと思います。
二番目、エレベーターの問題でありますが、再び新築や改築の場合にしかエレベーターはつけないんだという姿勢を繰り返されましたけれども、しからば、一体、県立高校百五十校にエレベーターの設置を進めるという計画方針はお持ちでないのかと。バリアフリー法、人にやさしい街づくり条例はもちろん、新築、改築のときにはつけろと義務づけをしておりますけれども、既存の建物についても当然エレベーターを含むバリアフリー化は進めるべきというふうにしております。特に公共施設については。
この趣旨にのっとって、エレベーター設置についての計画化、その方針というものをお聞かせいただきたいと思います。
◯教育長(長谷川洋君)
障害者雇用に関して、二点の再度の御質問をいただきました。
まず、障害者の法定雇用率、いつまでに達成するかということでございますが、教育委員会といたしましても障害者の法定雇用率、できるだけ早期に達成しなければならないと考えております。
このため、先ほども申し上げましたが、本年度から教員採用選考試験において新たに障害者採用枠を設けまして、九人を合格とさせていただきました。
しかしながら、議員の御指摘にもありましたように、教員として採用するためには、教員免許資格が必要でございますので、教員の中で障害者を一度に大量に採用するというのは、なかなか難しい面がございます。
したがいまして、事務職員、あるいは実習助手、現業職員、さらには、今後、学校業務を補助する非常勤職員など、教員以外の職域、職種で工夫をいたしまして、新たな採用などを考えながら、地道に着実に障害者雇用の拡大に取り組みまして、できるだけ早期に法定雇用率を達成できるよう努力してまいります。
次に、エレベーターの設置でございます。
障害者雇用を進めていく上では、エレベーターの設置を含めたバリアフリー化は、有効な手段、方法であると私どもも考えております。
しかしながら、長寿命化の推進に当たりましては、膨大な県立学校施設が対象となっておりますので、全体として事業費を効率的に縮減を図りつつ、平準化を図って、また一方で、スピード感を持って取り組んでいかなければならないと思っております。改修工事にあわせてエレベーターを設置することを標準的な取り扱いにすることは、なかなか難しい状況でございます。
今後とも、個々、個別の実情に応じた対応のほかに、先ほども申し上げましたが、スロープや手すり、それから多目的トイレといったような長寿命化計画の中で、標準的な整備内容にしておりますことについてはしっかりと取り組んで、県立学校のバリアフリー化を着実に進めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。